第39話 精霊とはどんなものかしら?
今日は一話投稿です。そして、誤字報告ありがとうございます(__)誤字が多くてすみません(*ノωノ)
「……フィーラ・デル・メルディア」
「……はい!」
クレメンスに心配されたことで、ニヤついていたフィーラは、マークスの目に留まってしまった。
「顔が緩んでいるよ? 授業が楽しいようで何よりだ。先ほど下級精霊と中級精霊の特質について話していたが、聞いていたかい?」
……聞いていない。しかし、その答えなら知っている。フィーラは記憶の中から、精霊の階級について引き出し、マークスに答えた。
「精霊は階級分けがされています。下級・中級・上級に分けられ、下級の精霊には属性がありません。中級になると属性が現れますが、そこまで強いものではなく、第二属性までは使えません」
「その通り、だけど先ほどは第二属性の話まではしていないよ?」
「……すみません」
「うん。とりあえず、第二属性の話がでたから、かいつまんで話しておこう。属性については4回目の授業で習ったね? この世界の精霊は人間によって階級付けされている。まずは下級精霊―彼らに属性はなく、生まれつき備わっている力しか使用することは出来ない、とは言っても、この力なくして、僕たちの生活はいまや成り立たないのが現状だけどね」
マークスが教壇から離れ、ゆっくりと教室内を歩きだす。
「下級精霊の扱える代表的な力は伝達、物の移動、物質の変化などだ。これは中級、上級にも共通している力だね。中級になるとその力に属性が現われてくる。属性の種類は地、水、火、風、光、闇。これを第一属性という。ここまでは大丈夫だね?」
マークスの問いかけに、教室中でうなずく生徒たちが見える。
「そして上級。上級になると、この六つの属性のうち四つに、さらに第二属性といわれる属性が加わる。第二属性は光と闇にはないとされているね。しかし、研究者の中には、光と闇の第二属性はまだ知られていないだけで、本来はほかの四つの属性同様にあるのではないかと唱える者もいるんだ。むしろそれ以上ではないかと、いっている者すらいる。…僕もその考えの支持者の一人だね」
その言葉に、一人の生徒が声をあげた。
「先生。先生は光と闇の第二属性は何だとお考えですか?」
カスタード色の髪。先ほど当てられていたサーシャという令嬢だ。とても勉強熱心なのだろう。
「良い質問だね。しかし、今その考察をしだすと、授業が終わってしまう。気になるなら、授業が終わった後、僕のところへおいで」
「……はい」
「では第二属性の話に戻ろう。地の第二属性は【密】、水の第二属性は【変】、火の第二属性は【明】、風の第二属性は【軽】、と一般的に言われている。けれど、これは便宜上の呼び名であって、その言葉が指し示す性質しか、持ち合わせていないわけじゃない。これが属性分類の難しいところだね。地の第二属性である【密】は、【重】の性質も持ち合わせているし、水の第二属性である【変】も、実は同じ【重】の性質を持っている。…精霊についてはすでに数百年研究が重ねられている分野だけれど、いまだに分からないことは多いんだ。精霊という存在を解き明かすことが出来れば、この世のすべてを解き明かすことと同義である、と昔から言われているのはそれ故だね」
マークスがそこまで話したところで、ベルがなった。
「よし。今日の授業はここまでだ。明後日は精霊とは相反する存在、魔について学習しよう」
授業が終わったところで、十五分の休憩時間が入る。
この学園のカリキュラムは前世のそれとは違い、だいぶゆるやかだ。
昼食の休憩は二時間はあるし、一日の授業時間は、合計で四時間ほどしかない。午前九時から始まり、午後の四時過ぎにはすでに授業は終了しているため、寮の門限の時間までは皆思い思いのことをして過ごすのだ。
ちなみに寮の門限は六時半である。
――かなりゆるめの授業配分だけれど、一般の教科は各家庭ですでに教師を雇って習っているから、それほど重要視されていないのよね。普通科でも精霊学は必須教科だし。
ただし、結構な頻度で行われる試験に一定の割合で合格しなければ、進級できないこともある。
最後は自己責任となるため、授業時間は少なくとも、皆各自で行う予習復習は完璧なのだ。
――むしろ日本の教育が詰め込みすぎだったのかもしれないわ。なんというか、大学のような感じなのよね、この学園。
椅子に座ったままボケっと教室内を眺めていたフィーラの視界に、カスタード色をした髪が入り込む。サーシャが傍を横切ったのだ。
その後ろ姿を認めたフィーラは、とっさに声をかけ、サーシャを呼び止めていた。
「サーシャ・エーデン様⁉」
精霊に関する設定などはあとで変わる可能性もあります…。いきおいで書いてしまいました…。




