ロキ・エレバートンの帰還
私は気が付くと宿にいた。
どうやら私は死んでここで生き返ったらしい。死んだのはキングヒグマにやられたのを含めて2回目だな。落下して死んだというのは何とも言えない死に方だ。
私はベッドから起き上がるとシラトリがすでに座っている。
「ミツネさんも死んだんすねぇ。でも、さっきアナウンスが響いていたんで攻略は完了した見たいっす。お疲れ様っす」
「ああ、シラトリ。あ、武器は……」
「盗られたまんまっすねぇ……。ま、また買うっす」
シラトリは頭をかいた。
「さ、ミツネさん。街の様子を見にいきやしょうや」
「そうだな。あの悪魔を倒したなら元に戻ってそうだな……」
そういってベッドから出て下にいくとタイラントの爺さんとミーナが座っていた。
「あれ、父さん……? な、なんでここにいるの……?」
「思い出したのか!? ミーナ!」
「思い出す……?」
ミーナは頭をひねっていた。
「あ、ああ……!」
と、自分が父を忘れていたことを思い出したらしい。
ミーナはぽろぽろと涙を流していた。
「なんで……忘れていたんだろ……」
「戻ったんじゃな!?」
「う、うん……。全部、思い出した……」
ミーナはわーんとタイラント爺さんに抱き着いた。
「あの娘さんも記憶が戻ってるみたいっすね。街があわただしそうっす」
私は宿から出ると二人組の男が私の肩をつかんだ。何か焦ったようで息を切らしている。
「すいません、ここらへんで金髪で目が緑色の男性を見ませんでしたか!?」
「なんてことだ……」
「……ロキ・エレバートンさんですか?」
「知ってるのですか!? どこにいるかわかりますか!?」
「お、おい、そんなに揺さぶったらだめだろう!」
「あ、申し訳ございません……。ロキ様の場所を知っておられるのでしたら案内していただけないでしょうか」
と、剣を携えた男二人が恭しく礼をする。
私はついてきてといって、二人の男をあのロキのところに案内する。私は鉱山の中に入り、奥へ進むとロキが宝石に触れて見とれていた。
「ロキ様!」
「ん?」
金髪の男が振り返る。
「ガナッツ! オルフェ!」
「も、申し訳ございません! 俺たちすっかり忘れてしまっていたようで……! これじゃ護衛として失格です……!」
「はは、そうか。まぁ、仕方ないだろう。ミツネ嬢」
と、ロキが私のほうを向いた。
「どうやら悪魔を倒してくれたようだ。感謝する。これでようやく俺たちはこの街から出ることができる。もし王都にきたらエレバートン公爵家の屋敷に来てくれ。もてなそう」
「わかった。仲間連れて行くさ」
「ああ、いくぞ」
護衛の男二人を引き連れロキは鉱山から出て行った。
「相変わらずここの宝石の鉱脈はすごいっすねぇ」
「ああ、キラキラしているな」
「これ……少しとってっていいっすかね? 売ったら金になりそうっす」
「まぁいいんじゃないか? 私も少しとっていこう」
私はつるはしを取り出し鉱脈をつるはしでたたいたのだった。




