イベント開始
イベント当日となった。
イベントは日曜日に行われる。土日は道場は休みにしているので私にもちょうどよかった。私は日課の素振りを終えて朝ごはんを食べた後にログインする。
朝の八時からイベントが開始するらしい。今の時刻は七時四十分。ギリギリだがいいだろう。
私はログインしてみた。すると、いきなり目の前にウインドウが現れる。
『イベント用世界にワープします』
メッセージが表示されると目の前の光景が一瞬にして変わった。
どこかの街の中だった。街中なのだが、ゲームのような街ではなく現代のような街。ビルが建っており信号がある。信号待ちをしている車や、商売をしている人たち。
現代東京のような世界だ。東京と違う点は人通りがないということ。建物や車の中には人はいるが通行人はいない。
「現代かここは」
「そうみたいやね。うちらが慣れ親しんでる世界や。すごいなあ。マジの日本っぽいで」
「キャトラ。いたのか。たしかに。ゲームの中の日本か……」
「俺らもいるぜ。なぜここが舞台なんだろうな。採取ってどこでするのか」
「ここが現代日本と考えると鉱脈とかなさそうだな。でも、完全に現代ってわけでもなさそうだがね」
と、クロロが指をさした方向にあったのは防具店と日本語で書かれた看板。
防具。たしかに日本にはない。ここは魔物が出る世界線の日本ということか。異世界+日本という感じのことか。要素が詰め込まれてるな。
「でも現代の乗り物が使えるというのはいいんじゃないか? スクーターとか小回りきくし移動にはぴったりの車もある。ただ、俺らは車乗れるのかは疑問だがね」
「そうだな。飾りかもしれん。ルール説明を待とう」
私たちは時間まで待つことにした。
時間が来る。すると、どこからともなく声が聞こえてきた。ビルの屋上にあるテレビに映し出されたのは日に焼けた肌を見せている裸の上にアロハシャツを着ている男だった。
顔にはサングラスをかけており、バカンスから帰ってきたのかという風貌をしている。
『やぁ皆さんドーモドーモ! 俺は運営のイベント担当のヒロカワ! 今日はイベントに参加してくれてありがとうな!』
ヒロカワさんは元気がよさそうだ。
でもあの顔どこかで見たことがあるな。
『今回のイベントは採取バトルサバイバル! ただし本格的なサバイバルじゃなく現代兵器を使えるサバイバルさ! ルールは簡単、ポイントを稼げ! 魚を釣ってもいい、鉱石を掘ってもいい、薬草をとってもいい。それだけでポイントになるぜ。ただし、ポイント交換所にいかなければポイントにはならないからな! ポイント交換所は結構あるから安心してくれ。あと、ポイント交換所付近では戦えないようになっているからな。安全地帯だが、安全地帯に引きこもってても勝てるわけがねえ! ま、各々勝つためにはポイントを稼ぐ! そんなシンプルなルールだ!』
魚を釣って鉱石を取って薬草を採取。そしてそれをポイント交換所にもっていかなくちゃならないというのもつらいな。
『ポイント交換所ではポイントにするだけじゃなくポイント交換というのもある! スクーターや車などはそこで手に入れることができる! ただし所持しているポイントを使って交換するから交換するかどうかはお前ら次第だ』
なるほど、そこで手に入れるのか。
私は横をみるとポイント交換所という看板が目に入った。
『さらに、ポイントを手に入れる方法はそれだけじゃねえぜ! 人から奪うことも可能だ! ペアどちらも倒したら相手のポイントの三分の一を奪える。ポイントをたくさん持っていて使わないでいたら勝てると思ったら大間違いだぜ!』
なるほど。交換所付近では戦闘ができないと言っていた。戦うのは当たり前か。
『死んだ人たちはイベントから除外……ってわけじゃなく十分経ってから専用リスポーン地点で復活するぜ! 死んだ人たちは専用リスポーン地点から出て十分間は無敵、なおかつリスポーン地点には死んでないプレイヤーは入れないから出待ちするということもできない仕様になっている。プレイヤー同士敬意をもって戦おうぜ! 細かいルールとかはウインドウ開いて専用の項目を設けとくから読んどくようにな! では、待ち遠しいだろう? さっさと始めちゃおうかね! では、今からスタート!』
開幕の宣言とともにクラッカーが鳴り響く。




