剣と弓の指導
キャトラは頼まれてうれしそうにしている。
照れながらもしゃあないなぁと笑顔だった。
「というわけでうち教えるから別行動や」
「いいんですかっ!?」
「ここで嫌ゆうたらうちめっちゃ嫌な奴になるやんか……。それに教えるのはええんよ。弓はゲームだと不遇扱いされとるからなぁ。同じ弓仲間も増えて欲しいんや」
たしかに弓を扱うプレイヤーはそんなに見ないな。
「さ、教えたるから郊外いこか」
「あっ、外に仲間がいるんで一緒でいいですかっ?!」
「かまへんかまへん」
キャトラが女の子と一緒に出て行こうとする。
私も暇だからついて行ってやろう。というか、ほかの二人もついていく気満々のようでキャトラの後を追う。
「付き合うよ」
「暇っすからねぇ」
「そか? ならみんなでいこーか!」
冒険者ギルドの外に出ると仲間だろう女の子たちが駆け寄ってくる。
「なんかいい依頼あった?」
「なかったけどこの人に弓を教えてもらうことになった!」
「この人……? ってこの人アーチェリーの……」
「後ろには体操選手さんと剣士さんがいるんだけどなに? 大物と知り合うセンサーでもあるの?」
「あ、せや。君たち名前なんて言うん? うちは知っとるらしいけどまぁ自己紹介するわ。うちは狩人のキャトラや。こっちがミツネでこっちがリュウ。ついでにシラトリ」
「俺の扱い雑じゃないっすかね」
シラトリがそうつっこんだ。
「あ、私はマリリっていいます!」
先ほどキャトラに弓の教えを乞うてきたピンク髪の女の子はマリリという名前だ。かわいらしい名前だな。
「こっちが剣士のメア」
「……どうも」
「基本無口ですけど優しいです。こっちが魔法使いのエマで」
「どうもです」
「こっちが武闘家のリリアです」
「ど、どうもっ! 有名人に会えるなんて!」
「そんな有名って程でもないで。さ、弓を教えたろうなー」
私たちは郊外に移動する。
郊外にいった私たち。キャトラは弓矢を取り出した。弓をマリリとキャトラは構える。キャトラの横に並び、構えから習っていた。
すると、私の隣にメアがたつ。
「……教えて」
「なんだ?」
「私に、剣を、教えて」
と、水色髪のメアは剣を構えていた。
習えるうちに剣を習っておこうということか。悪くない心構えだ。
「いいだろう。こういうのは素振りより実践のほうがいい。私を殺すつもりでかかってくることだ」
「……わかった」
私は刀を鞘から引き抜く。
メアは剣を構える。私とメアはにらみ合う。メアの目を見てわかるのはやる気に満ち溢れているということだ。目は口程に物を言うとはよくいったものである。
「なら不肖このシラトリが開戦の合図を……」
「……ふんっ」
「俺も少しは関わらせて!?」
メアは剣を振り下ろしてくる。
まっすぐいい剣筋をしているがまだ素人なのか剣を振り切った後の隙が大きい。力負けしているというのもあるだろう。
攻撃し終わった後に攻撃されるのに弱いと見た。
「次は受け止めてみるか」
メアは今度は切り上げる。
私は刀で受け止める。力は強いな。だがしかし……。動きが単調でしかない。こういうのは剣士のクセを見るとすぐに対策はできるのだ。
だから絡め手も必要になる。
「ええか、例えばあそこの動いてる二人に当てるとするやろ?」
「は、はい」
「相手の動きを読むことが大事なんや。たとえば……あっ」
いきなり矢が飛んできた。
思わぬ矢に対応しきれず私の脇腹に刺さる。
「なっ……」
「すまん、ミツネ!」
「…………」
「とまぁ、必ず相手には予備動作っちゅうもんがあるんや。たとえばさっきのミツネは右に行こうと右足が右に出てたやろ?」
「たしかに!」
「何もなかったかのように教えてる……」
「余計な横やりが入ったがまあいい。再開するぞメア」
「こっちも気にしてなさそうですけど……」
こういうのは想定済みだ。
キャトラは集中すると強いけどたまにドジを冒すというのはミロクによって伝えられている。




