第二章 プロローグ 暴走する女性と宥める男性
第二章、始まります。
「なあ、知っているか?」
「何を?」
男の問いかけに女性が反応する。
内容が分からないので、彼女は知っているとも言えなかった。
「フォルテ子爵家に当主候補の子供がいるってさ」
「はぁっ⁉」
女性は驚きの声を上げる。
かなり予想外の内容だったようだ。
「どういうことよっ! いつの間に結婚したの?」
女性は語気を強め、男に詰め寄る。
その剣幕に男は若干引いていた。
「落ち着けよ」
「落ち着けるわけないでしょっ!」
男が宥めようとするが、女性はまったく落ち着かなかった。
むしろ徐々にヒートアップしている。
「とりあえず、うちの情報網で集められる範囲では8年ほど前に実家に彼女は戻ってきたらしい。そのときに赤ん坊を連れていたらしい」
「それって、一人で?」
「ああ、そうみたいだ」
情報網はほぼ確実だと思い、男は頷いている。
情報は正しいが、女性の変化には気づいていなかった。
「・・・・・・」
「え? なんで武器を持っている?」
なぜか女性は大剣を装備していた。
いきなりの行動に男は驚く。
「相手の男を○しに行くの」
「ちょっと待てっ! 相手は誰かわからないんだよっ!」
とんでもないことを口走る女性を慌てて男は止める。
だが、怒りの感情に飲まれた彼女は力が強く、徐々に引きずられる。
「わかった。フォルテ子爵家の方々をこちらに呼ぼう。その時に聞けば良いだろう」
「え?」
男の提案に女性は正気に戻る。
その表情には喜びの感情が見える。
「もしかして、久しぶりに会えるの」
「ああ、そういうことだ」
「楽しみだわ。しっかりとお手入れしないと」
るんるん気分で女性は部屋から出て行った。
その様子に男は安堵で息を吐く。
「・・・・・・さて、どうなることやら」
だが、別の心配ごとが出てきた。
彼女が件の人物達に出会い、正常でいられるだろうか、と。
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