1-9 転生した少年は訓練を始める 3
「魔力が流れる感覚を掴めたか?」
「うん、なんとなくは」
魔力が体内を流れているのは理解できた。
まさかここまでわかりやすいとは思わなかった。
いや、爺ちゃんがわかりやすくしてくれたのか?
「では、その魔力の流れを操ってみなさい」
「え?」
いきなりとんでもない指示をされる。
いくらなんでも魔力の流れを知ったばかりの僕にさせることではないだろう。
だが、爺ちゃんは真剣そのものだった。
「魔力の流れが感じられているのであれば、操ることもさほど難しくはない」
「どうやってやるのかわからないんだけど・・・・・・」
「まずは流れに集中してみなさい。そうすれば、自ずとやり方がわかるはずだ」
「・・・・・・やってみるよ」
仕方がないので、言われたとおりのことをやってみる。
目を閉じて、全身に流れる魔力に集中する。
魔力の流れをより鋭敏に感じることができた。
しかし、ここからどのようにすれば良いのかわからない。
とりあえず、魔力が右手に向かうように意識する。
「おぉっ」
右手に魔力が集まり、思わず声を漏らしてしまう。
なんとも言えない感覚でうまく表現できない。
違和感があるが、決して気持ち悪いわけではない。
自分の魔力だからだろうか?
「できたようだな。では、その魔力で【身体強化】をしなさい」
「しなさい、って言われても・・・・・・」
なまじ上手くいったせいか、説明が飛ばされている気がする。
もう少し丁寧に説明して欲しい。
「そういえば、【身体強化】──いや、魔法の使い方の説明自体していなかったな。簡単に言うと、魔法とはイメージの具現化だ」
「イメージの具現化?」
思わず首を傾げてしまう。
一体、どういうことだろうか?
「簡単に言うと、やりたいことを実現させる──魔力をイメージした魔法に変換させるんだ」
「やりたいことを実現させる、イメージする」
言われたことを繰り返す。
魔力の集中した右手を見る。
まだまだ子供なので、弱そうな見た目である。
ごつい手の持ち主であれば、馬鹿にされることはなかっただろうか?
もっと強くなりたい──心の中でそう思った。
(バキバキッ)
「っ⁉」
右手の筋肉がいきなり膨張した。
思わず驚いてしまった。
だが、すぐに萎んでしまう。
(ガクッ)
足から力が抜け、その場に座り込んでしまう。
どうにか立ち上がろうとするが、体をうまく動かせない。
一体、どういうことだ?
「まさか、いきなりここまでできるとはな。ご褒美に休憩しよう」
少し驚いた爺ちゃんが僕の体を抱きかかえる。
力の入らない僕はただただされるがままに連れて行かれるだけだった。
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