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星を巡る竜  作者: 夢想紬
第三章
87/227

02 思い掛けぬ接触

 マーベル王国宰相、マルゴ・テレンス・エンマイヤー公爵は自身が治める領内の鉱山から正体不明の軍隊が出現したとの報告を受け、急ぎ騎士団を派遣した。

 だが盾となるべき騎士団は、その代表を連れて戻る事となる。


 鉱山には度々ファラゴという炎を操る魔獣が出現するのだが、正体不明の軍隊はその魔獣を見たこともない武器でいとも容易く撃退していたのだ。

 騎士団長はその軍隊の圧倒的戦闘力に自分達の敗北を確信し、接触を試みると、あっさりと意思疎通を図る事に成功する。

 彼ら自身が話す言葉は理解できないものの、防具には見えない彼らの頭に付ける物がやや間を取るものの、自分達の言葉を話したからである。


 エンマイヤー公爵は騎士団長からの報告を受け、半信半疑ながらもその軍の長と独断で会談を行った。

 それによりエンマイヤー公爵は、エルナダ軍の領地内での安全の保障、鉱物資源の採取を認め、その見返りとして軍事力の提供を受けるという密約を交わす。


 エンマイヤー家はマーベル王家から別れた家系であり、代々マーベル王家を補佐し国政を担う立場を守って来た。

 だが、現当主のマルゴは現国王の事なかれ主義への不満を払拭する事ができず、この機を使って強硬策、つまり王家の暗殺という計画を目論む。

 だがそれは国王派の貴族によって事前に察知され、親衛隊の迅速な対応によって計画の変更を余儀なくされてしまう。


 やむを得ず、エンマイヤー公爵は味方貴族と配下の騎士団、そしてエルナダ軍を伴って国王不在の王城を占拠、反対派を拘束する。

 反対派に所属する騎士団は当然反発を見せたのだが、エルナダ軍の威嚇射撃のみで反撃を断念、まして領主を人質に取られてしまっては軍門に下る以外に選択肢は無く、エンマイヤー公爵は一先ず国内の戦力をその手中に収める事に成功するのであった。


 そんなエンマイヤー公爵の目下の急務は、逃亡した王家の捜索であった。


「ええい、まだ王家の者は見つからんのか!」

「はっ。手を尽くしておりますが、親衛隊の足取りもまだ……」

「捜索の手を拡げろ! もはや生かしてなくても良い!」

「は! それでは直ちに。失礼致します」


 王が不在の執務室では、エンマイヤー公爵が直属の騎士団長に苛立ちをぶつけていた。


「くそっ、こんな時こそ手を貸してくれれば良いものを……ソートンめ……」


 騎士団長が執務室を後にすると、エンマイヤー公爵は苦々しい表情を窓の外へと向けた。

 そこには王城の別棟が有り、眼下の窓に明かりが灯っている。

 そこはエンマイヤー公爵がエルナダ軍のソートン大将に与えた客室であり、別棟自体には二百名程のエルナダ兵が詰めているのであった。


 エンマイヤー公爵は王家の捜索にエルナダ軍が有するビークルなる物を借りられないかとソートン大将に頼み、断られていた。

 ビークルとは組み立て式の簡易車両であり、組み立て方次第でその形状を自在に変更できる車両であるが、エルナダ軍はそれを五台も有していたのだ。


 この地では右も左も分からないエルナダ軍を保護する事で、自国に対して、またエルナダ軍に対してもエンマイヤー公爵は有利な立場を得たと思い込んでいた。

 実際魔人族という一度も勝利できない存在が居る事を話した時は、ソートン大将は快く偵察を買って出てくれていた。

 だが、やがてソートン大将は好き勝手に自身の部隊を二百名程残して東や南へと動かし始め、たった数ヶ月でその立場が揺らぎつつある事に、エンマイヤー公爵は不安を覚え始めていたのであった。










「失礼します、閣下。エクト中佐よりコーザ・アルマロンド連合王国との交渉に入ると連絡がありました」

「そうか。ならば交渉は決まったも同然だな……こちらも準備を急ぐとしよう」

「はっ」

「それで、転移装置は相変わらずか?」

「は。やはり、本国への転移は行われません……南の鉱山へと繋がるのみです」

「そうか……分かった」

「では、失礼します」


 エンマイヤー公爵が見下ろす別棟の客室では、部下が退室しソートン大将が一人ソファに身を深く沈めながら卓上の蝋燭を見つめていた。


「物資が送れぬのはちと不味いが……この星を掌握したとなればヨルグヘイム様も怒りはすまい……少々退屈にすぎる地ではあるがな……」


 ソートン大将は一人呟きながら笑みを溢す。


 彼は再び転移装置が回復し、ヨルグヘイムが姿を現す事を想定していた。

 本国と比べれば遥かに文明の遅れた世界ではあるが、自然に満ち溢れ、食事や酒も美味く、ソートン大将はこの地を気に入っていた。

 そして、ヨルグヘイムは資源以外の価値をこの地に見出さないだろうとも思っていた。

 故に彼は、今後もこの地に留まり資源の供給に尽力させて欲しいと申し出れば、ヨルグヘイムはその要求に異を唱えないだろうと考えていたのだった。


「それよりもだ……西の部隊との連絡手段だな……まったく忌々しい森だ……」


 ソートン大将は笑みを潜め、途端に思案顔になる。

 それは魔都へ送った部隊との通信が一週間以上途切れている事であった。


 魔都に侵攻した部隊を追従していた支援部隊は強力な通信設備を持っていたのだが、想定よりも森は深く、森の半ば辺りから通信状況は極端に悪くなった。

 支援部隊は中継点を細かく設けるなどして通信を確保しようと試みたのだが、森の三分の二を過ぎた辺りから、通信は完全に途切れてしまっていた。

 支援部隊は何とか通信を確保するべく、通信限界点に分散させた部隊を中継点として残して先行する偵察部隊を追ったが、中継点として残った部隊はヴォルフに襲われ、エルノアールによって全滅させられる事になる。

 いよいよ通信が不可能になった支援部隊は仕方なく偵察部隊を追い、偵察部隊が越えた山の頂から中央山脈への直接通信に望みを託すのだが、アイスによって全滅する事になってしまったのだった。


 そんな魔都へ向かった部隊の悲劇を知らぬソートン大将は本国から設備や装備を補給出来ぬ状況を憂いつつも通信士を呼び、通信の回復を命じるのであった。










 野営地で雑談しながら食事を摂るマーベル王国親衛隊であるが、周囲には交代で見張りの為の人員が割かれ、周囲への警戒はしっかりと成されている。

 その内、北に配されたジェド・ハイマーは倒木に腰掛け、楽にしながらも周囲の音を聞き洩らさぬ様に耳に全神経を集中していた。

 ジェドは二十代半ばと親衛隊の中ではかなり若い騎士ではあるが、剣技に優れ、礼節も弁えている青年であり、噂を聞きつけた隊長のゼノ・メイヤー直々に地方領騎士団から親衛隊にスカウトされた逸材であった。


 そのジェドが足元に目をやり、再び視線を戻した時だった。


「――ッ!?」


 ジェドは一瞬目を疑い、息を呑んだ。

 何故なら、彼の二メートル程前方に一人の少女が立っていたからである。


 少女はちらちらとジェドの背後の様子を気にしながら、おずおずとジェドに近付き、口を開いた。


「こ、こんばんは……あの、お腹が空いて……」


 ジェドは少女の言葉を耳にしながらも理解するのにやや時間を要した。

 何故ならジェドはその少女の美しさに目を奪われてしまっていたからである。


「えっ、ああ……そ、そうなのか……いや、そうじゃない! 君……一体どこから来たの? 一人なのかい?」


 しかし、脳が少女の言葉を理解するとジェドは本来の職務を思い出し、紳士たる親衛隊として優しく少女に問い掛けた。


「え……あっ! ふえっ……どうしよう……はぐれちゃった……」


 少女はジェドの問いにきょとんとした顔を覗かせたが、何かを思い出したのか、うるうるとした瞳をジェドに向けた。

 森の中を空腹に耐えながら歩いていた少女は、ふと鼻をくすぐる美味しそうな匂いに釣られ、気付けば今こうしていた。

 その間の記憶がすっぽり抜ける程の食への渇望を持つ少女、それはリュウを置き去りにしてきたアイスであった。


「と、とにかくこちらに来なさい……皆と居れば安全だから……ね?」


 突然泣き出しそうになったアイスに優しく声を掛けながら、ジェドはアイスを皆の所に連れて行く。


「隊長、失礼します。実はこの少女が……連れとはぐれてしまった様です。保護の必要が有るかと……」

「こんな森にそんな軽装でか!? お嬢さん、お名前は?」


 ジェドに声を掛けられ、食事を終えて部下達と今後の相談をしていた親衛隊長のゼノはその報告に驚き、怯えた様に佇むアイスに名を尋ねた。


「ア、アイス……です……」

「怖がらなくてもいいぞ? 我々はマーベル王国親衛隊の者だ。私は親衛隊の隊長のゼノ・メイヤーと言う。君はマーベル王国の者かね?」

「い、いいえ……あの、よく分からないです……」


 おずおずと答えるアイスにゼノは目元を和らげ身分を明かし、更にアイスに質問する。

 周りに居る隊員達も、突然現れた美しい少女にぽかんと見惚れている。


 そんな時、アイスのお腹から「くぅ~」と可愛らしいお腹の虫が鳴り、アイスは顔を真っ赤にして縮こまった。


「隊長、先に食事を与えて落ち着かせてはいかがですか?」

「そうだな。アマンダ、ネラ、頼めるか?」

「はい。アイスちゃん、こっちにいらっしゃい……」


 それを脇で見ていたやや小柄な女性隊員のアマンダ・ベイトに提案され、ゼノはその隊員と隣に居たネラの二人に、アイスの事を任せるのだった。










「大丈夫ですか? ご主人様……」

「いててて……大丈夫、大丈夫。治癒の竜珠有るし……」

「こんな事なら最初から外装皮膜を展開しとけば良かったですぅ……」


 アイスを追って木々の密集する所を無理矢理抜けて来たリュウは、棘のある植物に気付かずにあちこちに引っかき傷を作っていた。

 棘が刺さっている所も多数有り、ミルクとココアが人工細胞を使って押し出しては治療している。


「くそー、アイスめ……どうせならもっと広い所を通れよな……飛べねえし……」

「まぁまぁ、ご主人様……あ……」

「何だよ?」


 治癒の竜珠を首から下げ、少し歩き易くなった所でほっとしたのか、ブツブツと文句を言うリュウをミルクが困り顔で宥めるのだが、そのミルクが何かに気付いた様だ。


「ア、アイス様の行動の理由が……分かった気がします……」

「え、マジで?」


 ポツリと呟くミルクにリュウが驚いた顔を向けるが、何故かミルクの表情は疲れている様に見える。


「あ、ココアにも分かった……けど、姉さま、それって凄くない!?」

「凄いわよ……ボスだって気付くかどうか……」


 するとココアも気付いた様で、少し興奮気味にミルクに話し掛けるが、ミルクは肯定するものの、その表情は呆れた様な、困った様な、何とも言えない表情だ。


「おい、俺にも分かる様に教えろよ……」

「ご主人様にももうすぐ分かりますよ……ガイドを表示し直しますね?」

「何なんだよ……」


 蚊帳の外に置かれたリュウが二人に説明を求めるのだが、ミルクは詳細を話さずリュウの視界に新たな進行ルートを表示するに留め、リュウは困惑するものの仕方なくガイドに沿って追跡を再開した。


「あ? 何か良い匂いがする……」


 暫く歩き続けたリュウはふと、鼻をくすぐる食欲をそそる香りに気が付いた。


「気付かれました?」

「え? あ! もしかして、あいつこの匂いに誘われて!?」


 ミルクに問われ、漸くリュウにもさっきの二人の会話が理解出来た様だ。

 リュウの呆れた表情を見てミルクが分かって頂けましたか!? と嬉しい反面、困った様な表情をしている。


「ね、アイス様、凄いですよね……あんな遠くから気付いてたなんて……」

「確かに凄いな……凄い……アホだ……」

「ご、ご主人様! それは言い過ぎですぅ!」


 アイスを凄いと言いながらもココアの表情も呆れ気味なのを見て、リュウは素直に感想を口にし、ミルクが慌てて訂正を求める。


「でも、お前らだって呆れた顔してるじゃねーか……」

「そ、それは……」

「あは、は……」


 だがリュウに表情を指摘されると、ささっと目を泳がすミルクとココアなのであった。










 それからすぐに、リュウ達は親衛隊の野営地へと辿り着いた。


「あの、すみません。こっちにアイスって女の子が来ていませんか?」

「ああ、君が! 良かった。さっき連れとはぐれてしまったとやって来て、こちらで保護しているよ」

「すみません。ありがとうございます」


 見張りに戻っていたジェドにリュウは素直に話し掛けると、ジェドはにこやかに対応し通してくれた。

 因みにミルクとココアは面倒を避けて、とりあえずは隠れている。


「アイスちゃん、本当に美味しそうに食べるわね……作った甲斐があるわ~」

「本当ね。見てるこっちまで幸せな気分になるわね……」


 空き地の一角では丸太を削った簡素なちゃぶ台くらいのテーブルで、アマンダとネラが地面に敷物を敷いて足を崩しながら、にこにこと食事を頬張るアイスを見て笑顔を溢していた。


 大半の者が食事を済ませて寛ぐ中、リュウはアイスを見付けると、脇目も振らずつかつかとアイスの元に歩み寄る。

 人間族は布地の服を着る為、騎士達は革のベストを着ているリュウを珍しそうに見てはいるが、先程保護された少女の連れなのだろうと、ほっとした表情で眺めていた。

 だがリュウの背中に背負うバックパックの陰からミルクとココアが姿を現すと、気付いた者達からどよめきが漏れた。


「ご主人様、あの、アイス様を叱らないであげて下さいね?」

「……」


 ミルクは周りの目を気にもせず、アイスを庇おうと声を掛けるが、リュウからの返事は無い。


『だめよ姉さま……ご主人様の額を見て……』

『!? ひぅ……青筋が浮いてるぅ……』


 するとココアからの秘話回線が入り、ミルクは思った以上に事態が不味そうだと認識を改めた。


「あ、あの、ご主人様――」

『だ、ダメよ姉さま……ココア達までとばっちりが……』

『で、でもぉ……』


 それでもミルクは意を決してリュウの説得を試みようとするのだが、ガクブルしているココアの声で出鼻を挫かれ、おろおろする間にリュウがアイスの背後に到着してしまった。


 アマンダとネラはアイスの背後にやって来たリュウを見て、皆と同じ様に連れの少年が迎えに来たのだと、ほっとした表情を見せた。

 だがミルクとココアを見て目を見開き、リュウが胸の前に拳を掲げその中指だけを拳から僅かに突出させたのを見て、口元が引き攣った。

 そしてリュウはアマンダとネラが止める間も無く拳をアイスの頭に落とした。

 その瞬間、ミルクとココアは首を竦めて両手で顔を覆っていた。


「はぐぅっ!? あぎゅぅぅぅぅ……う~、う~……うぎゅぅぅぅぅぅ……」


 突然の頭部への衝撃にアイスは唸りながら頭を押さえ、必死に痛みと戦っている様だが、相当痛かったのか可愛らしい声で唸り続けている。


「うぎゅ~じゃねーだろ……このアンポンタン!」

「リュ、リュウぅぅぅ……ひど……いよぅ……う~……」


 自分を叱る声が、はぐれてしまったリュウだと分かり嬉しいはずのアイスだが、今はそれどころでは無く、涙目をリュウに向けるので精一杯だ。


「お前に置いて行かれたお蔭で、こっちは飛べねーわ、体中に棘が刺さるわ、大変だったんだぞ……なのに一人で美味しそうに食事って何だ!?」

「ちちち、違うんだよ……アイスも気が付いたらここに居て……お姉さんが食べなさいって……」


 そしてリュウの恨み言に、アイスは頭を両手で押さえたままの姿で、あわあわと言い訳を始めたのだが、食事に夢中になっていた事を想い出し、目を泳がせた。


「ほう……無意識にここまで来たのか……凄いぞ、アイス!」

「え!? えへへぇ……ふぇ?」


 だがリュウは突然にっこりと笑顔になってアイスの頭を撫で始めた為、アイスは一瞬きょとんとしたものの許して貰えたのだと気を緩めたその瞬間、リュウに頬を掴まれた。

 再びきょとんとリュウを見るアイスの顔が凍り付く。

 額に青筋を浮かべるリュウの笑顔の何と怖い事か……。


「とでも言うと思うか? 食いしん坊ってレベルじゃねーな……この食い意地魔人が……謝るより先に言い訳する口はこれか?」

「ひびびびび……ほへんあひゃい(ごめんなさい)! ほへんあひゃ~い(ごめんなさ~い)!」


 リュウにぎゅうっと頬を引っ張られ、アイスは必死に謝った……つもりだ。


「ご主人様っ! ダメですってば! アイス様のほっぺが……ぷふっ……伸び……てる……」

「ふわあ!? アイス様のほっぺ……柔らかすぎますぅぅぅ!」


 慌ててリュウを止めようとするミルクは、アイスを見てつい吹き出した。

 ココアは止めるのも忘れて、アイスのむにゅっと伸びる頬に感動すら覚えている様子だ。


「確かに凄えな……」


 それにはさすがにリュウも同意せざるを得ず、摘まんでいる指の力を抜くと、ニィっと笑って更に反対側のアイスの頬も摘まみ、両手でむにむにと引っ張りだした。


ひゅぅぅ(リュウぅ)……ほーあへへよおお(もーやめてよぉ)~」


 反省しているのか抵抗もせず頬を引っ張られるアイスだが、さすがに恥ずかしくなったのか、赤く困った顔で弱々しく抗議する。


「もう勝手に居なくなるなよ? 心配すっだろ?」

うぅ(うん)……」


 そしてリュウに念押しされてコクリと頷くと、アイスは漸く頬を解放された。


「良かった、アイス様ぁ。心配したんですよ?」

「頭とほっぺた痛くないですかぁ?」


 すると、ミルクとココアがアイスを心配して声を掛けるのだが、アイスの背後に近寄って来たアマンダとネラの視線を感じ、リュウの肩へとサッと戻った。


「君、心配してたのは分かったけど、いきなりげんこつを女の子の頭に落とすのはやり過ぎじゃないかしら?」

「え、あー、すみません……つい……」


 左からアイスを庇う様に前に出たネラは態度こそ落ち着いてはいるが、その目は厳しく、リュウは非難されても仕方が無いか、とポリポリと鼻を掻いた。


「違うの……アイスが悪いの――」

「それもだけど、ネラ! こっちよこっち……妖精よ!?」


 それをアイスが止めようとすると、右から出て来たアマンダに言葉を遮られてしまった。


「え、ええ……本当に居たなんて……で、その妖精達を連れているあなた達は一体何者なの?」


 アマンダに同意するネラは僅かに困惑の表情を見せたが、リュウを正面に見据えると、ストレートに尋ねた。


「私も知りたいな。君達が何者なのか教えてくれるかね?」


 そしてリュウが言葉を発する間も無く、リュウの背後から声が掛かり、リュウはポリポリと鼻を掻きながら振り返るのだった。

令和ですね。

平成より良い時代になって欲しいですねぇ。

さて、3章2話目のアップとなりますが、この後はまた書き貯めしますので

当分更新をお待ち頂かなくてはなりません。

すみませんが、ご理解下さい。



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