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258話 やっぱりおもしろい

 質問は二つまで。

 大抵のことには答えてくれる。


 それらの前提を踏まえて、質問の内容を考える。


「……うん、決めた」

「ボクになにを聞きたいの?」

「まずは……」


 考えた末に、とある質問をぶつけてみることにした。

 それは……


「どうして、レナは僕のことが好きなの?」

「へ?」


 レナが間の抜けた声をあげた。

 なにその質問? と思っているのだろう。


 でも、僕からしたらとても大事な質問だ。


 一目惚れとか、強さに興味があるとか。

 色々と話を聞いたけど……

 でも、どうにも納得できない。

 他に大きな理由があるのでは? と思ってしまう。


 そんなレナの心を今以上に深く知ることができたら、あるいは、和解も可能なのかもしれない。


 だから……

 僕は、もっと彼女のことを知りたいと思った。

 そのための質問だ。


「あはははっ!」


 突然、レナが大笑いした。


「な、なんでもいい、って言ったのに、まさか、そんなことを聞いてくるなんて……あはははっ、本当にフェイトはおもしろいね」

「そうかな?」

「そうだよ。そんな人、今までいなかったからねー……あー、笑った。お腹痛い」


 笑いすぎたせいか、レナは涙まで浮かべていた。

 それを指先で拭い、にっこりと笑う。


「ボクがフェイトを好きな理由だけど、んー……色々あるんだよね。今言ったみたいに、どこにもいないような変わり者だとか? あと、かわいいよね。かと思ったら、突然、かっこよくなったりするし。あ、結婚したら、今まで以上に優しくなりそう、っていうのもあるかな」

「そ、そうなんだ……」


 なんか、褒め殺しされているみたいだ。

 ちょっと顔が熱くなってしまう。


「ただ、一番の理由は強いことかな」

「僕が?」


 意外すぎる理由だった。


 ソフィアに稽古をつけてもらったり、色々な事件を経験したり……

 そうして、それなりの力はつけたという自負はある。


 ただ、それなりという程度で……

 強い剣士、と名乗れるほどじゃないよね?

 ソフィアやレナに比べると、ホント、足元にも届いていないと思うし……


 それなのに、どうして『強さ』が理由になるんだろう?


「どうして、っていう顔をしてるね」

「それはそうだよ。僕なんて、まだまだだから」


 いずれ、ソフィアと肩を並べられるように、とは思っているけど……

 そんなものは一朝一夕では無理っていうのは、さすがに理解している。


「確かに、今のフェイトはまだまだかなー? ボクが本気出したら、たぶん、一秒も保たないと思う」

「うぐ」

「でも、それは今の話。将来的には、まったくわからないんだよね。それこそ、一週間後に戦ったらボクが負けるかも」

「まさか……」

「冗談じゃないよ? ボク、本気でそう思っているよ? それくらいフェイトは才能があると思っているんだ」


 僕にそこまでの未来が……?


 信じられないけど……

 でも、レナはこんな嘘はつかないような気がする。


 ……ひとまず、話の続きを聞こう。


「結婚するとしたら、ボクより強い人じゃないとイヤなんだよねー。だから、フェイトが最有力候補なの」

「そう、なんだ……」

「理解してくれた?」

「……うん、一応」


 動機はちょっとおかしいけど……

 でも、言葉の節々からレナの本気が伝わってきた。


 彼女の今までの行いを肯定するつもりはまったくないけど……

 でも、その想いは肯定してあげないといけないと思う。

 それまで否定するのは、さすがに失礼だ。


「一つ目の質問は終わり?」

「うん、今のでいいよ」

「オッケー。じゃあ、二つ目は?」

「えっと……ちょっとまってね」

「ういうい」


 最後の質問はどうしようか?


 とても大事なことなのだけど……

 聞きたいことが色々とありすぎて、どれか一つに絞ることが難しい。


 でも……


「うん、決めた」


 少し悩んで、質問を一つに絞ることができた。

 なんだかんだで、これを聞かないといけないような気がする。


「なに?」

「レナは……黎明の同盟は、なにを目的としているの?」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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