コノモブ領 領外遠征の突発問題(上)
本日の投稿分です、宜しくお願い致します。
※コノモブ領 滞在中
ええ、到着いたしました。
「それじゃあ若様、そっちの2人は護衛に就けます。けっして危ない所には入りこまないで下さい。俺達は冒険者ギルドや他で、ミグサ領の情報を確認して参りやす。くれぐれもお願いしやす・・終わり次第この宿に戻りますから、そちらも遅くならずで頼みます」
「ええ、解りました。この通りの並びに市場らしき物と、商会が揃っていると宿の者も言ってましたから少しだけ見学してきます。そちらの方は大変でしょうが宜しくお願いします」
いってらー的にさっさと行かせとく。途中から旅程にも慣れが出て来たし、2回目の休憩も何事も無く終えてこの領に辿り着いた。
領の検問所もご老公の印籠よろしく、確かな検問所で難なくパスしたのだよ。「むっ、怪しい者どもが」とか「この領に渾名す者達め」など皆無でした。
あっ、やっと来たんですねって感じの雰囲気だったな。そこにどんだけの根回しがされてるかが伺われる奴だ。ご迷惑掛けてます。俺のせいじゃないけど。巻き込まれ組だし!
先触れで予約されたこの宿屋も下に下にな態度が徹底しているから、とってもお貴族気分が上々しちゃった訳ですよ。イエーイって奴さ。これならお登り貴族は何でも自由に出来ると思っちゃうなー。
「お出かけに成るのでしたら、日の高いうちに出ましょう」
「そうしょうか。サナーは疲れてない?」
うん、元気なお顔の返事が返されたよ。馬車の中で座ったままだったけど、辛抱や忍耐は精神的疲労が普段より大きいがダイジョブそうか。一緒に残った紅一点のコウーテスさんと長身のオサウルは、普段の鍛錬などから比べたら余裕らしい。
俺も無駄に元気だ・・初めての領外遠征だから不要なワクワクに高揚ギミかも?この田舎風景に何も得られないと思うが。
現代の田舎観光地だったら、観光客用にそれなりの施設を設けていた。そこに合わせる様に無理強いしても、その場の特産品を作って商売に繋げていたし。
特産地饅頭からなんちゃって煎餅に木彫りやこけし・・どこでも売っている装飾品に徳産地の絵柄入れますって。不思議お土産の1つに木刀があったが、それの何処が特産なのだろうか?破壊や暴力が売りだと洒落にならんぞ。
こっちの世界じゃあまり言えない状況がある、旅客に特産の野菜や果物を売られてもどうせいちゅうん?直ぐに腐るがな。必要に駆られるのなら、領外から貨幣を得る政策が必要な所だ。
夜の食事時間には宿に戻る必要があるので、その辺を宿の者と打ち合わせを済ませてから外へと踏み出した。そこで誰かにぶつかったりその何かを踏んだりはないぞ、そっちは逆ですよと宿の者に言われたけど。
おかしいな・・宿に入った時に右方向だと教えられたから、出る時に右右って確認したのでおかしかったの俺だよ!あと、サナーもこっそり笑わない。忠実に従う人だから、こんな事に何かの助言はしないか。実はあっちに用とか言える度胸も無いしな。今夜に報復の案件が増えたな。
あーん、この領はやっぱりちょっと貧乏くさい。街道の作りもうちの領とは極端に落ちてる訳じゃ無いが、手入れが其れ也に雑なのが目立つのと住居の痛みが隠しきれていない。
そこら辺の補修をその都度に行う事はしていない様だ。補修にどれ位のサイクルを持たせているのかは把握出来ないが、すれ違う人達の衣服にもその辺が繁栄している。
少数の子供も見かけるが、その中に裸足の子も含まれているな。その様相に眉を顰める輩がいないのだから、そんな風景は日常として埋没されているのだろう。
現状を見定めれば、この領の商会にそれ程の期待は持てなくなったが、目的地に扉で塞がれない長屋風の長い屋根を被せている市場が見える。
実用を兼ねたこの辺の作りは、我が領と似た様なものだった。その場を使って商売をしている者達は、日ごとに場所を与えられるのか。商える量や広げる幅にもよるが、需要や回転率も考慮しての配置になるか。
残り物持ち業者は翌日も変わらずは無理なので、必至な場所取りも絶対にあるだろ。
屋根付きの陽が照らない商い場所を重点に足を向けた。その品物を良く見定めるのなら明るいのが一番だが、暫くすれば日が陰るこの時間帯に物を見に来たからな。
干乾びた売れ残りを求めている訳でもないし。売れ過ぎ喜びの業者が追加増しましは無いと踏んでいる。持ち込み分を全部広げるのが常道なのだ。
「・・そこの旦那様、甘味の多いジャガイモはいかがです?芽が伸び過ぎない路地物ですから、旨い事受け合いますぜ」
うそくさー・・どこの路地だよそれ。どっかの訳の解らん奴の受け売りか?路地物の意味が解ってないだろ。あと、ちょっとパサパサじゃないか。これ絶対に昨日からの売れ残りだな。今朝出しの商品ならここまで干乾びた様子はないからな。
「そちらを買うのですか旦那様、荷物が増えますよ」
「どうしようかなと思ってて」
サナーは嫌そうだが、その干乾びおジャカを1つ手に取って、色々な角度から眺めてみる。うーんこの干乾び具合が絶妙じゃないか?ここまでの物は見た事ないよ。これなら至高の料理が・
「きょ、今日は特別でさあ。買って頂けるなら1袋を普段の半値で売らさせて貰います。間違いなく損は無い買い物ですぜ」
ほほう、適当に見ているだけだったが、ちょっと焦って値下げに入ったか。そりゃまあ、この時間で売り切ったりは出来ないだろう。持ち帰っても処分の方向になるから、手間を考えれば捨て値までは行かずとも処分はしたいか。
「そっ、それとですね。いつもは袋は別に買って貰ってますが、そちらも一緒にお付けしますぜ。1枚の袋でも銅貨1枚は頂いていますから」
ふーん、芋より高そうだなその袋。ここにある芋の量なら最低でもぎっちりで7枚は必要かな?まあいいや、これでポテチでも行っちゃうか。水分が少ないジャガイモなら、惨事寸前で揚げれる可能性が出てくる。皮なしでじゃないとヤバそうだが。
「解った。ここの全部を買う。袋に詰めれば7枚で済みそうだが8枚に分けて詰め込んでくれ。値段は・・銀貨3枚と銅貨5枚か。銀貨4枚で買うからジャガイモを丁寧に袋詰めしてくれ。
それと・・他を少し見てみるから、袋詰めが終ったら声を掛けてくれ。ほら銀貨4枚だ」
「わっ、わかりやした。詰めとけば運搬は・・はい。言われた通りに詰めたら声掛けいたしやす。本当に有難う御座いました」
ん?サナー以外の2人も、買っちゃたよこの人みたいな目でみないで。大丈夫、貴方達に運ばせたりしないから。俺ってほら、数トンのクズ石の粉とか持ち歩いてるからね。
川の水も備蓄状態だから、何がしたいのか自分でも不明だけど。そこは伊達に集めオタクだった訳じゃないからな、そのまま放置の現状だけど。
何かや何時かにそれを見るつもりで収集した物だけど、全く見れない世界で何年や何十年を過ごす事に成った。ここでの経験が俺の価値観を変えてしまうのか?元には元のままで戻るから関係ないって?凄い事考えたのにそれかよ!あっはい、次の店ですね。
そっ、そこには究極の出会いが・・これ前に遣ったな。いやでもね、遠目でもはっきりと解るあの赤茶色の物体が!あれが赤かぶだったら喉に詰めて死んでやる。
あれ?自殺したら現世でも速攻で死ぬ未来が・・今は赤茶色の物だ。ちょっと急ごう・・おおう、間違い無く赤茶だ。
それにあの形は俺が欲しがってた小豆にまっ・・ん?ちょっと!すんごく小さいやん。あっイタ!何なのこの箱、通路に置きっぱするなよ。前見て歩かないのが俺だ。サナーさん、それ蹴飛ばしますか。今のは俺が悪いんですよ。
あーコウーテスさんは人が出来てる、ちゃんとお片し・・そっちで潰しますか。踏みつぶして遣り切った感は要らないです。何なのこの連中・・そんな感じで見られてますよ。
それより赤茶野郎!責任者出て来い。うーん、こいつってうるちか?うるち米だったり赤米って呼ばれてた・・
「いらっしゃいませ旦那様。そちらは中々の上物の赤麦でさあ。物販が可能に成った当初は小麦よりも高値で取引されてました。ただ最近は流通も随分と良くなりまして、手頃で割安に成ってますぜ」
「ほう・・これは最近流通され始めた物なのか」
「ええっとですね、流通して値が落ち着き始めてから7年か8年程ですかね。そこははっきりと覚えてない位に日は経ってますが、最近とは言いづらいですね。何か気に成りましたか?」
気に成ると言うか気にしろよ!それにその年数なら最近とは言わんがな。えーっと中鍋位の量1杯が銅貨8枚ですか?確かに小麦よりはほんの少しだけ安いな。
2割くらいか・・取り敢えず2杯ほど買って置こう。はいはい、袋代は別なのね。この手の商売で纏めて買える物販の販促だと、小分け買いがいかに損なのか解るな。
ふーん・・ああ、この手の物を買う人達は、鍋やら入れ物持参なのね。マイバックの代わりなら俺だってあるわ、そのまま突っ込みも出来るから負けたりしないからな。今はちょっと・・
回収!・・おジャガも回収して移動します。ええ、急用が突然に勃発しました。トイレじゃないよ、この通りの10分程歩いた場所に商業ギルドが並んで立っているのだ。10分も歩けば並びと言い難いが、こっちの世界じゃこの距離ならそう言うのだよ。歯並びを想像した言葉じゃないらしく、通り沿いはみんなこんな感じだ。
どこどこの店の隣・・そんな表現でそこそこ有名な店などがあれば、便乗して誇大広告紛いに使われる訳だ。この辺の建物の利用なら、冒険者ギルドか商業ギルドを使った並びと言うのだろう。市場は特定外の者達が店を出すから、ここの並びに雑居市場って事なのかな?保証などない世界だし。
それよりもですよ、俺ってはいきなりババを引いたぞ。明日に移動する途中で、例のミグサ領が問題児に成っているとは聞いている。その事で情報収集を雷鉄のメンバーに任せているが、まさかのここでもですよ。
そんな状況も使者の用件を考慮すれば、ここはスルーしたい気持ちなんだが・・俺の中に培っている貴族教育がそれを許してくれない。出来る事は限られる・・明日の出で立ち前までの時間で遣れる事をしよう。
俺の護衛に就いていたオサウルを、先戻りで宿で待つ残りの者達に合流して貰う。そこで俺は商業ギルドに向かった事を伝える、事情説明の後は数人でお迎えを頼むよと。みなが上手く宿屋に戻っていればの話になるから、俺達が沸いた予定を先に済ませてしまったら迎えなしで宿に帰る事にする。同じ通りだから行き違いは起こらない。今はそんな笑いは欲しくない。
「赤麦の粒が小さかった事で文句を言いたいのですか?オヤツの材料ではないのですよ」
「それは違うよサナー、小豆から良いオヤツが出来るんだ」
「誰も小豆と間違えていませんでしたけど」
「・・・・・」
その間違い探しは合っている、何を間違えているのかは別なのだが。ただ間違え方が意図的であるに違いない、物量を使った富を得るやり方は悪魔の囁たと思えるからな。
次回の投稿予定は11月24日を目指します。
予定日の23日から変更したのは、当日が定期検査日に当たっているからです。不健康が祟っています・・





