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2-16 転生した少年は相手を煽る


「我々の白神教は素晴らしい宗教ですが、この国ではまだ根付いていません。むしろ力をつけるために行動しているところです」

「・・・・・・」

「現状、あの女を浄化することは難しいです。強力な【闇属性】を自在に操る化け物を倒せると慢心するほど我々は馬鹿ではありません」

「へぇ」


 呆れたように鼻で笑ってしまう。

 要は怖いから強い者に攻撃しないだけだろう。

 情けない発言の自覚はないのだろうか?


「我々の素晴らしさを全世界に知らしめるため、まずはその娘を民の前で処刑します。【闇属性】の悪魔としてね」

「っ⁉」


 いきなりの発言にアテルが驚く。

 まさかそんな狙いがあるとは思わなかった。

 ただでさえ【闇属性】の評判が良くない状況なのに、さらにまずい状況になるのはわかりきっている。


「【闇属性】を消すことでこの世界を綺麗に浄化できるのです。素晴らしいことでしょう?」

「馬鹿じゃないの?」

「は?」


 思わぬ反論にベテランメイドが呆けた声を漏らす。

 反論されないと思っていなかったのだろうか?

 自分の発言に酔いしれているナルシストだから、そう思うのも仕方ないか?


「【闇属性】だってただの属性だ。悪魔とか言っているが、そうやって相手を悪に仕立て上げるあんた達の方がよっぽど悪魔じゃない?」

「私たちの崇高な教義がわからないなんて・・・・・・」

「教義とか言っているけど、所詮はただの弱い者いじめでしょ? しかも、やられるのが怖いから強い奴を狙わないなんてダサすぎるな」

「・・・・・・」


 気になったことを指摘する。

 考えは人それぞれなので、敵対する相手がいるのは仕方がない。

 だが、その相手を自分の考えだけで恣意的に決めるのはいただけない。


「白神教じゃなくって、ただの弱い者いじめの集団って名乗った方が良いんじゃない?」

「ち、ちょっと・・・・・・」


 僕の発言にアテルが止めに入る。

 思わずヒートアップしてしまい、結構酷いことを言ってしまった。


「うるさいっ! ただのガキが偉そうにっ!」


 ベテランメイドがブチ切れる。

 まあ、あそこまで言ってしまったので怒るのは当然である。

 鋭い視線で睨み付けられる。


「もう処刑なんてどうでもいいわ。あんた達、やりなさい」


 周囲の男達に指示を出す。

 自分の感情で計画を反故にする。

 リーダーとしては最悪なタイプである。


「「・・・・・・」」


 いきなりの命令に男達は動けない。

 計画と命令の矛盾でどちらに従えば良いのかわからないのだろう。


「私の命令が聞けないの? なら、あんた達も浄化の対象よ」

「「っ⁉」」


 とんでもない発言に男達は驚く。

 まったくとんでもない女である。

 完全にパワハラであり、彼女の部下には絶対になりたくない。







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