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2-4 転生した少年は辺境伯領に到着する


 1週間の旅路を終え、目的地に辿り着いた。

 初めての旅にしては長かったが、いろいろな経験があって飽きなかった。

 途中の村に立ち寄ったり、野宿をしたりとまたしてみたいと思った。

 次はいつになるかわからないけど・・・・・・


「へぇ、ここがトネル辺境伯の屋敷か。大きいなぁ」


 目の前の建物を見て、思わずそんな感想を漏らす。

 知っている建物で一番大きいのがウチの屋敷だから、貴族として格上なら大きくて当然か。

 だが、少し違和感があった。


「でも、なんか無骨な感じがするな」

「よく気がついたな」

「え?」


 僕の感想に爺ちゃんが反応する。

 無骨という表現は合っているのか。


「トネル辺境伯領は他国と隣接している上に、強力な魔物の生息地も近くにあり、対応をしないといけない。屋敷に被害が出ることも少なくはない」

「だからこそ、華美にはせずに質素な感じに?」

「そういうことだな」


 理由を聞いて、納得することができた。

 何事も華美にするには金がかかる。

 何度も出費するのであれば、安く済ませた方が良い。

 おそらく質素な分、頑丈さなどもあるのかもしれない。


「もうお付きになったんですね」


 屋敷から一人の男性が現れた。

 身長は190cmぐらいだろうか、爺ちゃんを一回り大きくしたぐらいだ。

 鍛えられた肉体がより大きく見せるが、優しそうな笑みから悪い人ではなさそうだとわかる。


「小僧、急に呼び出すとはどういうことだ?」

「いい加減小僧呼びは止めてくださいよ、師匠。これでも辺境伯として立派にやっているつもりなんですから」


 爺ちゃんの失礼な発言に笑顔のまま返事する。

 止めてくれとは言っているが、そこまで気にしている様子はない。

 この人が辺境伯なのか。

 というか、師匠?


「この子がお孫さんですか?」


 辺境伯の視線がこちらに向く。

 まるで値踏みをされているようにじっくりと見られる。


「初めまして、トネル辺境伯。レイ=フォルテと申します」

「ご丁寧にどうも。俺はレオン=トネル、この地で辺境伯をしているよ」


 自己紹介をすると、相手も返してくれる。

 手紙をいきなり送ってきたことから何か問題があると思っていたが、別に敵対するわけではないようだ。


「賢そうなお孫さんですね」

「私の孫なんだから、当然だろう」


 辺境伯が褒めると爺ちゃんが嬉しそうに反応する。

 自慢の孫になれて嬉しい気持ちになる。


「それで用件なのですが・・・・・・」

「お姉様っ!」


 辺境伯が話を進めようとした矢先、玄関の扉が勢いよく開かれる。

 中から黒髪の女性が飛び出してきた。

 そして、その勢いのまま母さんにツッコんでいき──


(ガシッ)

「・・・・・・貴族女性がする行動じゃないわよね、キュリテ」


──顔面をわしづかみにされていた。

 いわゆるアイアンクローである。

 あまりの自然な流れに何の反応もできなかった。

 辺境伯の方を見ると、呆れたように大きくため息をついていた。

 どうやら慣れた行動のようだ。







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