腕っぷしと鉛玉 ①
私たちは無事元の体に戻れた。が、キャトラはしばらく上の空だった。
しょうがないので霊水晶をポイントにした後に何かと引き換えることにした。キャトラに何が欲しいか尋ねるとある銃を指さす。
スナイパーライフルというものだった。
「これ? これで狙撃でもするのか?」
「やってみたいんや。こういうの現実じゃできんし……」
「わかった。2000ポイントと割高だが霊水晶はちょうど2000ポイントだったしそれにするな」
私はスナイパーライフルと引き換えた。
キャトラはそれを受け取ると、銃の構造を眺めている。
「ほう? これ射程距離は2000メートル。ちょい試し打ちしたいわ」
そういうと、キャトラはなにか空き缶らしきものを取り出した。それをギルに渡す。ギルは何で渡されたのかわかってないようだったが。
多分……。
「そこに掲げて待っとってな」
「???」
キャトラは離れる。そして、結構遠くに行き姿が見えなくなった。
その時だった。ギルが持っていた空き缶が吹っ飛ばされる。私はその空き缶を拾うと、空き缶はへこんでおり、穴が開いていたのだった。
ギルに見せると顔を青ざめさせる。
数分後キャトラが戻ってきた。
「当たったわな!? ど真ん中狙ったつもりなんやがどうや?!」
「この通りだ」
「おお! 狙い通りや! うちやっぱこういうの才能あるぅ!」
「ちょいちょい! 俺に当ててたらどうするつもりだったんだ!?」
「……そこはまぁ、ごめんっちゅうことで」
「ごめんで済まされてたまるかぁ!」
ギルは少し怒っていたのだった。
すると、突然私たちの間に魔法が飛んでくる。私とキャトラは躱し、そちらのほうを見ると。リュウとミロクが立っていた。
リュウがこの魔法を放ったようだ。リュウの後ろにはナックルたちもいる。
「宣戦布告か」
「そうみたいやね」
私たちは一度逃げ出すことにした。
ここは街中だ。逃げやすい。私は陽炎スキルを使用し、もう一人の私を作り出す。もう一人の私はミロクに姿を見られるように逃げさせる。
私とキャトラは一緒に逃げ、キャトラがビルの中に入っていく。。
「うちはこっから狙撃する。うちが狙いやすいところで戦ってな!」
「わかった」
私は刀を引き抜き戻っていく。
通りには剣を構えたミロクたちがいた。
「よう、戦いたくないんじゃなかったか?」
「今も思ってる。が、お前らと戦うのはたぶん避けて通れないだろう? お前らはいずれ俺らを狙うと思っている」
「だから最初に仕掛けようと? ミロク様とあろうものが……。ま、いいだろう。全力で相手してやる」
私は刀を引き抜いた。
シラトリが剣を構える。シラトリは剣を持ち突撃してきたのだったが、その瞬間シラトリの脳天に何かがあたり塵となって消える。
「なんだ!?」
「驚いてる暇はないぞ!」
私はミロクに切りかかる。
ミロクは剣でふせいだ。その瞬間横からナックルが殴ろうと拳を突き出そうとしたとき、ナックルの拳が吹き飛んだ。
すげえ、あそこからピンポイントで当てるとは。
「矢じゃねえ……。これは銃だ」
「銃!? 周りにそんな奴は……スナイパーライフルか!」
ミロクはさすがというべきだろう。すぐに答えに行きついたようだ。
「ちっ、ナックル、お前はキャトラを探しに行け!」
「大丈夫かよ? そいつの相手」
「知らん! だがやるしかないだろう! 狙撃されるのは面倒だ!」
そういうとナックルは走り出した。狙いを定められないように蛇行しながら走る。
「リュウ、気合い入れてけよ! こいつは一筋縄じゃいかねえ!」
「当たり前だろう。百戦無敗の宗形、いざ参る!」
私はミロクに再び切りかかる。




