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2-15 転生した少年は相手の目的を聞く


「この建物は地下室がありますが、決して広くはありません。出るためには必ずこの場所を通らないといけないんですよ」

「なるほどな」


 ベテランメイドの説明に納得する。

 意外に頭が回るようだ。

 まあ、計画的にアテルの誘拐をしているので、悪知恵は働くのだろう。


「ここは・・・・・・」


 アテルが何かに気づいたように周囲を見る。

 一体、どうしたのだろうか?

 見たところ、廃れた教会のようだ。

 使われなくなって長いのか、いろんな場所にがたがきている。


「気づきましたか? ここは我々──白神教の教会だった場所です」

「白神教?」


 聞いたことのない言葉に首を傾げる。

 一体、なんなのだろうか?

 名前的には宗教っぽいが・・・・・・


「この世を浄化することで、死後に神の御許に帰ることができるという教義で活動する素晴らしい宗教です」

「考え方自体は悪くないんじゃないですか? 浄化の意味はわかりませんが・・・・・・」


 人の考え方を否定するつもりはない。

 浄化という言葉も「綺麗にする」という意味ならさほど問題はない。

 だが、おそらくそんな単純な意味ではないだろう。


「悪しき者を駆除していくことですよ」

「悪しき者──魔物とか?」


 悪しき者ということは何か悪いことをした者のことだろう。

 人に迷惑を掛けるという意味で魔物などが考えられる。

 だが、ベテランメイドは呆れたように首を横に振る。

 ムカつく反応である。


「それも間違いではありませんが、それらは冒険者が対処してくれます」

「じゃあ、犯罪者とかかな?」

「そういう者たちも衛兵の管轄でしょう。我々にしかできないこともあるんですよ」

「どういうことだ?」


 意味が分からず、首を傾げる。

 たしかに犯罪者は衛兵の管轄だが、この人達にしかできないことなどあるのだろうか?


「一言で言うなら、神に嫌われた者ですね」

「神に嫌われた者?」


 また意味の分からない言葉である。

 一体、誰のことを言っているのやら・・・・・・


「【闇属性】──アテルお嬢様のことですよ」

「っ⁉」


 いきなり名指しされ、アテルは驚く。

 まさかそんな理由で狙われているとは思わなかったのだろう。

 てっきり彼女の属性に利用価値があるから誘拐したと思っていたが、事実は逆のようだ。


「闇とはこの世界を汚す存在。つまり、【闇属性】であること自体が神に嫌われた事への証拠なのです」

「・・・・・・」


 ベテランメイドの言い分にアテルは黙り込んでしまう。

 自分が【闇属性】であることを嫌がっていた彼女だ。

 ネガティブに考えているのだろう。


「アテルを狙う理由はわかりました。ですが、辺境伯夫人も同じ【闇属性】では?」


 気になったことを反論する。

 教義で【闇属性】を敵視するのは構わないが、アテルを狙って辺境伯夫人を狙わないのはおかしな話である。

 アテルが産まれるより前から彼女は【闇属性】の使い手として生を受けていたのだ。


「もちろん、辺境伯夫人も浄化の対象です。ですが、何事も順序がありましてね」

「順序?」


 順序とはどういうことだろうか?

 思わず首を傾げてしまう。







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