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2-13 転生した少年は見知らぬ場所に連れて行かれる


(ピチャッ)

「う・・・・・・」


 頬に水滴が落ち、冷たさで目が覚める。

 しかも、石畳の上で寝かされていたせいで全身が冷たくなっていた。

 視線の先には格子状になった金属があり、ここが牢屋のような場所だとわかる。


「良かった。起きたのね」


 意識を取り戻した僕に気づき、アテルが話しかけてくる。

 起き上がると、彼女の顔が目の前にあった。

 目元が赤くなっており、泣いていたことがわかる。


「ここはどこ?」

「わからない。どこかの建物の中だけど、土地勘がないから」


 申し訳なさそうにするアテル。

 普段から屋敷で過ごしている彼女には難しいことだろう。

 だが、それでも聞けることはある。


「ここまでどうやって来たかわかる?」

「目隠しされて馬車に乗せられたわ。だから、どんな風に移動したかもわからない」

「どれぐらい乗っていたか分かる?」

「そんなに長くは乗っていないと思う」

「なるほど」


 アテルが分かる範囲で情報を得る。

 正確な場所はわからないが、おそらく街からは出ていないだろう。

 周囲の壁や床はしっかりしており、街から離れた場所にある建物ではないと推測できる。


「ごめんね」

「ん?」


 いきなり謝罪をされる。

 彼女は申し訳なさそうな表情でこちらを見ていた。

 その目には涙が浮かんでいる。


「私のせいで巻き込んじゃったみたい」

「そうみたいだね」


 そこは否定することはできない。

 明らかに相手の狙いはアテルだった。

 近くにいた僕は巻き込まれただけである。


「他人に迷惑を掛けるなんて、やっぱり私は駄目だね」


 アテルは落ち込み、そんなことを呟く。

 人に迷惑をかけたことに後悔している様子だ。

 値は良い子だからこそ、そう思っているのだろう。

 彼女に言えるのは──


「それは違うと思うよ」

「え?」


 アテルは驚いた表情を浮かべる。

 まさか僕から否定されるとは思わなかったのだろう。

 現に彼女に巻き込まれて迷惑を被ったはずなのに、だ。


「アテルが狙われたのは何らかの価値があるからだ。そんな君が駄目なはずがないよ」

「でも、私のせいであなたは怪我をして・・・・・・」


 自分のせいで傷ついたことに申し訳ない気持ちがあるのだろう。

 やはり根は優しいのだろう。

 【闇属性】であることに周囲から距離を置こうとしていたのだ。


「君を守るためだったら、この程度の怪我はどうってことないよ」


 僕はにっこりと笑みを浮かべる。

 少しでも彼女を安心させてあげたいと思ったからだ。


「えっ⁉」


 彼女は驚きの声を漏らす。

 なぜか頬を赤らめていた。


「いきなりそんなこと言うなんて・・・・・・ちょっと早いというか・・・・・・」


 彼女は視線を逸らしながら、何か呟いている。

 一体、どうしたのだろうか?

 声が小さすぎて聞き取れない。


「ん?」


 ふと檻の一部が腐食しているのに気づいた。

 流石に金属そのものを破壊することはできないが、腐食していれば話は別である。


「アテル、走る準備をして」

「え?」


 彼女は驚きの声を漏らす。

 僕は右手を【身体強化】して、腐食した部分に勢いよく攻撃した。

 激しい音が周囲に鳴り響いた。







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