闇の王と戯れたとて ④
私は月灯篭を使用し、相手の頭上にワープ。
刀をそのまま振り下ろした。すると、左方面から何かが飛んできたので刀ではじき返した。キャトラたちも援護してくれるんだ。これほどまでに戦いやすいことはない。
『ああああ、うぜえ、うぜえなぁあああああ!』
と、魔王は地団太を踏む。
地震が起き、地面に着地した私の体がぐらついた。瓦礫が降ってくる。私はその瓦礫を切り裂いた。今の私のパフォーマンスはまさに最高潮といえるだろう。
「やべ」
「アヴァリティア……!」
アヴァリティアのほうを見ると、どうやら不意で対処できなかったようだった。瓦礫の下敷きになり、死んでしまう。
厄介だな……。瓦礫の多さも。危険だ。だがしかし……バトルフィールドを変えることはできないからここで戦うしかないのだが……。
「気にせず行くしかない。見たところそこまでダメージが入っていないからな……。どこかに明確な弱点があるはずなんだが……」
「この大きさだと全体が見えづらいぜ」
「そういえば……」
思いっきり飛び上がったときにあの瓦礫の奥に何か見えた気がする。
「なぁ……」
私はさっき見たものを話してみた。ミロクは考え込み、それが心臓かもしれないという。誰が行くかという話になり、ミロクとリュウがいくことになった。
ここに実力的に問題ない人ばかり揃えたいということだった。
「俺とリュウがそのミツネが見たというものまで何とかいってみる!」
「うちらはその間こいつと戦ってりゃええんやな!」
「ああ、頼む。こっちに近づけさせるなよ!」
そういって、リュウとミロクは戦線離脱したのだった。
魔王もそれを黙って見過ごすはずがないが……。キャトラは頭に銃弾を撃ち込んだ。私は脛のあたりを大きく切り裂く。魔王は膝をついたが、すぐに傷は治っていく。
『近づけさせぬううううう!』
「魔王のこの焦りようは正解っぽいな」
ナックルは膝裏を思い切りぶんなぐっていた。膝カックンの要領なので、膝がカクっとなり背後に倒れる。
何とか魔王は起き上がろうとしたので、手のひらに刀を突き刺した。
「私が見たあれはお前のコアだったのかもしれんな。なら正解だな」
『やめろ! この私を殺すなど! あってはならない!』
「うるさい。私はお前に特に恨みなどないが、討伐はされるべきだ」
魔王は力を込めて私を天高く放り投げた。
空中に放り出される。私は月灯篭を使いワープ。そのまま腿のあたりを刀で切り裂く。
「いかせるものか。お前が負けたのは私たちを本格的に危険視していなかったからだろう」
『うるせえええ!』
と、私をそのまま踏みつぶした。
私の体力は一瞬で削れたが、スキル黄泉帰りで復活を果たす。魔王はその私に目もくれず、コアを守ろうと大きく手を振り上げていた。
ミロクたちはどこまでいったのかはわからないが、コアはこの魔王の手が届くところにあるからな……。
「だーかーらー、させないっての!」
ナックルは脛に鋭い一撃を。キャトラは手に銃弾を撃ち込んでいた。だがしかし、それでもひるまない。
魔王は本気で食い止めたいらしく、こちらに見向きもしなくなっている。
「まずいで! どんなダメージを食らおうとあっちに攻撃するつもりや!」
「ナックル」
「わかった」
私たちは膝裏に移動した。
「もう一度、全力でやるぞ」
「わかった」
「せーの!」
私は峰で膝裏を思い切りぶったたく。
膝が大きく曲がり、再び魔王は転んだのだった。やはり膝カックンは危険だな。
『邪魔するなあああああ!』
「やべっ」
と、思い切り叩き潰そうとしてきたので私は避けたのだが。
「すまん! 俺死ぬ」
「ナックル!?」
ナックルはどうやら瓦礫が邪魔してうまいこと躱せなかったようだった。食い止める人数が減り、私とキャトラだけとなってしまった……。
「あとはうちとミツネでやるしかあらへんか……」
「そうだな」
食い止められるかどうか。




