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387話 最終決戦・その8

「リコリス、力を貸してくれる?」

「もちろん!」

「ソフィア、ちょっとしたことをお願いしてもいい?」

「任せてください」


 僕は、とある賭けに出ることにした。




――――――――――




「レナ、いきますよ!」

「むー、ボクの相方はソフィアか」

「不満ですか?」

「もちろん。フェイトの方がいいな」

「我慢してください」

「ちぇっ」


 なんて軽口を叩きつつ、二人の乙女は災厄に挑む。


 聖剣と魔剣。

 対となる力を持ち、それぞれ攻撃を叩き込む。


「うっとうしイッ!!!」


 ジャガーノートは防御を捨てていた。

 ソフィアとレナの攻撃ならばそれなりのダメージを受けてしまうが、そんなことはもうどうでもいい。


 今は、目の前にいる人間達を消すことしか考えられない。


 憎い。

 憎い。

 憎い。


 なにもかも消し飛ばしてやる!

 そうやって憎悪を撒き散らしつつ、捨て身の攻撃を繰り返していく。


「くっ、一気に攻勢に出てきましたね……! レナ、気をつけてください」

「わかってる、わかってる。これくらい……うわわ!?」


 ジャガーノートに残った尾の一本がレナを捉える。

 が、直前でゼノアスが防いだ。


「大丈夫か?」

「う、うん……ありがと。うわー、今のはやばかった」


 嫌な汗を拭いつつ、レナはすぐに体勢を立て直した。

 そして、再び攻撃に転じる。


「後のことは考えなくて構いません! とにかく、ありったけの矢と魔法を叩き込みなさい!」

「冒険者の意地を見せる時だよ、ここで戦わずいつ戦うっていうんだ!」


 エリンとクリフも最大限の援護をした。


 彼らはソフィアのような力は持っていない。

 遠距離攻撃と治癒、バフをかけることが精一杯だ。


 それでもできることはある。

 力になっている。

 そう信じて、必死に戦い続ける。


「みなさんっ、いきますよ! 私に続いてください!」


 ソフィアは激を飛ばして皆をまとめる。


「ジャガーノートは、もはや災厄。その背景に同情することはあるものの、しかし、やつの放つ憎悪を受け入れるわけにはいきません。認めるわけにはいきません。なぜなら、私達には愛する人がいるから。その人達を守らないといけないから。故に、立ち上がるのです。剣を取り、立ち向かうのです。生きるために。守るために……一緒に戦いましょう!!!」

「「「おおおおおぉっ!!!」」」


 人々は奮起した。

 城のように巨大な獣に怯むことなく、勇気を持って立ち向かう。




――――――――――




 これはどういうことだ?

 圧倒的な力を持つ我がなぜ人間ごときに押されている?


 劣勢を悟ったジャガーノートは混乱の極みにあった。


 勝てる戦いだった。

 相手が聖剣を持っていようと魔剣を持っていようと、噛み砕き、血肉に変えてやるはずだった。


 それなのに、まったくうまくいかない。

 気がつけばこちらが体中に傷を負い、少しずつ追い詰められていた。


 その原因となる人間は二人。

 一人は、聖剣を振る女だ。

 そしてもう一人の男は……


「……どこに行っタ?」


 フェイトの姿が見えないことに気づいて……

 しかし、その時にはすでに手遅れだった。

新作始めてみました。

『執事ですがなにか?~幼馴染のパワハラ王女と絶縁したら、隣国の向日葵王女に拾われて溺愛されました~』

こちらも読んでいただけると嬉しいです。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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[一言] 遂になったのか!? 『アレ』に…!?
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