PK遭遇戦
いまだに王都へはつかず。私たちは道を歩いていると。
背後から気配を感じる。それは全員が気づいたようだった。私は刀を抜くと突然剣が私の頭に振り下ろされる。
「おい、なんだぁ?」
私が剣を押すとその剣を振りかぶった男は後ずさる。
何やら男たちが四人立っていたのだった。下卑たような眼をし、私たちをその目でしっかりととらえている。
「ちっ、勘づかれたか」
「不意打ち失敗だなタニよ」
「なら、正々堂々殺してしまっても問題はねえなぁ!」
男たちはどうやら戦うつもり満々らしい。
私は刀を引き抜いたまま男たちを睨む。皆もすでに臨戦態勢を取っている。
「何の用だ。今すぐ引き返せば無事に帰してやるぞ」
「きひひっ! 何の用かって言うのはわかるだろう? 俺たちゃPKしにきたんだぜええええ!」
そういって剣を振りかぶりながら突撃してくる。私はそのまま切り捨てる。居合術の応用だった。
私は一人に攻撃するとそのままその場に倒れてチリとなって消えていく。
「私に喧嘩売るとは死ぬ覚悟はできてるんだろうな」
「ちいっっ!」
男の一人が杖を振りかざす。その瞬間にその杖がはじかれた。背後を見るとキャトラが矢を放ったようだった。
男は杖を拾おうとしたところでリュウが男の首元を短刀で切り付けた。男たちのほうは一気に二人も失ったことで大きく取り乱している。
「ひ、ひい!? なんだこいつら!? 俺らだって相当実力はあるのにっ……!」
「こ、こんのぉ!」
男はハンマーを振りかぶる。
私はハンマーを刀で受け止める。弾き飛ばしてそのまま切り付けた。一発では死ななかったのか立ち上がり攻撃しようとしてきたところをまた切り付ける。
ハンマーの男はチリとなって消え、残りはリーダーであろう男のみだった。
男は腰を抜かしている。私は男の喉元に刀を突きつけた。
「残りはアンタだ。さぁ、武器を取れ。私とやろうじゃないか。剣と剣の真剣勝負。これほど滾るものはない」
「ご、ごめんなさ……」
「見たところ中坊やなぁ。急に調子乗っとんたんか? だったらすまんことをしたわ」
「謝ったところで僕たちを襲ったことは変わりないね。ミロク、どうする?」
私たちはミロクを見る。ミロクは怪しい笑みを浮かべる。
「罪人には罰を。当たり前のことだ」
「了解」
殺せ、ということだろう。
私は剣を大きく振り上げる。私も大人げない気はするが……。勝負を仕掛けてきたのはこいつらなのだから構わんだろう。
私は、刀を振り下ろした。
男がいなくなり、私は刀をしまう。
「それにしてもPKってひどいことするやつもいるんやなぁ。うちら装備が初心者だし狙われたんやろか」
「そうだろうな。武器も何もかも初心者だ。狩りやすいと思われたんだろう」
そういうものか。
たしかにこういう初期装備の奴は侮られそうでもある。実際そうなのかもしれないが。だがまあしかし、返り討ちにできたのはよかった。
プレイヤーが死ぬと所持品を少し落としていくらしい。私はそれを拾うと銅の剣とか入っていたのだった。あとで売り払おう。
「PKのほとんどをミツネがやっちゃったねぇ。ほんとすごいよ」
「うちとかあの杖を弾き飛ばしただけやんなぁ。なんか物足りひんわぁ」
「そういうな。キャトラも十分すごい」
そう話しながら私たちは王都への歩みを止めはしなかった。




