メンドセイ侯爵家歓迎晩餐会
本日は最近に続いた猛暑が一息ついたお日柄ですね。今後ともよろしくお願いいたします。
※2021年9月27日 加筆修正致しました。宜しくお願い致します。
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そんな案内を部屋の前には出してないが・・こちらの準備が整ったら使用人達が呼びに行くからだ。その辺の見極めは、執事のサグシェスと料理長が相談しながら進められる。俺が重宝過ぎる冷蔵庫や保管庫の役割りを果たしているので、いつも通りとはいかずにちょっとだけ調子が狂っているが。だが経験則は誰も揺るがない!
一応その自尊心を暖かい目で称えておく。生暖かくはない、ないったらない。何もかも他人任せにしたいから、無責任とか呼ばれるまでは続行するよ。
多少のどん臭い流れの部分も見えたが、概ね良好で面舵一杯に振られている。だが見切り発進じゃないぞ、お父様が最後に仕切ったからな。これで責任の所在は不明になった。
案内が始まりその顔触れが揃って行くが、到着時に見受けた印象と違う・・当人達の思い思いの安堵感の弛緩に寄る所らしい。ここまで来てまで野外と同じく警戒していたら、身が持たないから当然だろう。
文官や護衛騎士の中で重鎮でない者が部屋に入る頃には、場の雰囲気の流れのままに紹介が始まった。因みに重鎮扱いになるのは、貴族に直騎士や文官管理職あたりらしい。護衛騎士隊の他部隊のリーダーは、ここでは底辺の扱いなっていた。
それでも賓客の歓迎の席に同行が認められているのだから、かなりのエリートに属するはずだ。そこから外れている数人は、我が領の騎士達同様に立ち番の護衛を務めている。
俺の想像の外を歩いていたのは、このテーブルに3人の寄生貴族が座って居た事だ。共に男爵の地位であったから領地なしの寄生貴族で違いないが、自らが同行しているのだから文官職でなく武に長けているのだろう。
戦歴に武功までを望みはしないが、頭数だけの護衛だったら見るべも無く死地の共だからな。
勝手に軽んじて見ても相手に悟られなけければ問題ない、それに侮蔑な視線を送った訳でもないからだ。想像さ、戦禍などが知られなくなったこの時代で、武功が上げられた場所が特定出来なかったし。
ん?何処かで、大層な魔獣を狩れたのかも知れない。その功績の定めにソロでの撃破の設定は無いから、団体戦で無事に運よく生き残った状況だったりして。当人達に強者の雰囲気が無いので、舐めて掛かってしまった・・見た目にめだつ創痕もないしね。
そんな下らない妄想とは裏腹に、この場の代表の2人が相応に美辞麗句の応酬が続いている。そこから寄生貴族へと伝播が起こり、解放されたマッデローズ・メンドセイ息女が俺への閲覧・・チラ見の制限を解放する。
第3者の状況視察があったらしいから、この流れを誘導したのがマッデローズ・メンドセイではないか?などと迷探偵を称しそうだ。まったく当たらない迷だが。
どこまでも乗り遅れの俺が放置されたまま、富貴栄華を共に掲げて乾杯の発声が父から成された。その音頭が栄耀栄華を飛び越えたところが微妙だったが、各々の領地の事が視野に入っていない事を願うだけだ。頑張れと言いたい。
願いが飛び過ぎと思うが、踏み外しで辿り着いた所が思いの外良い場所もあるからな。最高額狙いの宝くじは、次点の金額に不満しか湧かないけど。競馬の倍率なら致し方ない、そこにも運が見え隠れするから。
触らぬ神に祟りなしを貫いていたかったが、[むっ・むう・むむぅ・むむむむ]などと数人が呻いた。それに負けじと[ほぅ・ほほぅ・ほほほぅ・ほー]・・ホーホケキョだったら殴ったけど。さらには、なっ!シリーズも聞かされ、くっコロと聞き間違えそうな者も出た。それは・・むさいオッサンには禁句だった筈。
俺は良く解らない料理家達の試食会を開いた訳ではないから、この間を取り繕いたくはないので目の前の食事を貪って欲しいところだ。ほんとどんな自尊心で料理の評価が必要だと思ったのか?そこで何かを思われても、貴方達に次はないのだぞ。
この場に感嘆を唱える必要はない、俺の自己満足は作り終える事で終っている。感嘆な評価は家族から貰うのが一番だ。次の解らない者達に、次があると思われても嬉しくない。
そんな希望が順当に進んでいったが、終盤に差し掛かったところで覆される。マッデローズ譲が発した「・・これは知っている料理と異なる。調味料の違いなのだろうか?」焼き餃子と蒸餃子じゃ隔たりしかないよ、蒸しに失敗したら炭焦げに・・何て無いからね。
マッデローズ譲が疑問を持ちながら、お傍のお父様へと視線を送った。それに便乗した一行の面々は、みなに習い回答を求める。そこで父は視線を誘導する様に俺に回答を促すと、我が身内までも巻き込んで俺へ注視が集まった。お前達は振り子の虎か!
「・・はい。そちらは、焼き餃子の派生料理に成ります蒸し餃子です。王都で食されている蒸しパンと製法は一緒です」
俺の返答にマッデローズ嬢が、知見を精査してから反応を示す。問題で無い疑問を有耶無耶にするのは、知識の損失と思ったのだろうか?
「・・蒸しパンの製法場を覗いた事が合ったが、かなり大掛かりな道具が拵われていた。こちらにも其れを?」
「いえ、物販品にして扱う予定はありません。特に蒸しパンは堅焼き小麦パンや白麦パンから比べると、腹拵えに不向きですから」
「その蒸しパンは、かなりの価格がしたと記憶しているが」
「拵えを使った製法料が高いと思います。鍋2つを使いお湯の蒸気で蒸すだけですから、鍋を重ねる工夫があれは困りません」
「聞いたところでは簡単に思うのだが」
「セブレス、あの鍋は昨日に作ったと話していましたね」
「はい。鍋その物は作れませんが同じ大きさの鍋を用意し、1つの方の底を切ってそれを上から乗せただけです。この鍋を繋げて固定しますと、持ち運びや洗浄に困りますから乗せるだけです。」
売り物の鍋を加工するのは、そんなに苦にならないさ。俺感覚だけど。
「料理では、最後の仕上げに蒸す事は良くあります。火を満遍なく通してから、煮込まれた物の上を蓋で押さえたりします。ですので生の具材をそのまま蒸すには、それなりの工夫が必要です。今回お出しした蒸し料理は、下拵えで火を通していますから手間も少ないです」
「・・蒸しパンを作るのに、かなりの製法が必要だと聞かされていたのだが」
「・・そうですね。小麦パンのように継続的に食べる主食とし、蒸しパンを重用するのでしたら味付けに工夫が必要ですね。ですが・・少々お待ちを」
一度部屋を出てから、必要な説明資材を取り出す・・これは台車に乗せたデザートなのだが、[アイテム②]からいきなり出せないので必要な工程だ。物資運搬人に取り立てられても困るし。
この後また部屋へと戻り、食事の締めに出す予定のデザートだと言って各々へと配膳して行く。
「そちらのデザートの最下層から2番目の層の部分が、蒸釜で蒸して作ったプテングと言う物です。これは蒸しパンに使っている原料の他に、甘未に使用の物も混ぜています。少し味見をして貰って・・・舌に伝わる滑らかさが全てですね」
「・・確かに滑らかだ」
「原料は混ぜる時に上手く解けないとだまに成り、それだと蒸しパンみたいに成ってしまいます。丁寧に丁寧にだまを作らずに混ぜて、焦がさずに蒸したのがそのプテングです。今回はプテングが作りたくて作った訳ではありません。その器内の全てを好みに混ぜ合わせなが食べて頂きたい、それがフルーツパフェです(今回も固まってません)」
「・・フルーツパフェ」
そうそうフルーツのパーフェクトって事だと思うよ。誰だが知らないけど、その命名センスはどうかと思うの。
「・・美味しい・・プテング・・蒸しパン、いや・・プテング・・」
何か嫌な壊れ方をしいる感じじゃないだろうか?ちょっと怖いよマッデローズ嬢よ。
「蒸釜の1つ位でしたら明日中には作れますからお渡ししますね」
「本当か!」
条件反射の返事がおっきいわい。食いしん坊キャラか?太るぞ・・だが見ない。俺の視線が自分の寿命を縮めるのは用意に解るからな。上方にも彷徨わせない、別な意味で死ぬからね。
「蒸し料理で思い付くものも書き印てお渡ししますね」
「いや、レシピは不要だ。商業ギルドに登録されてなければ、不本意に使って迷惑を掛けたくない」
「問題ありません。商会や店売には向かない物ばかりです。貴族の嗜みには向いていますが」
「・・なら在り難く頂こう。道具も含めて・・金貨5枚で買い取らせて貰おう」
あかーん・・と思ったのは俺だけで、サナーの口角はいつもの増し増しで上がっているし、身内のみんなは黙って貰っておけって顔に成っていた。うん、貰っとくよ。お金持ちからは遠慮せずに貰う事にしよう。
だがだがだがー、俺は何処へ向かっているのだろうか?料理云々は神達しか喜ばないし、俺の本分がアイタッ!・・イタタタタッ・・はい。料理も本分ですね。すこぶる特別な料理って訳じゃないけど、それはそれとして作りますか。神罰こわい・・。
こっちって料理より、作る道具の問題が大きいよね。蒸釜の中蓋の下側の穴が、良い具合にバリが出来ておろし金状態になってるし。大根おろしやみぞれ鍋とか食べてる人がいないからな・・人へのこき下ろしは料理じゃないよ!
まあ頑張るよ。変な事を考えるとお仕置きに合うからな。
「・・蒸し料理は別だとしても、味付けにメリハリがあるのは調味料に関わりがあるのだろうか」
いやいや、今度はひとり事戦法なのかな?そのブツブツの呟きに・・俺か?答えてやれって視線が痛いよ。
だがそんな答えは持っていないよ?他領の調味料は知らないからね。う~ん、ん?味だよね?
「油落としはしました」
「油落とし?」
「ステーキなどは特に余分な脂は削いで成形してますが、煮込みのものも最初に炒めた時の油は捨てています」(肉の大きさは誇張する所が多かったのだが)そこで寄生貴族の何方かが呟いていた。
有りそうな話しだ、油の有無よりも大きさでの格差をアピールするとか。大き目な肉はそのままが価格に跳ね返る、売り物を態々小さく見せたりはしないから。
「殆どの料理は油を使いますから、その油が味覚を曖昧にしてしまいます。調味料を増やして味を濁らせるより、油を減らす方が賢明ではないでしょうか」
「・・料理人としの矜持なのだろうな」
「どちらかで分けますと調理人ですか」
「調理人とはどの辺を指しているのだろうか?」
フフフフ、マッデローズ嬢よそれを聞くとは・・。
次回の投稿予定は9月4日を目指しています。





