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モンスターに転生するぞ[追加版]  作者: 川島 つとむ
第三章  自由を求めて
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3-1 反省会

 「それでは反省会をしたいと思います~」


 それぞれ昼食を持って食堂に集まった僕達は、ブレンダの宣言により反省会を始める事になった。


 僕はこの体になって、食事を取らなくてもお腹が空く事が無くなったのだけれど、一応前に話していたアルコールランプが用意されていた。

 わざわざ用意されていたのだから、ありがたく頂かないとだな・・・・・・


 「ファイア」


 みんなが席に着くと、さっそくレイシアがアルコールランプに火を付けてくれる。


 なんとなく魔法が使えるようになった事で、日常的に使いたくて仕方がないって感じだな。


 しかし完全に吸収してしまうと毎回火を付けなければいけないので、炎の上の部分から火の一部を吸収していく。

 別に人間のように顔があるからといって、口から食べる必要性はなく、体のどの部分からでも火を吸収出来るみたいだ。


 ちなみに顔といっても凹凸があって、そう見えるだけって感じだった。

 実際に目玉とかあったら燃えているだろうしな。

 髪の毛もなくつるっ禿げだったので、炎で造形してフサフサに見えるよう加工してみた。さすがに禿げは嫌だからな~


 そんな感じなので手を炎の上にかざした状態で、食事する事にした。犬のように食べたくはないしな。




 みんながこちらを見ている中、さっそく食べていたのだが・・・・・・ふと手の位置を動かせば炎が伸びた気がする。


 火を吸収しながら上の方に距離を離してみると、手とアルコールランプの芯の部分から縦に伸びたように炎が繋がって、興味深い現象になっている。


 どこまで炎が伸びるのか遊んでいたら、三十センチ程は伸びたかな。

 おそらくはもっと盛大に燃えていたら、かなりの距離を伸ばせると思う。


 キャンプファイヤーとかどうだろうか・・・・・・


 やはりアルコールアンプでは炎の勢いが小さ過ぎるな。

 ふむ、曲げる事も出来そうなので、応用すれば水芸みたいなことも出来そうだ。やらないけれどな!


 満腹具合は、そこまで満たされた感じはしないのだが、これも気分的なものだろう。

 一応食べたって感じはする。


 それはいいが、みんな・・・・・・レイシア達もこちらに気を取られて反省会って雰囲気じゃなかったのだけれど、食堂に来ていた他の生徒達まで、こちらを気にしているのがわかった。


 これはちょっと遊び過ぎたかもしれない・・・・・・


 派手な演出になって注目を集めていたが、手を振る事でそれぞれの行動へと戻るように促した。

 ザワザワしていたけれど、騒ぎって程ではないのでここはスルーの方向で・・・・・・




 「今回のクエストで私とバグは、特に問題はなかったわよね?」

 「ええ、バグのご主人である私も問題なくない?」


 ・・・・・・。みんなが少し考え込む。

 僕としては、もう少し臨機応変に動くべきではって思いはあったりする。言葉通じないから話し合いに参加出来ないのだけれどね~

 だがまあ召喚使いって面ではこんなものだろう。

 これ以上を求めるのなら、召喚出来る種類を増やしていくしかない。


 ゲームとかならレベル上げをすればいいのだが、この世界の召喚術士はどうなのだろう?

 捕獲して来るっていうのは、調教師だろうな。

 錬金合成で生み出すとか?




 「ブレンダさんや、バグは、おおむね問題ないな。レイシアさんは火属性の魔法が使えるようになったのだから、もう少し戦えそうな気がするのとメインは召喚魔法みたいだから、そっちの使い方がもう少しって気がする」


 レイシアがうっ、ってした表情を浮かべつつも反論する。


 「ランドルは、もう少し戦士らしく戦った方がいいと思うけど?」

 「そうね、今まで授業で何をして来たのかって言いたいわ。それに特に今回酷かったのは、フェザリオね」

 「申し訳ありません」


 言い返されたランドルがいたたって表情をするのに対して、フェザリオも理解出来ていたのか、落ち込んだように俯いた。


 最初から最後まで、まともに戦闘出来ていたイメージが無いからな。


 それでもってレイシアと同じ身体能力ってところか・・・・・・男で発育の遅れているレイシアと同じっていうのは、問題あり過ぎるのでは?


 レイシアはどう見ても同年代の女子に比べて、体が小さい。

 おそらく日本の平均的な女性と同じ感じだ。日本に来たら違和感はまるっきりなくなるが、こちらの女性は結構がっちりしている。

 やっぱり骨格からして違っているのかな~

 おかげでレイシアは子供っぽい見た目だ。スタイルもだな。




 「確か、あなたもレイシアを役立たずだって思っていた中の一人よね? ランドルもそうだったと思うけど」


 ブレンダはレイシアにちょっと遠慮する様子を見せたが、ズバリと言ってのける。


 学校全体でそういうイメージを持たれていたので、ここで遠慮しても仕方が無いからな。こそこそと言うよりは目の前で言われた方が、いっそ清々しい。

 言い方も、レイシアを侮蔑している感じはなかったのも大きいのだろうな。特に反感を持つような感情は湧いて来なかった。


 「わりぃが確かにそうだな。今回クエストに同行して、俺達の方がよっぽど足手まといで、役に立たなかったと反省しているよ」

 「僕も、申し訳ないとしか言いようがありません」


 あー、まあ。見下していた相手より足手まといだったとか、どれだけだって言いたいよね。

 それとも、レイシアが努力した結果が現れて来たとかかな?


 実際、レイシアはそれなりにがんばっていた。


 役割としては偵察になるのか、後は戦闘では牽制役もこなせていたと思う。

 現段階ではそれ以上を求めても仕方ないだろう。




 「とりあえず現状を把握してもらうわよ。私達はまだ新米で、いろいろと未熟なのは仕方ないわ。でも最低限、自分の役割はこなしてもらわないと問題があるわよ。私なら後方で戦場全体を見て指示出しと、魔法により攻撃と支援ね」

 「うん。ブレンダが指示を出してくれると、やりやすいよ」

 「ああ、頼りになるな」


 レイシアとランドルが肯定する。フェザリオもそれは同じらしく無言で何度も頷いていた。


 「レイシアさんはウルフを召喚していたので、このまま偵察と撹乱。魔法はこれからもっと上達してもらうとして、私と同じように攻撃と、出来れば支援がこなせれば文句無いわね」

 「がんばる!」

 「ランドルは戦士として前衛に立って欲しいけれど、盾役は出来るようになるのかしら?」

 「俺だってこれでもサボっていた訳じゃない。今度こそちゃんと鍛え直すさ」

 「フェザリオは、まずは回復役が出来るようになってもらわなければ、パーティーにいる意味が無いわ」

 「すみません」


 ブレンダが次々と役割を説明して行く。


 完全にこのパーティーのリーダーになっているな。まあメンバーを見れば、適役は他にいないか。




 「今のまま一緒に冒険者としてパーティーを組んで行動するのは、デメリットしかないわ。特にそこの男子二人、今後どうするか今決めてもらえるかしら?」

 「決めるって言うのは、何を?」


 ランドルが代表して受け答える。


 フェザリオもブレンダの方へと視線を向けたのを確認して、ブレンダははっきりと告げる。


 「勉強をし直すなりなんなりして、未熟なりにも少しは冒険者らしくするのか、このままパーティーを抜けるのかどっちにするのかよ」


 これはある意味人生の岐路って感じの問いだな。


 おそらくブレンダが言っていた通り、最低限それくらいの役割もこなせないのなら、冒険者としてはどこのパーティーに入っても役には立たないだろう。

 本人達がどう思っているのかで、パーティーを解散するかどうかって感じかな?


 僕としてはフェザリオを鍛え直すっていうが、時間がかかってどうなのかと考えている。

 特に事情も内容なら別の人を誘うっていうのも手だ。

 そこも本人のやる気次第だろうな。今ならみんな初心者なのだから、そこまで酷い差は無い。

 最低限使えるかどうかの差なら、既にあるけれどね。フェザリオは間違いなく現状では使えないやつだ。




 「俺としては圧倒的に実戦経験が不足しているんだと痛感したから、このままパーティーにはいさせて欲しい。二人には迷惑になるかもしれねえけれどな」

 「そこはまあ、これからに期待かしら。がんばってもらっても一向に成長出来ないなら、そもそもの才能がないのでしょうしね」

 「そうだな、じゃあ試験期間というか準備期間をもらいたい」


 そうランドルが主張する。

 気合を入れなおしてがんばるぞって感じだな。いい傾向だ。


 「ランドルに関してはわかったわ。しばらく様子を見るから、出来る事をしてちょうだい」

 「わかった、がんばってみるよ」


 そしてフェザリオをみんなが見詰める。


 「僕も、一度ゼロからやり直してみるつもりです。時間がかかりそうなのでその間、パーティーにいていいのかどうか、自分でも少し迷っていますが・・・・・・」


 ここはみんな迷いどころだろうな。直ぐ何とかなりそうな問題でもないし、こっちもちょっと様子見になるのだろうな。


 切り捨てるのは簡単なのだ。

 問題は鍛え直したからって、納得の行く結果になるかどうかってところになる。


 本人もこれまで、ちゃんと勉強しているつもりだったそうだしね。

 一からやり直しとやらで、最低限ヒーラーとしての役割が出来るようになるのかどうか・・・・・・まあ、魔法は使えるようなので、自衛が出来なくても問題はないのだろうがね。

 そっちまで鍛え直すのは、圧倒的に時間が足りないだろう。




 しばしみんなで考え込むと、ブレンダが結論を言い渡す。


 「わかったわ。それではとりあえず各自、一週間自分の技術を見直す時間を設けましょうか。一週間後にもう一度クエストに赴いて、それぞれ改善が見られない場合はパーティーの見直しも含めた話し合いをするわよ」


 全員が頷いたのを確認して、ブレンダが締めに入る。


 それにしても、ブレンダは委員長タイプといったらいいのか?

 貴族だから人に指示とか出すのに慣れているだけかな。


 「じゃあ今日のところはこれで、解散にしましょうか」

 「じゃあ、また一週間後に!」


 反省会の終了をブレンダが告げると、ランドルが残りの食事を急いで片付け、早速出来る事をしに行くようだった。


 それを見たフェザリオも慌てて食事を片付けて、ランドルの後を追いかける。


 それぞれに出来る事をするか、僕自身については出来る事はほぼ理解しているかな。

 でもって僕は冒険者って訳じゃないので、本来はレイシアの指示に従えばいいだけになる。


 結局は、レイシアが成長するしかないのだよね~

 そうすると生育物のゲームのように、レイシアを育てて行くのが僕の役目か?

 それはそれで面白そうではある。


 そしてそのレイシアはというと、食堂を出た後は錬金術の勉強の為かいろいろな本を読んでいるようだ。

 夜遅くまで勉強する日々がしばらく続いた。




 ――――――



 仲良くなれるかしら?・・・・・・By ブレンダ




 レイシアさん・・・・・・学校で一番の落ちこぼれって実際の話、本当だったのかしら?


 確かに学校に入った頃のレイシアさんには、特に見るべきところは無いように思えました。けれどここ最近お付き合いさせてもらいましたが、特に見劣りするようなところはなかったわね。


 所詮は噂って事かしらね?


 はぁー、しかし・・・・・・全く何なの? あの子達・・・・・・。


 レイシアさんが足を引っ張るっていうのならまだわかるけれど。私が連れて来た助っ人の方が、まるで頼りにならないだなんて・・・・・・ラングローズ家の威信にかかわって来るじゃない!




 バグの事を見てみると、いろいろと規格外なところが見受けられるから、卒業後のお付き合いを考えれば縁を結んでおきたいのよね。

 別に利用しようって訳じゃないけれど、レイシアさんは確か冒険者を目指していたから、おそらく将来性はあると判断出来るわ。

 バグとセットで見ていて面白そうなのよね。


 今までずっと接触して来なかったので、知りませんでしたが、お友達になっておいて損はないでしょうね。


 パーティーを組んで一緒に卒業出来るだけでもよかったのですが・・・・・・仲良くなるどころか、逆に悪い印象を与えてしまったじゃない。

 このままではちょっとレイシアさんに申し訳ないから、何か贈り物でもしておきますかって考えていると、ちょうどいい物が手に入ったわ!


 スライムからいフリードに成長したのですから、次の素材を用意すれば十分役に立てるわよね?

 たまたま実家で手に入ったワイバーンの卵を、何とか譲ってもらえるよう頑張って交渉してみたわ。

 さすがにお父様を説得するのには骨が折れましたけれど、これを渡せたら先の失敗は帳消しに出来るでしょうかね。




 それにしても・・・・・・現状でもイフリートっていう上位精霊ですが、これで進化したら一体どれくらいの大物になるのかしら・・・・・・

 本当にドラゴンになっちゃったりして・・・・・・


 もしドラゴンになったら、背中に乗せてもらって飛んでみたいものね!

 専用の鞍など必要なら、こちらで用立てて差し上げなくては!

 あー、楽しみね!


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