妖精の鎮魂歌 ③
私は殴り飛ばされる。
痛みに思わず顔をしかめ、そのまま壁にぶつかった。フランケンシュタインはすぐに魔石を手にした騎士のほうに顔を向ける。
すると、リビルドが魔石を受けとり、次の瞬間。
「キャトラとか言ったか! 俺が時間稼いでいてやるからお前の仲間を回復させろ!」
「え、ええんか……? あんた、戦えないんやないの!?」
「戦えなくても戦わなくちゃならねえだろ! 俺は貴族だ! 貴族は平民を守る役目がある! そして、これは俺の家の問題だ! 俺がのこのこ見てるだけっつーのは嫌だぜ!」
リビルドは騎士から剣を奪う。
そして、そのまま走る。フランケンシュタインはリビルドを殴ろうとしていた。
「…………」
やばい。
体力が本当にない。痛覚機能をオンにしているのもあり、この痛みは本当にきつい。死ぬかもしれない。
私は遠のいていく意識の中でリビルドの様子を見る。
キャトラがこちらに近づいてきた。
「ポーションないんか?」
「持ってない」
「ならうちの使うか……」
キャトラは私にポーションをぶっかける。
私の体力がどんどん回復していったのだった。
「とりあえずポーションを携帯しときや。こんなこともあるで」
「ああ、すまないな」
「とりあえずはよ戻ろう! リビルドが耐えられるわけもないんや!」
私は起き上がり、フランケンシュタインに近づく。
フランケンシュタインは拳を振り下ろそうとしていた。目の前には転んだのか地面に手をついたリビルドの姿が。
私はそのまま走り、腕を思い切り切り裂くと、腕がぼとりと地面に落ちた。
「お疲れだ、リビルド」
「……」
「リビルド?」
リビルドの返事がない。
リビルドを見ると目を開けたまま失神しているようだった。
「ここで失神するのかよ……。とりあえず魔石をもらうぞ」
私はリビルドから魔石を奪う。
フランケンシュタインは切られた腕を押さえながらこちらを睨む。
「フランケンシュタインも体力が残り少ないで! さっさと決めようやミツネ!」
「ああ、そのつもりだ」
私はフランケンシュタインの足を切りつけた。
足を斬られ、バランスを崩したフランケンシュタインはそのまま地面に倒れる。そして、私は地面を力強く蹴り、飛び上がる。
そして、そのまま刀を下に向け、心臓めがけて私は落ちて行った。
「グアアアア! 死んでたまるかアアアア!」
起き上がろうと手をつく。が、その手の甲に矢が突き刺さる。
「スキル”打ち矢”」
「ナイスだキャトラ」
「サポートは任せとき!」
手の甲に矢が突き刺さり抜けないようだった。
固定されたフランケンシュタインは、私のほうをみる。その顔は絶望に染まっているかのような恐怖におびえている顔をしていた。
殺されるということを理解しているのだろう。
殺される恐怖を今、味わっている。化け物は死にたくないと泣き喚く。だがしかし、その言葉に耳を貸すような私ではない。
死ななくてはいけない生き物だっている。それはフランケンシュタイン、お前のことだ。
私はものすごいスピードで落下する。
刀の先には火花が散っていた。
「さらばだ、フランケンシュタインよ」
「アアアアアアア!!」
刀は、フランケンシュタインの胸に突き刺さったのだった。
《スキル:流星突き を取得しました》




