エピローグ 小さな少年は異世界生活の今後に期待する
(コンコン)
「はい」
扉がノックされ、返事をする。
入ってきたのは母さんだった。
「レイ、無事だったのね。良かったわ」
「うん」
安心した様子の彼女に笑顔で答える。
息子が気絶をしたなら心配するのは当然で、申し訳ない気持ちになる。
「あら、かわいらしい子ね」
「ラビっていうんだ」
母さんがラビに反応する。
小動物が好きなのかもしれない。
(ビクッ)
「ラビ?」
だが、ラビはなぜか身体を震わせ、僕に寄り添ってくる。
まるで隠れているように・・・・・・
「ああ、やっぱり」
「母さん?」
なぜか落ち込む母さん。
一体、どうしたのだろうか?
「ルクスは怖いからな。身の危険を感じたんだろう」
「・・・・・・お父様」
爺ちゃんが笑うと、母さんが睨み付ける。
どちらかというと、こちらの方が怖い気がする。
爺ちゃんは気にした様子はないが・・・・・・
「ラビ、安心して。母さんは優しい人だよ」
「きゅぅ?」
不安げなラビを撫でると「本当?」といった表情でこちらを見てくる。
庇護欲がとても掻き立てられる。
「僕の母さんだから当然でしょ。さぁ、挨拶して」
「きゅう」
僕が促してあげると、勇気を出して前に出る。
そして、母さんに頭を下げる。
「ふふ、よろしくね」
「きゅぅ」
母さんも笑顔で返事をする。
優しく撫でてあげると、ラビは気持ちよさげな表情になる。
これで大丈夫だろう。
「お父様」
「なんだ?」
「レイが怪我をしたことで話があります。あとで時間を取ってください」
「う・・・・・・」
爺ちゃんが嫌そうな表情をする。
母さんは笑みを浮かべているが、背後に怒りのオーラを感じる。
息子がこんな状況なのだから、それも仕方がないだろう。
「きゅぅ・・・・・・」
先程とは違う笑顔を見て、ラビは身体を震わせる。
野生としての恐怖を感じているのだろう。
ごめん、やっぱり母さんは怖いのかもしれない。
でも、本当は優しい人なんだよ?
じっと睨み付ける母さんと居心地の悪そうな爺ちゃん。
雰囲気が悪いが、二人の仲は悪くないのは知っている。
この家族にラビが加わった。
案外、この世界での生活も充実してきた。
無能だとしても、良い感じで生活できる気がするな。
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