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時計塔技工士シュバルツの記憶 ①

 翌日、私は素振りをした後にログインをした。

 私が一番にログインしたというわけでなくキャトラたちがもうすでにログインしている。私が最後だということだ。

 しょうがない。シュバルツの工房に行こう。


 私がシュバルツの工房に入るともうすでに黒い靄が浮かんでいた。


「もうすでに誰かが来たのだろうか。まあいい。加勢しにいってやろう」


 私は黒い靄の中に飛び込んだ。

 黒い靄に入ると壁一面には時計のような模様が浮かんでおりチックタックと針が動いている。少しばかり気味が悪い。

 私は壁の模様を見ないように歩いていくと轟音が聞こえてきたのだった。


「これ以上近づかれたらうちだってきついでぇ!?」

「ちっ、ミツネを待つべきだったか」


 と、私がのぞき込むと四人が敵に囲まれている。

 もうすでに近くまで迫られているようでピンチのようだった。私は刀を引き抜く。そして、敵の中心めがけて走る。


「はあああああああ!」


 私は魔物を刀で斬り、攻撃をいなし斬る。

 

「ミツネ!? なんでここに!?」

「私も町長からシュバルツというやつが持っていると聞いたからきた! 全員目的地が同じなら私がログインするまで待ってればいいものを!」


 私は魔物を切り捨てる。

 キャトラたちも負けじと魔物たちに攻撃をしていた。ここの魔物は町長のところよりも強そうな気がする。

 苦戦するのは当たり前なのかもしれない。


「うち一人ならまだ何とかなったんやけどこの三人のレベルが低すぎて守りながらいかんきゃならんのや」

「面目ない」

「うちは遠距離でしかできんしさすがに無理やで」

「気にするな」


 私は刀で近づく敵を裁断し、キャトラは取り逃した敵を弓矢で討つ。結構連携が取れているような気がする。

 そして、数分後には魔物が壊滅していた。


 私は刀をしまう。


「ふぅ」

「お、お疲れ」


 リュウがねぎらうように声をかけてきた。


「……その、なんだ。このダンジョンじゃ俺らはまるっきり役に立たないだろう」

「そうか。まぁ、レベルを上げていなかったお前らが悪いだろう」


 私はレベル上げという地道なことも好きだから頑張っていたしあのキングヒグマと戦った時の経験値もありレベルはすでに40となっていた。

 キャトラもレベルが37と割と高い。だがしかし、ほかの三人は20とまだ若干不安があるレベルだ。これじゃまず無理だろう。


「出直すのも一つの手だ。どうする?」

「……いやこの中に入った以上攻略はしたい。だから、キャトラとミツネ。頼めるか?」

「アンタらは出るんやな。ま、賢明っちゃ賢明や」

「俺らはしばらくレベル上げに専念するっす……。これじゃノームに勝てんっすよ」


 まあそうだろうな。

 ミロクたちは出口のほうに戻っていった。キャトラと私だけが取り残される。


「……しゃあない。うちら二人ならいけるやろ。ミツネも一人で攻略できたんやろ?」

「当たり前だ。ここより簡単そうだったぞ」

「せやなぁ。このシュバルツの記憶のモンスターだけ異様に強化されとんのよなぁ。それだけ鍵を思い出させたくないんやろなぁ」

「そうだな」


 このダンジョンの創造主はきっとあの悪魔だろう。

 悪魔にとっては時計塔に入られるのは余程嫌なのだという意思表示なのか。まぁ、入ってやるがな。


「先を急ぐで」

「ああ」


 私たちは歩みを進めた。






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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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