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386話 最終決戦・その7

 レナの痛烈な一撃が決まる。


 駆けて、駆けて、駆けて……

 極限まで速度を上げてからの突撃。

 速度が力を与えてくれて、ザンッ! とジャガーノートの尻尾を切り飛ばした。


「くゥッ……!?」


 ダメージを受けるとは思っていなかったのだろう。

 ジャガーノートは動揺して、動きを止めてしまう。


 そこに矢と魔法の雨が降り注いだ。

 僕とソフィアも剣撃を飛ばして遠距離攻撃を叩き込む。


「うっとうしイッ!!!」


 ジャガーノートが怒りに吠えた。


 尻尾が切り飛ばされた?

 援軍が来た?


 だからどうした。


 そんなもので止まることはない。

 憎しみが果てることはない。

 最後の最期まで駆け抜けるだけだ。


 そう体現するかのようにジャガーノートが暴れ回る。

 己の体を武器として、破壊の嵐を吹き荒れさせる。


「ぎゃあ!?」

「うあああああ!!!」


 騎士や冒険者達が巻き込まれ、悲鳴をあげて吹き飛んでしまう。

 無数の家屋が破壊されて残骸が飛び散る。


 まずい。

 早く決着をつけないと被害は拡大する一方だ。


 とはいえ、どうしたものか……

 みんなのおかげで優勢になっているものの、決め手に欠けていた。


 どうする?

 どうすればいい?


「フェイト!」

「リコリス!?」


 どこからともなくリコリスが飛んできて、僕の肩に止まる。


「どうしてここに!?」

「こんな状態になっているのに、あたしだけ逃げるなんてできるわけないでしょ。まったく、そこまで薄情なリコリスちゃんじゃないわよ?」

「でも……」

「でももなにもないの! スーパーミラクル美少女リコリスちゃんも力を貸してあげる。それと……」


 リコリスの視線を追うと、スノウとアイシャがいた。

 アイシャはスノウの背中に乗り、こちらにやってくる。


「おとーさん! おかーさん!」

「アイシャちゃん!? スノウ!?」

「危ないよ! すぐに逃げないと……」

「わたしも……がんばる! 戦う!」

「オンッ!」


 二人の決意は固い。

 絶対に退かない。

 逃げずに戦う、という強くたくましい意思を感じた。


「貴様ァ……!」


 アイシャとスノウを見て、ジャガーノートが怒りに吠える。


「ヤツの子である貴様も我を裏切るというのカ!? 我を否定するというのカ!?」


 アイシャとスノウはジャガーノートの遠縁の親戚のようなものだ。

 そんな二人でさえ、ジャガーノートの味方をすることはない。

 敵になる。


 その事実に心が蝕まれているらしく、ひどく動揺した様子だった。


 怒りに吠えているものの……

 でも、その瞳は悲しみと虚しさにあふれているかのようだった。


「誰も彼も我を認めズ……排除するというのカ! 世界が我を拒むのカ!?」

「拒むよ」


 アイシャは静かに言う。

 その姿はいつもの彼女と違うような……?


「誰もが手を取り合うことができる。でも、あなたはそれを拒否した。言葉を交わすことさえ拒否した。全てを拒絶しているから……せめて、心を開いて? そうすれば、まだ……」

「黙れ黙れ黙れぇエエエエエッ!!!」


 あるいはそれは、引き返すことができる最後のチャンスだったかもしれない。

 でもジャガーノートはアイシャが差し出した手を振り払い、憎しみの道を突き進むことを選択した。


 なら、僕がするべきことは一つ。

 決着をつけることだ。

新作始めてみました。

『執事ですがなにか?~幼馴染のパワハラ王女と絶縁したら、隣国の向日葵王女に拾われて溺愛されました~』

こちらも読んでいただけると嬉しいです。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] アイシャ、心の通った人に慣れたな。
[一言] フェイトが『スーパーフェイト2』にさえなれば、あんなヤツ相手に…。
感想一覧
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