表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/404

百戦無敗の宗形は剣を教える

 私は東京都の渋谷区のはずれにある古そうな道場に足を踏み入れた。

 ここは私の顔見知りがやっている道場でたまに見に来て教えてくれという頼みも受けている。近くに来たからあいさつによっただけだが。


「全員、やめ!」


 と、ここで剣道を教えている師範代の石片いしかたという男が号令をかけると素振りしていた全員が竹刀を振るのをやめこちらを見る。

 私は頭を下げた。


「どうもどうも。お久しぶりですな」

「久しぶりです。お変わりなさそうでなにより」

「そちらこそ。それで今日は何の用事ですかな?」

「近くに寄ったものなのでとりあえず挨拶に、と」


 私は荷物を床に下ろしながら会話をしていると教え子の一人であろう男性が私を指さして訪ねてきた。


「先生、その人は?」

「……この人はよく覚えておいたほうがいいぞ。剣道をやってるやつで知らないやつはいない」

「えっ」

「百戦無敗の宗形さんだ。今の日本の剣士の中で最強の人だ」

「まじっすか!?」


 そういう紹介されるのはむず痒い。

 

「いい機会だ。宗形さんと打ち合ってみるか?」

「ぜ、ぜひっ!」

「私防具とか持ってきてないぞ」

「宗形さんは竹刀だけでも大丈夫でしょう?」

「買いかぶりすぎだ。そこまで相手をなめてかかるつもりはないが……。ま、ないものは仕方ないか」


 私は石片さんから竹刀を借りる。

 石片さんの教え子さんはいそいそと防具をつけ始めた。最初は年長者でこの道場の中で一番剣道がうまいと言われている安藤君という子と戦うことになった。安藤君は高校三年生で大会でも優勝経験を持つとか。

 

「よろしくお願いします」

「よろしく頼む」


 私は竹刀を構える。

 そして、審判役の石片さんの開始の合図が響く。


「はあああああ!」


 私は力強く一歩踏み出した。

 私は竹刀をはじき、そのまま面と向かって強く竹刀を打ち込む。


「面ッ!」

「一本!」


 きれいに決まった。

 周りの生徒は少し驚いているようだった。この道場で一番強いとされている安藤君が負けたのもでかいのかもしれないな。


「すごい……。さっきの摺り上げ……。手がしびれた……」

「まぁ、この技はあまり使用しないほうがいいがな。これは相手への礼節に欠ける行為でもある。これはまぁ、実力差がある相手に対してはよくやる行為だ。試合ではそんなに使うなよ。卑怯者だとか言われるからな」

「は、はいっ」


 私も知らないでよく大会でやっていたな。

 先生にとがめられてからはそこまでしなくなったが。勝ちに執着するなら使う。だがあくまで剣道は武道だからな。実践で使うための訓練とかじゃないから相手に対する敬意も必要なわけで。ちょっとこの部分は納得がいかんのだ。


「まぁ、今のは竹刀を手放さなかっただけでもほめていいんじゃないか? 割と本気で竹刀を落とそうとしたからな」

「ほ、本当ですか!」

「ああ。ま、私の実力不足だがな。私は巻き上げがうまいとはいえないから」


 割と力任せな面もある。


「それじゃ次、やりたい奴来い」


 手加減はしないからな。

 私はどんな相手だろうと基本手加減はしない。手加減を求められた時だけするという感じにしている。

 手加減するのは相手に失礼というのもあるが、油断は禁物だからだ。その心構えが最近の子にはないと思っている。


「では、私がっ!」

「おお、女か。女だろうが私は手加減しないからな」

「はいっ!」


 威勢よく女の子は剣を構えた。







こういうリアル回もたまに入ってきます。

あとよかったら感想などもじゃんじゃん送ってくれるとうれしいです。気に入っていただけたらブクマもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] リアルが忠実に書かれていることはこのシリーズが好きになった理由の一つでもあります。これからも執筆活動頑張ってください!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ