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1-7 転生した少年は訓練を始める 1


 翌日から修行が始まった。

 想像を絶する厳しい修行が始まる──と思っていたけど、実際はそこまで大したことはなかった。


「48、49、50。よし、よくやった」


 腹筋を終え、爺ちゃんが褒めてくれる。

 だが、そこまで嬉しくはない。

 なぜなら、筋トレはこの世界に来てからずっとやってきた。

 前世で死ぬ間際に振られた原因であるナヨナヨの体から脱するために筋トレを続けてきた。

 だが、あまり効果が無かった。

 もちろん、多少の筋肉はついた気がするが、がっしりした体格にはならなかった。


「本当にこれで強くなれるの?」


 純粋な疑問が口から出る。

 午前はランニングと筋トレ。

 午後は【身体強化】と魔力操作の訓練。

 決して厳しくはない修行だった。

 これだけで【属性】を持っている者達との差を埋めることができるのだろうか?


「今はこれでいい」

「本当に?」


 爺ちゃんが自信満々に言うが、納得できなかった。

 差を埋めるためにはもっと修行すべきではないだろうか?


「こんな修行で差を埋められるのか、と思っているのだろう?」

「うん」


 あっさりと頷く。

 ここで本音を隠しても意味は無い。

 おそらく爺ちゃんも僕が疑問は理解しているのだろう。


「【身体強化】において、最も重要なものはわかるか?」

「重要なもの? 【身体強化】でどれだけ強くできるか、ってこと?」


 質問され、少し考えてから答える。

 やはりどれだけ強くなれるのかが大事だと思った。

 だが、爺ちゃんは首を横に振る。


「たしかに大事だが、それよりも大事なことがある」

「え?」


 驚きの声を漏らしてしまう。

 強化においてどれだけ強くなるかより大事なことがあるのだろうか?


「身体の素の強さだ」

「素の強さ?」


 予想外の答えに聞き返してしまう。

 一体、なぜその答えになったのだろうか?


「例えば、素の強さが違う状況で同じ強化をした場合、強い方がより強くなるだろう」

「たしかにその通りだけど、強化を高めたら差が埋まるんじゃないの?」


 言っていることは理解できるが、あくまで仮定の話である。

 実際に相手が同じレベルの強化を使う前提は必ずしも起きるわけではない。

 ならば、相手より強力になる強化をこちらが使えば良いと思うのだが・・・・・・


「そこが【身体強化】の落とし穴だ」

「え?」

「たしかに【身体強化】の強化率を上げることで差を埋めることは可能だ。だが、それは諸刃の剣──強化率を上げることで身体への負担が上がってしまう」

「あ」


 自分の間違いに気がついた。

 僕の様子に気がついたのか、爺ちゃんは優しい笑みを浮かべて頭を撫でる。


「まだ子供なのだから、そう考えるのも仕方がない。だが、自分の間違いに気づけるのはレイが優秀な証だ」

「・・・・・・」


 間違ったのに褒められ、なんだか恥ずかしい気持ちになる。

 間違いを認めることが大事なのはわかるが、それを褒められるのはどうなのだろう。


「身体の素の強さを高めることによるメリットは他にもある。それはより高度な【身体強化】に耐えられるようになることだ」

「より高度な【身体強化】をするために体を鍛えるってのも、なんかおかしな話だね」


 強くなるために【身体強化】しているのに、より強い【身体強化】をするために体を鍛える。

 なんともおかしな話である。


「まあ、そのうち気にならなくなるさ」

「それって、考えることを放棄してない?」


 爺ちゃんの言葉を聞き、少し不安になってしまう。

 薄々感じていたのだが、爺ちゃんの考え方は良くも悪くも大雑把である。







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