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弥勒の会社訪問記

 電車に乗り東京都までやってきた。

 昨日キャトラから告げられた会社に来てくれということで、私は会社に向かっている。たしかに携帯のほうにそういう連絡が届いていた。携帯は普段使わんからろくに見ない。


「さて、この道をまっすぐ行ったところだったな」


 弥勒が経営する会社はとてもでかいそうだ。

 まぁ、不死帝家は何個もの会社を経営しているようだが。その一つに弥勒が任された会社があるという。

 

「ここだな」


 透明なビルの窓から見えるのは受付嬢の姿だったり来訪した客だったり。

 私は中に入っていく。受付嬢に弥勒に呼ばれたといって自分の名前を告げてみると受付嬢はなぜこいつが弥勒に呼ばれてるんだという顔をしていた。

 失礼な奴だ。


「弥勒様なら一時から大切なようがあるということで」

「その用事に呼ばれてるのだが……」

「はぁ」

「とりあえず入っていいだろうか」

「少々お待ちください。社長に確認を取ります」


 そう言ってどこかに電話し始めた。

 そして。


「確認取れました。宗形様。この来館証を首から下げてください」


 と言われたのでクビにひっさげる。

 案内しますと言われたので私は女性についていった。エレベーターに乗り込み最上階を押している。私はただただつったっていた。


 途中で社員の方も入ってきて、お客様だと知ると丁寧にあいさつしてくれた。

 そして、最上階まで登り、私は女の人の後ろをついていく。社長室と書かれたところに案内され、女性はノックした。


「お客様をお連れしました」

「入っていいぞ」


 弥勒の声が中から聞こえる。


「よっ、遅かったな。ああ、下がっていいぞ」

「かしこまりました」


 案内してくれた女性は外に出る。


「私が一番最後か」


 室内にはすでにリュウとキャトラ……。龍之介とミケがすでにソファでくつろいでいた。私もソファに座り、弥勒が茶を出してくる。

 私はお茶をすする。


「それにしてもやはり都会はなれんな。人が多い」

「まぁ、あの田舎にいたらそうだろうな……」

「そんな田舎なん? 今度幽音の家に招待してや」

「いつでもいいぞ」


 私はお茶菓子に手を伸ばす。


「で、全員そろったけどなにするん? 何の用なん?」

「ああ、給料の話だ」


 給料? もらえるのか?

 社員でもないが。


「え、ほんとにもらえるん?」

「マジでもらえるんだ……」

「給料もらえるのか。でも私たち社員ではないぞ」


 私以外の二人も予想外だったのか目を丸くして驚いていた。


「給料ならシラトリも呼ばないのか?」

「あいつは自分から入りたいといってきたやつだからな。別だ。お前らは俺が誘ったわけで本来の自分のやってることとは違う。アーチェリーとか体操とかの練習時間を削ってやっているだろう?」

「そりゃ、まぁ、そういう約束やからな」

「そうだね。まぁ、そこまで困ってはいないけど……」

「私はそういうのはやってないし普通に休む時もあるぞ。教え子がいるからな。三時から六時は基本ログインしてないだろう?」


 平日は剣道を教わりにくる子がいるから削るということはできないのだ。

 だから朝と夜にログインしている形となっている。


「それにうちは給料いらんから部屋くれっていってマンションもらったやん!」

「それは別だ。あれは俺からの好意だと思ってくれ」

「ええ……」

「とりあえず給料の話をしよう。給料を出すにあたってお前たちをまずは社員にしなくちゃならん。どこか会社に勤めてたりするか?」

「うちはアーチェリー一筋やからそんなのないけど……。アーチェリーの大会で優勝した賞金だけで過ごしてるようなもんやし」

「僕もかなぁ。優勝すれば金もらえるしそれだけで暮らしているって感じ」

「私はもちろんだがないぞ」


 私の家は教え子たちの家から支払われる授業料で生計を立てているという感じか。それほど人は多くないが質素に暮らせばわりとなんとかなるってくらいの金をもらっている。

 まぁ贅沢するつもりはないから金は溜まっていってる一方なんだがな。


「なら、この契約書にサインしてくれ。俺は新たにゲーム活動課という部署を作った。一応作ったことは知られているが俺が許可してないと入れないようにしているから誰かが飛ばされてくるとかいうことはまずない」

「ゲームのためだけにそんなもんつくるんか……」


 私たちの目の前に契約書が置かれる。

 私は契約書の中身を読んでいた。さすがに見ないでサインできるほど馬鹿ではない。こういうのはよく読まないと後悔することもある。

 さすがに弥勒は私たちを騙そうとはしないだろうが……。


「さすがだな。契約書は全員ちゃんと読むのか」

「当たり前や。ま、こんなながったるい文章読みたくないんやがなぁ」

「こういうのはちゃんと読まないと」


 全部読み終えて何もおかしな点はないのでサインをした。

 ハンコをカバンから取り出し押す。二人も書き終えてハンコも押したようだった。


「よし、これでお前らは今日から社員だ。つっても給料出るだけなんだけどな。わざわざ会社に来てゲームとかはする必要ないぞ」

「そりゃそやろな。くる必要があったらうちらはいいけど幽音がなぁ」

「ま、そうだな。電車乗らなければいけないからな」


 だから通勤の必要がないのは楽だ。


「とりあえず四月もそろそろ終わりだし今月分の給料だけでも払うとしよう。時給制じゃなく月給制となっているからな。あと、俺の直属の部下だということで少し給料を多くしている」

「……ゲームが仕事って昔の自分が聞いたらびっくりしそうだなぁ」

「せやな。ゲームを作るのならまだわかるんやけど、ゲームをやるのが仕事っちゅうなぁ」

「ま、仕事ならより一層頑張るとしよう。給料に見合った働きはしないとな」

「せやな」


 給料の話し合いも終わり、今日はもういいということになった。

 私はこの街に来てただで帰るのもあれなのであるところによってから帰ることにしよう。



 

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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
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