仲直りしましょう
スタンピードが終わり、私は自分のレベルを確認してみるとレベルがすでに55となっていた。
結構な敵の数倒したのもあるだろう。私は満足顔で宿にもどろうとすると、ミロクたちが私を引き留める。
「……ミツネ。少しいいか?」
「なんだ?」
「その、なんだ。ナックルの話を聞いてやって欲しい」
ミロクがそういって頭を下げる。
話を聞くも何も私は怒っていないのだが。ナックルは女が嫌いなんだし慣れるまでは男だけで行動させてやろうと考えていたんだが。
ナックルのほうを向くとしかめっ面だった。
まぁ、話だけは聞いてやろう。
「いいぞ」
「助かる」
「気にするな。私はそこまで怒ってはいない。女性だからって失礼な言動されることだってあるからな。気にしてられん」
「そうか。だがしかし、ナックルが不愉快にさせたのは事実だ。リーダーである俺からも謝ろう」
ミロクは頭を下げる。
ナックルはその隣に立ち、頭を下げた。
「悪かった」
一言そう述べた。
私は驚きを隠せない。ナックルが謝ってくるにしてもぶっきらぼうに悪かったとしか言えないだろうと思っていた。
ナックルはプライドが高そうな印象を受ける。だから誰かに頭を下げるというの嫌なんだろうと思っていたが……。頭を素直に下げるとは。
「気にするな。ナックルがなぜ女が嫌いなのかは知ったことじゃないが理由があるんだろうとは理解してるからな。仲間になるんだし私らだけでも信じてくれればいい」
私はナックルの肩を優しくたたく。
「……そう、だな。俺も、お前らを信用するところから始める。だから、その、なんだ。お前らも俺を……」
「信頼している。ミロクが引き抜いてきたんだから実力は確かだろう」
「……そこまで俺を信用しているのか? ミツネ」
「当たり前だろう。お前はリーダーだからな。信用しないわけないだろう」
私はミロクの部下なのだ。部下は上司を信頼するのは当たり前だろう。
「さてナックル。今度はキャトラだ。キャトラは私以上に怒っているからな。ただ謝っただけじゃ許されないかもしれないぞ」
「……わあってるよ」
「キャトラはどこにいるか知ってる? あの後すぐに姿を消しちゃってさ」
「知らないけど私たちが泊まってる宿にいるんじゃないか? 案内してやるぞ」
私は四人を引き連れ私たちが泊まっている宿屋に向かう。
宿屋の私たちの部屋に行くとキャトラがすでにいた。素材を確認していたようで、私のほうを向くや否や嫌そうな顔をしている。
「なにしにきたん?」
「そんな嫌そうな顔しないでくれるか」
「……しゃあないやんか。うちも意地になっとるんや。また女をバカにしに来たんか?」
「違う! 俺はっ……」
「謝りに来たとでもいうつもりなんか? あんなこと言っといて謝って済まされるとでも思っとるんちゃうやろな?」
キャトラのナックルを見る視線は冷たい。
「……すまん」
「ふん。許すもんか。謝って済まされるん思うんちゃうぞ」
「キャトラ。その、なんだ。私は特に気にしてもない。仕掛けられていたのは私のほうだしキャトラが気にせんでも……」
「いや、うちだって大事な友人をあんなに言われてるんやで? ムカつくやろ」
「友人……」
「なんか嬉しそうっすね……」
キャトラとはすでに友人のようだ。
私は友人と思っていたがキャトラも思っていてくれたというのはうれしい。
「頼む。ミロク様にはキャトラさんが必要なんだ。俺はあんたらのことを誤解していた」
「…………」
「俺らのギルドはキャトラがいないと成り立たないと聞いている。俺は成り立たなくさせるようなバカだった。女や男にこだわりすぎていた。俺の落ち度だ」
「……まぁ、そういうなら戻ってやってもええで? うちがいないと成り立たへんのやったらな!」
「……なんか、キャトラさんって案外ちょろいんすね」
「ちょ、ちょろ!?」
「なんか甘い言葉ささやかれただけで恋に落ちてそう……」
「うぐっ」
キャトラが胸のあたりを押さえている。
「……その、キャトラ。戻ってきてくれ。俺からも頼む」
「……ええよ。わかりましたよ。うち戻ったるわ。ちょろいうちが」
「ありがとう」
ナックルがお礼を言っていた。
「あ、そうだ。今報告することじゃないんだが私職業が侍になったぞ」
「それ本当に今言うことじゃねえ!」
ナックルが大声を張り上げた。




