2-10 転生した少年は辺境伯に頼まれる
「実はお呼びしたのはこれも理由なんです」
「どういうことだ?」
辺境伯の言葉に爺ちゃんが反応する。
本当にどういうことなのだろうか?
「フォルテ子爵家に子供がいる情報を得て、その子が【無属性】ということも知りました」
「・・・・・・やはり知っていたか」
僕が【無属性】であることはバレていたようだ。
まあ、僕の存在を知ったのであれば、その情報を知られていてもおかしくはない。
だが、これがどう関係するのだろうか?
「キュリテの暴走もありましたが、俺はこれをチャンスだと思いました」
「チャンス?」
やはり夫人の暴走はあったようだ。
しかし、チャンスとはどういうことだろうか?
「レイ君、アテルと友達になっていただけませんか?」
「はい?」
辺境伯からおかしな提案をされた。
首を傾げる僕に彼は説明を続ける。
「あの娘──アテルは【闇属性】であることに嫌悪感を抱いています。その結果、自分の殻に閉じこもっています」
「つまり、【無属性】という似たようなの状況の僕なら親しくなれる、と?」
「言い方は悪いですが、そういうことです」
辺境伯は申し訳なさそうに肯定する。
【無属性】という人によってはかなり気にしている部分を利用しようとしているのだ。
断られたっておかしくない。
だが、彼にとってはそれぐらい娘のことが大事なのだろう。
その思いだけは本物のはずだ。
「そもそも友達って、誰かに言われてなるものではないでしょう」
「・・・・・・それはそうだな」
僕の指摘に辺境伯は少し考え、納得する。
友達とはいつの間にかなっているものだと思う。
誰かに言われた時点でそれは友達ではないはずだ。
といっても、前世でも友達はそこまで多くなかった僕がどうこう言えたものではないが・・・・・・
「ですが、彼女のことが心配なのは僕も一緒です」
「それって・・・・・・」
「彼女と仲良くなりたいです。僕も友達がいないので」
「おお」
僕が宣言すると、辺境伯は嬉しそうな表情になる。
まさか提案を受けてくれるとは思わなかったのだろう。
元々、断るつもりはなかった。
子爵領と辺境伯領は隣接しているので、仲が良いのにこしたことはない。
親の世代は問題ないが、子の世代──つまり、僕たちはこれからなのだ。
今から仲を深めていくべきだろう。
「よろしく頼むぞ」
「ええ、任せてください」
「だが、あまり仲良くなりすぎるのは困るな」
「え?」
自信満々に提案を受けたが、話の流れがおかしな方に進み始める。
先程と同じような笑みのはずなのに、瞳の奥に闇が見える。
「くれぐれも節度ある交流を頼むよ」
「・・・・・・わかりました」
子供相手に何を言っているのかと思ったが、反論せずに素直に受け入れることにした。
この人も【闇属性】なのか、と不安になってしまった。
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