1-19 転生した少年は祖父の強さを目の当たりにする
「大丈夫か、レイ?」
世間話をするようなテンションで声を掛けてくる。
まったく焦った様子はない。
「グオオオオオオオオオッ」
「爺ちゃん、危ない」
熊は怒り狂って暴れようとする。
前足を横薙ぎに振るう。
(パシッ)
「何が危ないんだ?」
「えっ⁉」
だが、その攻撃はまったく効果はなかった。
爺ちゃんがあっさりと受け止めたことに驚いてしまう。
「まさかこんな浅い場所にクレイジーベアが出るとは・・・・・・」
「こいつがクレイジーベアだったのか」
余裕がなかったので気づかなかった。
読んだ本の中にも書いてあったはずだ。
狂ったように暴れ回る熊でその相手は敵味方関係ない。
知能が足りない分、戦闘能力はかなり高く危険である。
まさかそんな相手だとは思わなかった。
でも、クレイジーベアをあっさり押さえ込む爺ちゃんはどれだけ強いのだろうか?
(グイッ)
「グオッ」
爺ちゃんが前足を引っ張ると、クレイジーベアの身体が宙に浮く。
背中から地面に叩きつけらる。
その重量で地面にひびが入っている。
「躾のできてない獣は駆除だな」
爺ちゃんが右手に【身体強化】を使う。
僕よりも何倍も魔力が集中している。
「ふんっ」
(ボゴッ)
クレイジーベアの顔面に拳がめり込んだ。
僕の攻撃がまったく通らなかったのに、一撃で大ダメージを与えていた。
クレイジーベアは力なく地面に倒れた。
動かないので、絶命しているようだ。
「熊の弱点は鼻のあたりだ。そこを攻撃すれば、こうやって倒すことができる」
「爺ちゃんだからできるんだよ」
思わずツッコミを入れる。
熊の弱点が鼻のあたりであることは知っていたが、僕ではどうしようもなかった。
僕程度の攻撃では例え弱点でも一撃で仕留めることはできないし、真正面から攻撃しないといけないので反撃される可能性が高かった。
爺ちゃんのすさまじさをこんなところで知ることになるとは・・・・・・
実際に熊に出会ったら、どうすればいいのか・・・・・・
死んだふりも駄目なんだよね?
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