遊べる町
私たちは玩具の遊戯亭に入り、おかみさんにシラトリという男を訪ねると部屋にいるというので通してもらう。
シラトリはブリキのロボットのおもちゃを持ってこちらを見た。
「おー、待ってたっすよー」
「シラトリ。この街についてなんかわかったことあるか?」
「ああ、あるっす。まあ、前みたいな悪魔が関係する理由じゃなさそうっすよ」
「そうなのか」
このおもちゃのまちにも理由があるとミロクは考えていた。
シラトリにあらかじめ尋ねると自分も気になったから調べたという。
「ま、この街がこうなったのはこの街を治める貴族が原因っす」
「貴族?」
「ここはスタッカート男爵が治めてるんすがその当主が精神がガキなんすよ。で、おもちゃが好きだからみんなも好きだろうっていうことでおもちゃみたいな外観なんす。まぁそのおかげで割と観光客も来てるみたいなんで成功だとは思うんすけどね」
「まぁこんな奇抜な街があるっていううわさがあるなら来てみたくはなるな……」
「そうっすね。一周回って不気味っすから割と見たく成るっすね。ただまぁ、悪魔が支配しているとかそういうのはないんで安心できる街っすよ」
オブリビオンのような悪魔が支配しているようじゃないならまだいい。
この街は本当に目が痛くなるぐらいに鮮やかだ。本当に家の一軒一軒が目立って目立って仕方がない。
青色の壁の家とかなら現実でもあるが赤はさすがにない。
「シラトリの手にもっとるもんはなんなん?」
「これっすか? これブリキのロボットっすよ! やっぱかっけえっす! この街はおもちゃのまちっていうだけあって本当におもちゃが多いんすよ!」
「ほう?」
「昔ながらの遊びも豊富っすね。けん玉にめんこ、ヨーヨーベーゴマ……。まじで遊べるっす。これがけん玉っす」
「貸してみろ」
私はシラトリからけん玉を奪い、遊んでみる。
懐かしいな。子供のころやっていた。おばあちゃんが好きだったのもあるから懐かしい。
「もしもしカメよ、カメさんよー」
おばあちゃんが口ずさんでいた歌を歌いながら私は玉を皿の上に乗せていく。
「ふりけん!」
私はおばあちゃんがやっていたような技をやってみる。
けん玉はおばあちゃんに習っていたから割と得意だ。
「胡蝶の舞!」
「すごいな……。けん玉得意なのか」
「おばあちゃんがけん玉検定三段とかいってたからな。おばあちゃん直伝だ」
「普通にすごいやん……。うちもしかめしかできんで」
「僕は灯台くらいならできるけど」
「灯台か……。灯台とんぼ返りってたしかこうだな」
私は灯台とんぼ返りを披露する。
「俺、まったくできねえんすわ。けん玉はミツネさんにあげるっす……」
「いいのか? ありがたくもらおう」
私はけん玉を受け取った。
自分はけん玉はもしかめもできません。




