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実家の転職神殿を追放されたけど、魔族領で大聖女をやっています  作者: 楊楊
最終章

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50/69

50 魔王選へ

 魔王選が開始されて、もうすぐ3年が経つ。

 つまり、魔王選の期限が迫りつつあるのだ。


 状況はというと、アルベールは魔人族を除く、ほぼすべての種族の賛同を得ている。これはアルベールが地道に努力した結果だ。それでここ半年程アルベールは、戦闘訓練に明け暮れている。というのも第一王女のソフィアが言った「一番支持を集めている者を直前でボコボコにする」という計画に対抗するためだ。

 第一王子のフェルナンドはというと、早々に魔人族を従え、ソフィアに勝負を挑んだところ、同じようなことを言われ、「お前、頭いいな!!だったら俺は、3年間修業に明け暮れる」という言葉を残して、姿をくらませたそうだ。

 魔王国最強の剣士フェルナンドと、同じく最強の魔導士ソフィアが、いつ襲ってくるかもしれない状況なのだ。


 そのため、アルベールは想像を絶する厳しい訓練をしている。

 私が止めなければならないくらいだ。それに訓練相手も充実している。2ヶ月前からはAランクに昇格した「赤い稲妻」のメンバーが、1ヶ月前からはカール王子もやって来て、一緒に訓練をしている。


「大陸一の剣士であるこのラドウィック様が、稽古をつけてやるぜ」

「何を言っているんだ!!勇者の僕が後輩に稽古をつけてやる」


 アルベールの訓練そっちのけで、模擬戦に発展することも多い。


 アルベールの実力はというと、3回に1回はオーガラにも勝てるようになっていた。オーガラも絶賛する。


「ポンコツ王子だったとは思えんくらいだ。確実に倒そうと思ったら、命を懸けた戦いになるだろうな・・・」


 ゴブキチはというと、馬鹿なことを言って、ゴブコにまた叱られていた。


「俺だったら、魔王選の結果発表まで隠れるけどな。何なら影移動を教えてやってもいいぜ」

「馬鹿!!そんな魔王に誰が従うのよ」


 ゴブコが言うように、魔王とはそういうものだ。

 なので、暗殺の心配はないようだ。暗殺して魔王選に勝っても、魔王と認めてもらえないようだし・・・



 ★★★


 そんな厳しい訓練を続けている中、とうとう期限が差し迫った。


「一向にフェルナンド王子もソフィア王女も来られませんね・・・」


 アルベールが言う。


「そろそろ出発しなければ、こちらも間に合わない。多分、兄上のことだ。王都で待ち構えているかもしれん。兄上の性格なら直前まで修行をするだろうからな」

「ソフィア王女はどうでしょうか?」

「姉上はよく分からない。人に興味はなさそうだし、魔王にも執着しておられない。だが、警戒を怠りはしないがな」



 満を持して、私たちは王都に向けて出発した。

 かなり大所帯になっている。いつものメンバーに加え、オーガの族長であるオーガルを筆頭に各種族の族長たちも合流する。魔王が決まる場に種族の代表者がいないと格好がつかないし、どうせなら、みんなで行こうと言う話になってしまった。というのもライオスやタイガード、他の族長たちもアルベールの特訓と称して、直前までホープタウンで模擬戦を楽しんでいたからだ。


 この族長集団に加えて、ギルマスたちも同行する。彼らは「市場の調査をする」、「武器のニーズを調べに行く」「新たな薬草を調べたい」などのもっともな理由を口にしていたが、こちらは完全に興味本位だ。

 そして、「赤い稲妻」のメンバーとカール王子も・・・


「このメンバーで護衛なんて必要ないだろ?」

「それを言ったらお前もじゃねえか!!王子なんだから大人しくしてろ」

「僕は外交も兼ねているんだ。新しい魔王が誕生するのに、隣国の王族が出席しないわけにはいかないだろ?それにアルベールがもし負けたら、僕が先輩として仇を取ってやらなくちゃね」

「アルベールの仇は俺が取ってやるよ」


 今にも模擬戦を始めようとしたので、流石に注意する。


「そんなことをするなら、二人とも連れて行きませんよ」

「分かったよ。エクレア先生に免じて許してやる」

「ごめん、エクレア先生」


 まあ、賑やかな旅になるだろう。

 それにこのメンバーは心強い。というのも暗殺はないにしても、挑戦者はひっきりなしにやって来る。すべてアルベールが相手をすると、身が持たないので、同行者が順番に片付けてくれるからね。


 出発の直前にも、挑戦者が押し寄せたので、神殿で待機する予定のオーガラが相手をしてくれることになった。


 気になることといえば、フィリアさんだ。

 こういったイベント事には積極的に参加していたのだが、今回は同行しないと言う。


「研究中の魔法が完成間近なんだ。手が離せないから今回は遠慮しておくわ。完成したら、アッと驚くことになるわね」


 悪い予感しかしない・・・


 まあ、そんなこんなで、私たちは王都に向かうことになったのだった。

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