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2-5 転生した少年は同年代と初めて出会う


(じ~)

「・・・・・・」


 辺境伯邸の廊下を歩いているが、空気が重い。

 なぜかというと、先程の女性に睨み付けられているからだ。

 彼女はキュリテ=トネル伯爵夫人と紹介された。


「ねぇ、爺ちゃん」

「なんだ?」

「どうして僕は敵意を向けられてるの?」


 素直な疑問を投げかける。

 もちろん、周囲に聞こえないように小声でだ。


「敵意がわかるようになるとは成長したな」

「はぐらかさないでよ」


 冗談めかして返事をしてくるが、笑い事ではない。

 女性とはいえ、大の大人が子供に対して敵意むき出しなのだ。

 明らかに普通ではない。


「まあ、ちょっと事情があってな」

「どんな事情があったら、子供にあんな敵意をむき出しにできるの?」

「なんと言ったら良いのやら」


 まったく意味が分からない。

 僕がもっと強ければ、彼女に文句も言えただろう。

 だが、今の状態じゃ確実に返り討ちである。

 といっても、何らかの衝突が起きる前に他の大人達が対処してくれるだろうが・・・・・・


「もしかして、お姉様とか言っていたのが関係ある?」

「そうだな」


 そういえば、彼女は母さんのことをお姉様と呼んでいた。

 二人は同年代ぐらいだから、昔からの知り合いなのだろう。

 そして、お姉様呼びするほど彼女は母さんに好意を抱いている。

 僕はそんな母さんの子供だから・・・・・・


「もしかして、僕に母さんが取られたと思っている?」


 そうだとしたら、なんとも大人げない女性だろうか。

 慕っている人に子供ができたら、普通はその子も可愛がるものじゃないだろうか?

 それなのに取られたと恨むのは駄目な気がする。


「間違っているわけじゃないが、正解とも言えないな」

「そうなの?」


 正解ではなかったようだ。

 そのせいで余計に理由がわからなくなる。

 爺ちゃんの反応から方向性は間違ってなさそうだが、それ以外に彼女に敵視される理由がわからない。

 果たしてわかるのだろうか?


「では、こちらにどうぞ」


 とある部屋に辿り着くと、入るように促される。

 屋敷の雰囲気に合わせてか、家具類も質素なものが多い。

 だが、質素な見た目だが良い品だと思われる。


「息子のレガンと娘のアテルです。12歳と8歳ですね」


 部屋の中にいた二人の子供を紹介する。

 辺境伯と似た元気そうな少年と夫人と見た目は似ているがどこか暗い雰囲気の少女だった。


「はじめまして、レガン=トネルだ」

「はじめまして、レイ=フォルテです」


 挨拶をしながら右手を差し出されたので、握手に応じた。

 彼から敵意を感じなかったので油断していた。


(グイッ)

「っ⁉」


 身体が引っ張られ、いきなり片手で持ち上げられた。

 急に身体が浮き上がり、驚いてしまった。

 だが、2年の訓練していれば、自然と身体が動いてしまう。


(バッ)


 握手していた手をはずし、反対の手で相手の手首を掴む。

 そこを起点に身体を回転させ、顔面に膝蹴りを放つ。


(バシッ)

「流石、フォルテ子爵のお孫さんだ」


 だが、その反撃はあっさりと受け止められた。

 やはり彼の方が格上だった。

 本気ではないとはいえ、【身体強化】した一撃だったのにな。


「いきなりごめんな。軽く実力を見ておきたくて、試してしまった」

「いえ、大丈夫です」


 謝罪を受け入れる。

 別に悪気があったわけじゃないようだ。

 周囲の大人達を見るが、彼を咎める気はないようだ。

 戦闘が日常の彼らにとって、この程度はただのじゃれつきなのだろう。

 一人だけもっとやれと思ってそうな人物もいるが・・・・・・







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