表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
292/520

291話 伝承の終わり

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


 水神は荒い吐息をこぼしつつ、敵を探して視線を走らせた。


 周囲の水を集めて、圧縮。

 それを一気に解き放つ。

 岩や鉄を紙のように砕く、水神の必殺技だ。


 体力の消費が激しいため、連射はできないが……

 まともに直撃すれば、人間は欠片も残らないだろう。


「……倒したカ」


 水神は安堵した。


 人間と見下していたが、とんでもなく強い相手だった。


 妙な剣を持ち。

 妖精と一緒で。

 そして、とんでもない身体能力。


 下手をしたら、負けていたのは自分だったかもしれない。

 紙一重の勝利だ。


「忌々しイ……」


 人間ごときに負けるところだった。

 その事実が水神のプライドを傷つける。


 苛立ち、舌打ちをして……

 しかし、ほどなくして喜びの感情が湧いてくる。


「忌々しいガ……これでもウ、我の邪魔をする者はいなイ」


 餌の時間だ。

 もう一度、街の人間に生贄を催促しよう。


 ここまで追い詰めているのだ。

 何度か催促することで、ダメ元で生贄を捧げる者が現れてもおかしくはない。


 そうすれば、再び人間の肉を味わうことができる。

 これからも、定期的に餌を楽しむことができる。


「はははハ!」


 笑いが止まらない。

 水神の気分は最高潮に達して……


 ザッ!!!


「……ハ?」


 一気に最低に落ちた。




――――――――――




 リコリスに魔法を使ってもらい、幻影を用意。

 水神に僕達を倒した、と勘違いさせて……


 その間に、風の足場を使い、さらに上昇。

 一気に下降して、ありったけの一撃を水神の頭部に叩き込んだ。


「……ハ?」


 完全に油断していたらしく、水神は間の抜けた声をこぼした。


 そんなヤツの頭部に突き刺さる流星の剣。

 防御力が高くて、刃は根本まで埋まっていない。


 それなら……!


「これで……」

「き、貴様!? 死んだはずでハ……!?」

「終わりだよ!!!」

「ガッ!?」


 全力で剣を押し込んだ。

 根本まで流星の剣が埋まり、水神がビクンと全身を震わせる。


 でも……まだだ!!!


「破山っ!!!」


 逆手で剣を持ち、刃を埋め込んだ状態で技を放つ。


 ゴガァッ!!!


 岩が砕けるような音が響いて……

 水神の頭部が吹き飛んだ。


 巨体が力を失い、ゆっくりと倒れる。

 僕は剣を引き抜いて、


「よし!」


 一人、勝どきをあげるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] おお!龍を倒すとは!正攻法で正にというやつだな!
[一言] 水神「だが、それも残像だ!」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ