商業ギルドでの狡猾な登録・・俺です。
本日投稿分3話目です。
※レマイア領中央商業ギルド物販商品登録部門食品課です
は~い到着済みにて、セブレスことその俺です。案内受付にて声を掛けましたら、護衛のサナーの殺気を感じました。受付嬢をビビらすのは止めて下さい。
「・・本日は、お手柔らかにお願い致します」
本日の対応もいつもの人なんだが・・食品課長のヒイキシー、貴方は試食の食べ過ぎ感が半端無いよ!って突っ込みたい体型と、そこそこの薄毛が危機感を醸し出しています。ここから一気に痩せ細ったら、生活習慣病患者に間違いありません。誰かに危害が加えられている訳では無い筈だが、養豚真っしぐらと言った所でしょうか。
俺の軽装冒険者スタイルとサナーの使用人服でも、毅然とした態度で威圧を受けるとは、ちょっとやそっとの脛には耐えられない傷があるのかも?行燈ねえか。
「はい。宜しくお願いします。本日こちらに出向いて来ましたのは、先日までこの領に滞在されていた、メンドセイ侯爵家の用命を受けての事です。それが全てではありませんが、少し纏まったお話しになります」
「・・左様でございますか。要らぬお世話かも知れませんが、メンドセイ領にも商業ギルドを構えていますが、そちらでの対応では伺いきれない内容なのでしょうか?」
ですよねー。事がメンドセイ領に重きの話しになれば、管轄エリアを無視してこちらで先に動くのは、まさにイチャモンを付けたいと思われても仕方が無い所業だ。そんな気遣いの話しを振って来るのだから、ギルド同士の連携がしっかりと在るのだろう。
「メンドセイ侯爵家御一行が到来されましたが、同行者に料理人が居なかった事からこちらで対応する事になりました。この領への来臨にはスーリェス公・・色々と機密が隠れて居ますのでご容赦下さい」
「・・い、いえいえ、何の問題も御座いません。こちらの方で万事お伺いに漏れがない様に致しましょう」
フハハハハ、にやけない様に我慢するのに必死に成ってしまったわ。この話しは全くの嘘ではないが、機密なのはこれから持ち込む封書の中身であって、メンドセイ侯爵家の来臨も又公然と知らせているものだ。
この領までの道のりに寄った幾つかの領でも、その話しに触れるか触れないかの遣り取りは合った筈。それでスーリェス公爵家の用命と聞かされれば、目と耳を塞ぐ貴族家が殆どであるだろう。まさに触らぬ神に祟りなしを自で行く公爵家に関われば、生殺与奪の権利を献上する事に等しいのだから。そこに先見の心得があったとしても、遠目から俯瞰しようものなら災いに巻き込まれるかも知れない。
日頃は神達にも縋らない信心が薄い者でも、藁ならぬ三猿御守になら倣ってしまうだろう。これまでに築いた地位には、雲泥の差が存在しているのだから。ともあれ「こちらが現状の明かり取りに使う予定の板ガラスに成ります」
「・・ほう。それはどの様な形で使われるのでしょうか?」
「現在は鉄張り屋の方で試作品を作り、使い勝手の良い物をと頑張っています。そこは特殊な形を考えてはいませんが、子供等が手を入れて火傷を負わない形を求めました。私の方では板ガラスだけを登録する事に成ります」
今回この商業ギルドに届ける板ガラスは、裏表を綺麗に切断した物である。これが販促ベースになれば、型枠仕上げのまま嵌めこみ仕様の状態で落ち着くだろう。見た目に拘る理由が無いからだ。そこそこに明かりが透過されれば、この道具が実用だと値される。ならば同じ物をと思うかも知れないが、こちらはあくまでも部品の届けになるので最良の物を届けた。
それでもかなりの苦労が負われた、裏表を切断するのに・・逐一サナーの目を気に掛ける事が要求されたからだ。いつでもどこでもの妻の愛が重い・・知らないで良い事もある世界だから、他で苦労するのも在りかも。
そんな所で新たな閃き作業!水属性は公表済み能力だからそれで何とか・・ウオーターカッターですね。ここで必要なのは大量の水、水道の蛇口にホースとかこっちに無いからな。そこは一定の水量を循環させる永久機関を作れば良いのと、均等に平らに削れる仕組み・・四角い箱の上部をウオーターカッターの水圧が通ってから、下に落ちて上へと戻る感じだ。
つまり四つの角に当て版・・穴が開いたな。そこは挫けない、それも魔法で何とかと・・四角い箱がすっぱりと切れて終わりを悟った。いいや単純に切るだけを考える、板ガラスの幅程度のカッターを水で勢いよく回す。それに板をすべり込ませれば簡単切削じゃん!
・・ちょっと長めの板ガラスを作って裏表をカット、その後の長さ調整は手持ちの短剣でさっくりした。色々と試作に時間が掛ったが、ギルドへの持ち込みは今回の5枚で終りだから・・トイレで加工した方が早かったかも知れない。
因みに30センチ前後の円を描くカッターが一番効率よく切れる。これの用途は長台のコンロに使っている雑木を切る時だ。お店のシラカバ屋でもこれは消費する、前までは数日の暇な時間に彼等が切っていたからだ。切れ味が良いからと纏めて斬っていると、抑えが甘かったらしく数本が砕ける現象が起きた。一本一本を圧切する斧とは使いが変わるな。水魔法の水鋸・・ネーミングが今一なので<ゼッソウ>とする。
「明かり取りは販促価格が低かったと記憶にありますが、その辺の精査はされているのでしょうか?」
「はい。最大でも銅貨3枚までの値上げに、留めて頂く様にお願い済みです。この板ガラスの強度はそれ程に無い脆い物ですので、そこそこの明かりを妨がない用途でしか使えません。鉄張り屋さんでは共同開発と成りますので、これの使用条件も安価な設定にしています」
「他者の流用には別途の条件を使うということですな」
うんうん、こんな簡単に作れる物は直ぐに模倣されるのだから、特許の様な縛りを付けて見合わない条件を届ける事にする。そこで類似品を扱おうとする業者は、1つの商品を売る毎に銀貨1枚の負担が必要に成る。銀貨1枚と銅貨6枚の商売でさらに銀貨1枚の負荷があると成れば、そんな商品に手を出す輩はいない。
ちょっと離れた領へとこちらで仕入れて売る、その程度を話しの種で扱う商人はいるかも知れないが。その仕入れの値段は鉄張り屋の管轄なので、そこら辺はお任せになる。
因みに竹細工しか置いてなかった、あのお店の名前が鉄張り屋だと知った時は驚いた。どっかに合ったのだろうか?なんちゃって鉄が。
「鉄張り屋の方で販売出来る商品が出来上がりましたら、直接この商業ギルドの方に持ち込む形に成っています。その節は宜しくお願いします。これからマグサヤ領へと出向かなければ成らなくなりましたので、近日中に製作がされなければ私が不在のまま進めて頂きたい」
この板ガラスの製作は、もはや誰でも可能な形で委託済みだ。後は勝手に進んで行って貰おう。
「・・飼料として扱われている米の料理ですか」
むしろここからが本番であり、上手い事の運びを考えながら進めなければ成らない。
「はい。先にお話しした本題が此方に成ります。来臨したメンドセイ侯爵家の方々が一番に危惧している現は、メンドセイ領がここ数年を通した小麦の不作を憂いての事でした。その危惧を幾らかでも取り除けるのではと、米の料理を提案させて頂きました。実際には農地改革が理想ではありまずが、その目処を立てるだけでも数年は掛かります」
「左様でしたな。この領が農地改革に着手し成し得た事は偉業だと今でも語られる程です」
「その事も有りその先人の確認や、取り組み方への切磋を試しに参られました。農民に必要な知恵と練度の外殻を知り得なければ、導けないとお思いでした」
・・・・・
仕切り直しです。何が・・品数が多いので少量の試食を済ませれば、他の職員達が残りをお腹に・・その必要人員を集めて今に至っています。
「皆様にも問題なく試食を堪能して頂いていますが、この辺のレシピの中で実用とされるのはリゾットと、その派生料理に成るでしょう」
「・・そうなのですか?」
「そのリゾットは色々と味の工夫で派生料理を作る事が出来ますが、最大の長所は生米から調理が出来る事です。料理も炒めてから煮込む程度ですから、大きな失敗もせずに慣れれば簡単に食べられます。調理時間もパンを焼いてから食べるまでの半分ほどてしょうか」
「・・それはまた随分と簡単でありませんか」
「はい。今まで掛けていた食事に関わる時間が短縮出来るのと、米の価格は小麦の1割程で済みますし、腹も十分に膨れます。ただ、無味無臭に近い所が、小麦パンより味気ない気もしますが」
「そうですね。贅沢を言ってはきりが有りませんが、調味料もけして安価な物ではないですから」
「その辺を一緒に煮込む材料に、好みの味がする素材を選んで貰えば、近くに訪れる窮地は凌げると思っています」
「・・左様で御座いますか」
「難しいと思っている米の炊き方は、水などの配分を何度も変えて錬成するしかないのですが、今試食をして頂いたその様な状態を知る事が出来ないからです。失敗を失敗と指摘出来る者はメンドセイ侯爵家の方々に成りますが、レシピを見るだけではその行程を想像出来ません」
「そうかも知れません。以前にも米を料理に使おうとする者も居りましたが、麦粥の域を出ませんてしたから。この様に噛み応えが出る料理に成るとは思いませんでした」
「ここから小麦を米に転化するつもりは有りませんので、小麦不足の急場を米で凌ぐ形ですね。その辺はメンドセイ侯爵家の方々にも納得して頂きましたが、息女のマッデローズ・メンドセイ様は米料理・・勇者が残したレシピのカレー料理が偉くお気に入りなのです」
「・・左様で御座いましたか。あのレシピは確か未だに未完成のままだったと記憶しておりますが」
「はい。そこは勇者の従者が後に書記に綴られていますが、米を真面に炊く者が居りませんでしたから断念しています」
「その様な書記が・・それは知りませんでした」
知ってる!そんな書記なんて知らないよ。俺の知ってるのはカレーの現物だからな。こいつらこんな感じで失敗したんだろうなって想像しただけだし。
あー炊飯器来い!・・いやいや、電源が無かったわ。何無理言ってんだっで話しだなこりゃ。豚の鼻じゃちょっとなあ。
次回の投稿予定は10月2日を目指します。宜しくお願い致します。





