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2-2 転生した少年は自身の立場に気づく


「お父様」

「ん? ルクスか?」


 母さんがやってきた。

 側にはラビもいる。

 この2年の間にすっかり懐いている様子だ。


「きゅうっ!」

「ちょっと待って。汗かいてるから汚いぞ」


 ラビが僕に飛びかかってくる。

 甘えてくれるのは嬉しいが、汗をかいた自分とふれあって欲しくない。

 ラビは気にしてなさそうだが・・・・・・


「手紙が来ていたわ。トネル辺境伯家からね」

「何?」


 爺ちゃんが怪訝そうな表情を浮かべる。

 トネル辺境伯領はうちの領地の左隣にあり、国境沿いを守護している。

 お隣さんではあるが、僕はまだ会ったことはない。


「・・・・・・」


 爺ちゃんが手紙を確認する。

 どんどん顔が険しくなってくる。


「何が書いてあったの?」

「レイに会いたい、と書いてある」

「は?」


 爺ちゃんの回答に母さんが呆けた声を漏らす。

 相当驚いているようだ。

 いきなり当事者になって、僕も驚いている。


「流石にずっと隠しておくのは無理だったようだな」

「まあ、そうよね」


 どうやら僕の情報は隠されていたようだ。

 だが、どうして隠されていたのだろうか?

 別に隠すようなことではないと思うが・・・・・・


「しかし、こちらを呼び出すとは良い身分だな、あの小僧」

「向こうの方が身分が上なんだから当然でしょ」


 爺ちゃんの怒りに母さんがツッコミを入れる。

 うちは子爵家なので、辺境伯家の方が当然偉い。

 小僧扱いしているから、爺ちゃんの方が年上なのだろう。

 子爵はまだ若いのかな?


「仕方がない、行くとするか」

「良いの?」


 結局爺ちゃんは相手の招待を受けることにした。

 受けるのは当然だが、意外とあっさり承諾したことに疑問に思った。

 思わず爺ちゃんに聞いてしまう。


「いずれはレイのことをお披露目しないといけなかったからな。辺境伯家を敵に回すのはこちらにとっても利にはならないし」

「僕のことを伝えないだけで敵になるの?」


 なぜそんなことになるのだろうか?

 貴族の風習はよくわからない。

 異世界出身の元平民だからかな?


「まあ、いろいろと事情があるんだよ。さて、どこまで伝えるべきか・・・・・・」

「?」


 爺ちゃんはまだ悩んでいる。

 僕の何を伝えることが不安なのだろう。

 だが、すぐに気がついた。

 僕は【無属性】──この世界においては無能の烙印を押されている。

 そこがネックになっているのか?







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