シャイン・アロー
私たちはリビルドの屋敷に案内されたのだった。
九つの狐の尻尾を振りながら私は椅子に座る。この狐の尻尾、モフモフしてて気持ちいい。こういうの……好きだ。このモフモフを味わうために獣人にしたというのもあるからな……。
「もふ……」
「もふ?」
「触ってみろ。もふもふだ」
私はキャトラにでかくなった九尾の尻尾を向ける。キャトラは尻尾に手を突っ込んだ。
「ほんとや。もふもふ……。もふもふでふかふかや……」
リビルドは着替えてからくるということで待つ間私たちは私の尻尾をモフモフしていた。これが自前とはすばらしい。
私は動物に逃げられてこういうことしたためしがないからな。こういうのに憧れてたのだ……。もう悔いはない。
「すまない、待たせた……なにしてるんだ?」
「あっ、もう来たんや」
私たちは座りなおす。
リビルドは私たちの目の前に座る。
「まずは、感謝する。フランケンシュタインの討伐をしていただいたこと」
「あ、うん。ええよええよ」
「あれは本来俺らがやるべきだった。だがしかし、俺らじゃ刃がたたなかっただろう。お前らがこの街に来てくれたことは運命だと俺は思っている」
運命ねぇ。
「ありがとう」
リビルドは頭を下げてきた。
「お礼をしたい。俺は男爵でそれほど裕福というわけでもないから限られるが……叶えられる範囲でなら叶えてやろう」
「お礼って言っても……」
特に欲しいものはない。
私はもともとケット・シィの依頼だったし、進化したというお礼は受け取っている。
「キャトラ。なんかもらったらどうだ?」
「ええ、あの戦いで一番活躍したのミツネやん」
「私は特に何もいらないからな……」
「活躍したミツネ置いといてうちもらうん? なんか申し訳ないんやけど」
「そう思う必要はない。私がいらないって言ってるんだ」
そういうとキャトラは考え込む。
「ならそうや。この弓よりいい弓ほしいわ。王都の道具屋で買った弓なんやが普通の弓矢やからなぁ」
「弓……。それならうちに伝わるものがある」
「えっ!? 伝わるものって家宝ちゃうん!? そんなのは受け取れん!」
「気にするな。俺はもとより弓より剣が得意だからな。俺が持ってても宝の持ち腐れだ」
そういってリビルドはどこかに向かう。
数分後、弓を手にして戻ってきたのだった。
「これがうちの先祖が戦争の時に使っていた弓、らしい」
「うっわぁ……」
キャトラは弓を眺める。
金色に光る弓。宝石が装飾にあしらわれており、とても高価そうに見える。
「うっわ、すごいやん。光の矢を飛ばすて……」
「光属性の魔法が付与されてる武器だ。魔物にはすごく効果的だと聞いている」
「こんなええもんもらって申し訳ないわぁ。ありがとな」
「感謝するのはこちらなのだ。ありがとう」
リビルドは頭を深く下げた。
「それじゃ、私たちは行くとしよう。今日のことをミロクに報告せねばな」
「せやね。ま、一目でわかるやろうけど……。その尻尾目立つしなぁ」
「そうだな」
九尾の尻尾は重力に逆らって立っているし、大きいから目立つだろう。私の身長よりあるからなこの尻尾……。




