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闇の王と戯れたとて ⑤

 ミロクたちを食い止めようと必死の魔王。

 それを食い止めようと必死の私たち。正直どこまで持つか。キャトラと私だけで魔王を食い止めるのは無理がないだろうか。

 ナックルでも即死の攻撃。とならば私が食らえばひとたまりもないだろう。


「燃えてくるな」

「せやな」


 キャトラは弾を放つ。

 相も変わらずすごい命中精度だ。きちんと頭に当たっている。だがしかし傷がすぐに再生するので意味がない。

 私は月灯篭で頭上に移動。重力に従い落ちていく。私は刀をそのまま振り下ろす。


『うざいうざいうざいうざいうざいいいいいいい!』


 と、私の目の前に手のひらが。

 空中だから躱せない……! と思っていると、手のひらに大きな穴が開く。何かの反動で手がはじかれている。

 キャトラの銃弾のおかげらしい。


「助かったキャトラ」

「あんたも死んだら本格的にまずいんや!」

「だよな」

「私も加勢してみます」


 と、マツリが思い切り足払いをしていた。神竜人の本気の力には少しばかり敵わないのか、よろけているようだ。

 ふんっと踏ん張り、転ばなかったようだが……。


『もういい! まずはお前らからやってやる!』


 近くにあったがれきを持ち上げて投げつけてきた。

 私は瓦礫を刀ではじく。マツリも魔法を放って砕いているが、ポイポイと軽そうに何個も投げつけてくるのがきりがない!

 すると。


「ミツネーーーーー! うちも死ぬーーーー!」

「なんだと!?」


 キャトラのほうを見るとキャトラががれきの下敷きになってしまったようだ。

 残るは私とマツリだけなのだが……。マツリも少し苦しそうな顔をしている。足が瓦礫に挟まっている……? さっきのキャトラに気を取られたのだろうか。


「足が……」

「ちっ」


 この状況、どうしたものだろうか。ミロクたち、早く……。


『あっはっは! 残りはお前らだけだなぁ! お前らを処分したらあっちには誰も戦えるやつらがいねえ! この勝負、俺の勝ちだ!』

「それはどうかわからんぞ。私は百戦無敗だからな!」


 勝負ではほとんど負けなしの私だ。今回も絶対に勝つ! 

 負けるのは悔しいからな。私は負け知らずでありたい。私は強く刀を握りしめる。


『雰囲気が変わった……?』

「やるしかない」


 私は目の前の敵にだけ集中することにしよう。

 刀をもち飛び上がる。そのまま刀で力を込めて手首を切り裂いた。大きな手が地面に落ちる。魔王の左手がこちらに向かってくる。私は体に刀を突き刺して無理やり空中移動。

 バチンと体に魔王の手が当たる。


『ぬうううう!』

「ふん」


 足を切り裂く。足が切断された魔王はバランスを崩して地面に倒れる。


『この気迫……! 鬼のような……』

「もう片方の足もだな!」


 私はもう片方の足を切り裂いた。

 魔王は苦しそうにもがく。そして、今度は首のほうに移動し、首を切り裂こうとした時だった。魔王は両手を上げて元の姿に戻る。そして。


「降参! 俺の負けだ! わかったよ。なんでも要求は聞いてやる!」

「…………」

「あっちの仲間のほうにも何も手は出さねえ! 人類も滅ぼしたりしねえし俺はこの未開の地の中でゆっくりと生きる! な?」

「……そうか」

「あ、ああ」


 私は刀をしまう。


「だがあっちのほうにはお前のコアがあるんだろう?」

「あれはでかくなった時だけな。今はなくなってる」

「ふぅん」


 なんとか勝てたようだ。


「鬼のような気迫……。人類にお前のような奴がいるのが怖えよ。もう懲り懲りだ」

「そうか」

「魔王である俺がビビるくらいなんだからほんとに怖えよ……」


 ならよかった。

 割と本気で戦っていたからな。気迫も出るのも仕方がない。剣道もそうだが、戦いにおいてビビったら負けだからな。


「みっともねえけど命乞いするぜ。命だけは助けてくれ」

「本当に降参の意思があるのなら助けてやる」

「もう戦う意思は俺にはねえよ……」

「なら見逃してやる。マツリの足を挟んでる瓦礫をどけるのを手伝え」

「わかった」


 私はマツリのところに移動し、魔王と二人で瓦礫を持ち上げる。


「でかくなって持ち上げたほうが楽なんじゃないのか?」

「したらあっちのやつらにコア破壊されるだろ」

「それもそうか」


 マツリの足が解放された。マツリの足は紫色に腫れており、骨が折れてそうだ。


「それにしてもこいつも人間か? 俺は勢いよく瓦礫を投げつけたんだぜ?」

「神竜人の耐久をなめないでください……」

「神竜人……。そうか」


 魔王は笑う。そして。


「悪かった」


 地に頭をつけて謝罪をしてきたのだった。

 フウライシの件もあるしまったくなにもしてないというわけではないからだろう。謝って蹴りを付けておきたいというのもあるのかもしれない。


「これからは俺は人間のほうにはなにもしねえ。魔王軍なんてものは解散して細々と暮らしていく。迷惑をかけて悪かった」

「別にかまわん」


 これですべてが終わった。実質的な魔王討伐。

 もう明日からは……。ミロクたちとのゲームの関係は一時的に終わる。だがしかし、ゲームをやめるというわけではない。

 お互い好きなように遊ぶということになるな。


「……ミロク達が来るのを待つか」


 魔王討伐、完了。









次回最終回

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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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