初めて進化したプレイヤー
私たちは仮拠点となっている宿屋に戻る。
男たちで今日はレベル上げをするといってたから私たちはハブられたんだが、そろそろ戻ってきているだろうか。
宿の中に入り、部屋にいくと、男たち四人が座って談笑しているのだった。
「戻ったぞ」
「お、戻っ……」
何かを言いかけ、四人とも言葉を失っていた。
「もうレベル上げは済んだのか?」
「ミツネ……。いう順番が逆やで……。ミロクたち理解が追いついてへんよ」
「あ、ああ。そうだったな。進化した」
私はそういうが、四人ともぽかんとしていた。
「それで……」
「そこまでさらっと流す内容じゃあらへんからなミツネ」
「そ、そうだ。なんだその尻尾。でかいし増えてないか?」
「ああ、なんか九尾っていう種族になってな」
「……なんで俺らが必死こいてレベル上げてんのにお前は……」
「なんかもう羨ましいっすよ」
「もうミツネさんから目を離せないなぁこれ」
男たちは弱弱しく言葉を吐いた。
進化というのはそんなすごいものなのだろうか。私は頭をかしげているとキャトラは呆れたように私を見てさっきのクエストの説明をし始めたのだった。
「なるほどな……。そんな理由が。じゃなくて、進化したってことはステータスとかなんか変わってないか? 見せてくれ」
「ん? ああ、いいぞ」
私はステータスを見せる。
『プレイヤーネーム:ミツネ Lv.62
種族:九尾 職業:侍
HP:198/198
MP:420/420
攻撃力:220
防御力:140
魔法攻撃力:200
魔法防御力:158
素早さ:221
幸運:100
所持攻撃魔法:なし
所持支援魔法:なし
所持妨害魔法:なし
種族固有スキル:狐火 陽炎
職業スキル:心眼
所持スキル:十文字斬り 流星突き 鑑定 月光
職業固有効果:刀装備時攻撃力+20
種族固有効果:MP使用量減少
加護:ツクヨミの加護
装備
武器:月刀ツクヨミ
頭:なし
胴体:鉄糸の袴 上
足:鉄糸の袴 下
靴:初心者の靴
テイムしたモンスター:ライドンバード』
改めてみると結構数値が高い気がする。
「すっげえ変わってる……。数値が伸びてるしレベルも俺たちよりはるかにあるぞ……」
「大まかに全能力値が上がった感じだね」
「進化したらそんな風になるんすね。俺も進化してえなぁ」
「種族固有スキルってなんだ?」
ああ、それ気になっていた。
種族固有スキルは今までなかったものだ。進化して増えたのだろう。だが、増えたというようなことは聞こえなかったが。
「説明を見てみるか。どれ……」
私は種族固有スキルに触れてみる。
すると、説明が現れた。
『特殊進化した際にのみ得られるスキル』
「特殊進化……?」
「そういえば特殊進化とか言ってたな」
ならば普通に進化したらこの種族固有スキルはもらえないということか。
「進化に種類があるとは……。特殊進化があるってことは普通の進化もあるはず。その方法はわからねえけど」
「特殊進化の条件もわからないじゃないっすかぁ」
「よくわからんが私はすごいことになってるってわけだな」
「当たり前だよ……。これ、どのプレイヤーもまだ達成してないからね。ゲームで初めてじゃないの?」
「そう、かもな」
「要するにお前は進化の先駆者ってわけだ。おめっとさん」
「ありがとう」
初めて進化したプレイヤーというのはうれしいものだな。
「あ、そういやさっき道すがら聞いたんやけどそろそろイベントがあるらしいで」




