1-5 転生した少年は衝撃の事実を告げられる
「お前は【無属性】──魔法を使う才能がないのだ」
真剣な表情で爺ちゃんは説明する。
この世界の魔法には【属性】というものが存在する。
大まかに【火】【水】【風】【土】の4つがあり、これが四大属性と呼ばれている。
他にも数が少ないレアな属性もあるらしいが、ほとんどの貴族が四大属性のどれかを有している。
そして、世の中には【無属性】というどの属性も有さない者もごくわずかおり──
「やっぱりそうか」
「気づいていたのか?」
僕の反応に爺ちゃんが驚いていた。
もしかすると、怒ったり泣いたりと感情を露わにすると思っていたのだろう。
その方がたしかに子供らしい。
だが、僕には前世の記憶があり、この世界に来た最初の時点でその事実は知らされていた。
まあ、流石にそれを伝えはしない。
「薄々は気づいていたよ。確信したのは先程だけど」
「レイは賢い子だから、それも当然か」
どう説明すべきか悩んでいたが、勝手に納得してくれた。
ありがたい話である。
「それで【無属性】はどうして魔法が使えないの?」
純粋な疑問を投げかける。
この世界に来てからいろんな本を読んだが、流石に【無属性】について詳しい内容が書かれたものはなかった。
数が少ないせいか、本に書かれていないのだろう。
「魔法を使う際、魔力を変換する必要がある。その際、自分に見合ったものに変化するのだが、それが【属性】だ」
「つまり、【火属性】なら火の魔法に、【水属性】なら水の魔法になるわけだね」
「ああ、そういうことだ。だが、【無属性】はその変換ができないのだ」
「だから、【属性】が無いってことなんだね」
説明を聞いて、ようやく理解できた。
魔法に変換できないので、魔法を使えない。
魔法を使うことが当たり前の貴族社会において、致命的な欠陥であろう。
「怒らないのか?」
「怒る? どうして?」
「いや、魔法が使えないことを今まで黙っていたんだが・・・・・・」
爺ちゃんは申し訳なさそうに口ごもる。
こんな重大なこと、彼も言いづらかったのだろう。
だが、僕が怒らないのには理由があった。
「魔法が使えないことは悲しいよ。でも、爺ちゃんには何か対策があるんじゃないの?」
「っ⁉ 気づいていたのか?」
僕の指摘に爺ちゃんが驚きの表情を浮かべる。
【無属性】の件に気づいていたときよりも驚いている。
「もちろんだよ。爺ちゃんも母さんも魔法は使うけど、【属性】の魔法はそこまで強くはないよね? でも、強力な魔物を討伐できるほど強い──つまり、魔法以外の何らかの技術があるはず」
「・・・・・・我が孫は天才だな」
説明を聞いて、なぜか爺ちゃんが感動していた。
先程まで怒られることを恐れていたのに、この反応である。
どれだけ孫馬鹿なのだろうか?
主人公は魔法を使えない。
そして、それを解決する対策とは?
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。
★5でも★1でもつけていただけると幸いです。




