1-17 転生した少年は強敵と対峙する
強敵との戦闘です。
格上を相手にどう戦うのか?
(ダッ)
「とりあえず、逃げるしかないか」
足に【身体強化】をかけ、その場から駆け出した。
前世なら、熊に出会ったときに逃げようとするのは悪手だろう。
だが、【身体強化】を使える今なら逃げきれる可能性もあるのではないか?
「グオオオオオオオオッ」
(ビュッ)
「え?」
しかし、その作戦も失敗に終わる。
雄叫びと共に顔の横を何かが通り過ぎた。
進路の少し離れたところに大きめの岩が落ちていた。
「マジで?」
そんな反応しかできなかった。
直撃していたら、確実に絶命していた。
「グオオオオオオオオッ」
振り向くと、熊はなぜか暴れ狂っていた。
ここであることに気がついた。
「正気じゃない?」
目に【身体強化】をかけると、目の焦点が合っていないことに気がついた。
暴れ方も僕を狙っているというよりは、縦横無尽に動いている感じだ。
もしかして、うまくすれば逃げられる?
(パキッ)
「ぐおおおおおおおおおっ!」
「っ⁉」
動こうとした瞬間、木の枝を踏んで折ってしまう。
熊はこちらに気づき、襲い掛かってくる。
ギリギリのところで回避行動をとる。
追撃を避けるために体勢を整えるが──
「あれ?」
熊は先程まで僕がいたあたりで暴れていた。
こちらに向かってくる様子はない。
一体、どういうことだろうか?
しばらく様子を観察してみる。
前足を振るうと地面が抉れ、木の幹をたたき折り、岩を砕く。
「もしかして・・・・・・」
あることに気がつき、近くにあった小石を拾う。
それを少し離れた木にぶつける。
「グオオオオオオオッ」
(バキッ)
熊が前足を振るい、木に攻撃する。
ドシンと重い音で木が倒れる。
倒れた木にさらに追撃をする。
「音に反応してるのか」
そう結論づけた。
焦点があっていないので、見えているのかわからない。
だが、音には敏感だから、そちらに向かって攻撃しているようだ。
「・・・・・・それがわかっでも、対処のしようがないな」
音に反応する相手だとわかっても、現状の僕には何もできない。
攻撃をしても、逃げようとしても動くことで音が出る。
そこに反応され、相手に反撃されてしまう。
しかも、相手の身体能力の方が数段上である。
だからこそ、音を出してからという後出しでも対処できるのだ。
一体、どうすればいいのか?
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