何処にも慈悲はない
今日も地道な投稿へ・・宜しくお願いします。
※2022年6月24日 加筆修正致しました。宜しくお願い致します。
※レマイア領中央領公館滞在中
終った終わった・・嘘です。どちらかと言えばこれからなんです。終わってるのは俺が平穏を送る日々ではないだろうか。先程まで待機場所で<エスセス>の面白そう・・野盗達の今の状況を逐々と聞かされていたんだけどね。
ところがこの事態を急変させる言葉が<エスセス>から囁かれる。その内容はちょっとした変動の会話が野盗達から出たからだけと、こちらもそれならの対処をすべく動く事に成る。展開も読めている現状なら、後の先的な作戦で奴等を漏らさず対処出来る対策を重ねて行く。そこで変更指示が出来る者達は、修正を施した新たな作戦を騎士達に伝達して行く。
目下に始まる夜戦に急ぎ必要のは増援や増員である。それをどう対処するか・・休暇中の者達を緊急徴集にするか?采配済みの者達の再編で無理をさせる様相を取るのか?喧々諤々な意思が飛びかっていく。
そんな判断に俺が関わる事は不要なので、俺は俺の現状を再確認する事にした。とは言っても夜襲ルートは情報収集済で、途中分散されても悪さをさせない手段は打ってある。野盗達は誘導されていると気づかず、こちらの領公館南東から押し込む作戦だ。それに合わせた相対次陣組は、北西から強襲しなければ成らない。
そいつ等を潰すのが俺達の組なのだが、騎士達は誘導しつつ追い込み担当。その先頭を俺一人で叩く作戦だな。最後に上前をと美味しい所を狙っている3陣の野盗達は、姑息に到着時間を遅らせて、双方の疲弊者達を潰す算段だと漏らしていた。
画に書いた様な皮算用でほんとに幼稚に思えるが、奴等の先陣は機先を制して後続を迎え撃つまであるらしい。どっちもどっちに見えるし目クソ鼻クソっぽいけど、こっちは事を起こさなければ何の手出しも出来ない。今の瞬間で尋問しても知らぬ存ぜぬで通るからな。
そこは防犯の予防よろしく、知られないならセーフだと。死ぬか生きるかのこの世界でも、普通に通用するから怖い話しだが。
この世界はゲームの内容を模倣していると神は言っていたから、奴等は死んでもNPCかあっちの世界に戻るだろう。俺は勝手にそう割り切っているけどな。その結果が心のどこかに、ドス黒い何かを生むか残すかするとしてだ。それでもこの先を変更するつもりもない、まさに死活問題が殺伐に押し寄せてくるのだから。しかも一瞬な死活・・迷えないやつさ。
◆
ルート2陣の決戦場所に赴いた俺は、現在は待機中である。今の時間は・・日付が変わってからさらに1時間以上は経った感じで、そこそこ待ちくたびれている。待ち伏せの失敗とか洒落に成らないから早めに待機に入ったが、もう4~5時間はこの場所でじっと待たされているんだよ。
こうなってくると段取りの悪い仕事とそう違わない、ここで予定の相手に連絡を入れたら随分前に出てますからもう暫くお待ち下さい。出前か!お前の後ろでもう少し伸ばせって聞えたぞ。時間と料理が伸びまくりだわ。
妄想突っ込みが雑になってるよ・・寝不足は無いから眠くなったりしなかったが、回りに人気がなかったのが辛かったよ。漏れて来る明かりも程んどないのだから、小心者の俺には特に・・異世界にも街灯を!だがだがだがっ!やっとだが遠くから集団の足音が聞こえて来たよ。
間違い無く来たなこれ。これから夜戦になるからもっと緊張すると思ったが、無性にイライラをぶつけたくてしょうがない。はっきり言って八つ当たりだろうと思うけど、その原因が野盗の奴等だから自合自得だな。おおっと、熱くなり過ぎて罠の設置を忘れてたわ。早く泥水を撒かないと・・
足早に急いで到達した野盗集団は、薄暗い夜道に視界を狭められ、目の前の水溜りに勢いよく飛び込んだ。ドッシャやビシャっと泥水を跳ねて、初めてその状況に気付く。
そんなのを気にしなければ良いのに、不幸にも足を緩めたせいで数人が後者に押し倒されていく。その光景を確認した俺・・奴等は間違い無く野盗達だ。
慌てて起き上がろうと「なんだこりうぐぅ!」一人の男が、地面から突き出た土くれの突起物で串刺しに成った。ここで泥まみれだったのは8人程だが先ずは一人・・自分の魔法の威力なら頑張っても、致命傷以上を負わせらるのは3人までだ。そんな手口や能力の限界を悟らせはしないが。
「おおっうぐぅ!」目の前の倒れた男が串刺しに何ったのに気付き、男は声を上げ叫ぼうとしたがそれのせいで次の餌食に成る。
「こんな暗がりでも、騒いでくれるから良い的になるよ」
声を出しかかった者達が何が起こっているのか解らずも、それに慌てて息を飲み込みついでに唾も飲み込む。
この集団の最後尾に居た奴等の内の3人が、即座に回れ右をし逃亡を選択する。が・・今度は3人共に串刺しに成り、そこに倒れ込むと動かなくなった。
「・・逃げられると思った?囲みの外側は狙い易いんだよ」
音も動きも・・まして空いた場所が不味いと?冒険者らしい1人が胸元に忍ばせた、投げナイフを取ろうとこっそり腕を・・気づいたらその上胸に黒い剣が生えていた。
この奇襲策で闇間を看破したのは偶然であったが、この場の緊張が成せたではなかろうか?目に力を入れて凝視していれば、何かの動きが見えるのは良く有るのだから。剣に貫かれた男が地に臥した瞬間に、他にも動き出す者が出た。この窮地の打破に出たのは熟練の冒険者か野盗の幹部か?
少し状況が動いた所だか、声を出した事で身体の中の嫌な靄が消えて行った。何の効果かは解りずらいが、心根が軽くなるのは悪くない。今は目先の処理に専念しよう。
「・・相手は一人だ!回り込め!」
声出しの者と向かって右端の者が釣られ一緒こっちに走り出す、その反対側の端に居た1人も合わせる程度で俺に向かって来る。
バシャバシャと水音を立てていたが、数歩も進まずに数の倍の水音をあげて地に伏した。
急に騒がしく成ったその光景に目を注げば、身体が分断された骸が転がっていた・・思わず息を飲み3人供が同様だと、この場で知りたくない状況を皆は知ってしまう。
そしてこんな幾度かの殺り取りをしていると、待機していた時に頭に流れていた声を拾った。
≪主様、少し宜しいでしょうか?≫
(ああ、問題ない)
この遣り取りも、先程の部屋と変わっていないなと返事をしつつ思う。今まではもう少し強く張り詰めていたのか?まるでストレッチで身体が解れた程度にさらに気分が軽くなった。
≪先陣は領公館の少し手前にて撃破されつつあります。迎撃場所から槍働きをお薦めしたのが功を奏しましたね≫
それの推奨者はこの<エスセス>では合ったが、そこで口幅ったい事になるのは目に見えていたから替って俺が提案した。
それで十分な武功になる筈だが、騎士働きこそが騎士道だと口を揃えた反発が合った。ははぁん笑わせる・・などとその場で言っていたら、何処かで暗殺されてこの場には立てなかっただろうからな。
今回はこちら側の被害を最小限に止め、明日からの歓楽地域と海鮮市場の防犯をしっかり対処しなければ成らない。さらにその先には賓客の対応等々・・予定は勝手に折り重なって来る。
自分の左半身を突き出しその手で牽制を促しながら、右手に持っていたクロガネを肩に乗せて威圧の構えを取る。こちらの残敵は半分程だろうか?奴等の後方数十メートルには、俺と行動を供にして来た部隊が、牽制状態を崩さずにこちらを凝視していた。
この場に参戦してこないのはこのクロガネの剣のせいだ、今も闇間に溶けていそうに視認するのが困難な武器。例え熟練度の高い騎士達であっても、闇間では無傷で連携が取れるとは思えないからだ。ここで身内の骸を重ねるのはとっても不味いからな。
≪領公館の決着は見えて参りました。こちらの敵陣もやっとですが動き始めました≫
(ああ、解った。そっちは打ち合わせ通り・・守歌で寝かせてやってくれ)
≪委細承りました。これから安息の地へ送り出しましょう。心残りそのままに後悔もくくりましょう≫
静かに優しくゆっくりと・・何が起こっているのかを気づく前に、その場にいる者達は冥府へと送られる。いきなり目前で瞬殺でもされるものなら、敵前逃亡しか保身に走れないからな。燦々囂々に取り散らかし様に逃げだされたら、見方の騎士達も入り乱れて乱戦にしか成らないだろう。
今回に必須なのは壊滅であるなら、<エスセス>が範囲攻撃を手掛けてしまうかも知れない。その攻撃に脆弱な人間の身が堪え忍べるのかは、まだ疑問の域を出ていない。お試しとして見限るのは、今回みたいな犯罪者だから遣ったと言い訳出来る。それも自分の心根の保身でしかないが。
この場の接敵者の対応が全て終了し己が部隊と合流を果たした頃、<エスセス>等の部隊が最後の3陣との接敵の報告が届く。諫み心象の表れを隠さず、先頭を吐出して来た者達は足下をふら付かせ幾人もが地に跪いた。
それ等を敵視していた騎士達の表現には、突然に身体を不自由に見舞われた病人の様だったと。そんな場の目下には目を閉じ守歌を口から噤む<エスセス>が立たずんいたらしい。その彼女の様相にしばしの間魅入られていた騎士達は、いつしか守歌が止まった事で我に返る。
そして回りの状況確認を取ったさいに気付いた、領公館へ向かって来た3陣の野盗達の全てが息絶えている事に。この内容は策として了承している、逃亡をさせない為に全員を網羅してからの処理だった。身が不自由に成りその場から動けず様子を見るしか無かったが、その後は揃って死んでもらったのだ。
野盗の骸・・息絶えた者達の全ては指定の場所へ運ばれる事に成っていて、その役回りに分担された騎士達と従卒兵に任された。
<エスセス>達が野盗達と夜戦真っ只中の頃、俺は現場の処理をする者達とは別れ、領公館の集合場所へと移動する。
◆
※レマイア領中央領公館
未だ夜明け前の闇多き時間帯だが、十数人が入れる応接室には主要メンバーが集まっていた。野盗達2陣の奴等はそんな呼称を受けていたのを知らないが、こちらの整理の扱いはそれで済ませられる。
俺が担当の野盗数は28名で、その事後処理や報告は部隊の騎士隊長が受け持っている。その辺の必要事項の報告を傍らにて見終わり、その足でこの応接室に報告へと訪れた。
アトレア兄さんの騎士隊も、すでに報告を済ませ他の騎士達は事後処理に追われている。今出来る事後処理は骸の処理とは別に、残った歓楽地帯の掌握があるからだ。
妙に姑息に知恵が回った野盗達は、末端の下っ端達に深夜の歓楽地の管理を任せていた。ここの来客達は余程の事が無い限り、そんな深夜に帰宅はしないからだ。だから長年の有り様を熟知し帰客時間の頃には、さぼりを誤魔化しつつ仕事場に復帰する等。典型的な上司や先輩だな・・
さらに、今回の襲撃に関しも下っ端には口外されなかったから、足がつかない等と用意周到だったのだろう。あともうちょっと目端を効かせていれば、自分の棺桶を用意しなくて良かったのだが。丸焼きの火葬だから、そんな棺はないけど。
地獄の沙汰も金次第というが、奴等は奪えずで手持ちで向かう事になった。そこに救済は願えないから、貸し倒しに苦しむ者も出たりしない。貸し儲けも作られないので、興味も持たれないな。貸し借りに嵌る奴等は、結構な額の儲けをさせてくれるのに。
儲け話しに嵌って騙されると詐欺だと訴える・・所詮は同じ亡者の域なのにな。





