騒ぎになったらしい
カルマ値とやらはPKや悪くないNPCを殺した時にたまっていくらしい。
正当防衛とかならたまらないそうだ。私は見てみたのだがそれほどたまってないという話を受けた教会の人から。
だがしかし絡まれていたわけでもないキャトラのほうは溜まっていたらしくカルマ値を下げるためにお祈りをし少しの間奉仕作業をすることになっていた。
奉仕作業って言っても協会が運営する孤児院の草むしりだ。
「草むしりってちまちましてて嫌いなんよなぁ」
「そうか? 割と夢中になれるぞ」
私の道場の庭もたまに草むしりする。教え子にも手伝わせるぐらいには広いのだが結局余ったら私が夜のうちにむしるというのが毎年のことだ。
「それにしてもミロクのやつゲームで追っかけできるなんてなぁ。あんなのが毎日来られたらゲームどころじゃないで」
「どうにかしたいものだが……。なんともならんな」
女というのは怖いものだ。
一概にそうだとは言えないがあのような姿を見ると嫌いになるのも無理はないだろう。嘘を言ってミロクの道場を買おうとする女、ミロクの近くに立つ私を排除しようとする女たち。自分勝手極まりない生物なのかもしれないな。女性というのは。男性もか。
まぁ、過ぎたことを言っていても仕方ない。今は草むしりをしよう。
「おろ? 宗形さんじゃないっすか!」
「シラトリ、か」
私たちが草むしりをしているとシラトリがやってきた。
「シラトリ。この世界では私はミツネだ」
「あ、そうでした。ミツネさんがたなにしてるんすか?」
「草むしりや。ちょーっとカルマ値がたまってなぁ」
「なるほど。そういえば知ってるっすか? 冒険者ギルドで騒ぎがあったの。なんか一人の女に複数人の女が取り囲んでいじめてたらしいっす。そのいじめられてた女性が強くて返り討ちにあったとか」
「私のことか」
いじめられていたと認識されているのか。
「ミツネさんだったんすね。一部始終を見てた人からは鬼神のような強さだとか言われてたっすよ。剣豪とも呼ばれてたっす」
「ほう、そんなこと言われてるのか」
「で、掲示板がちょっと荒れてるらしいっす。あの女たちを非難する声がいっぱいっすよ」
「けいじばん?」
掲示板って冒険者ギルドにあるようなやつだろうか。
「知らないんすか? 掲示板っていうのは匿名の人たちで会話しあう場所っすよ。情報を共有したりなどできるんで面白いっすよ。俺はROM勢なんすけどね」
「ろ、ろむ?」
「見る専門の人ってことやな。ま、荒れるのは当然やろ。自分勝手なプレイヤーは本当にかかわりたくないからなぁ」
な、なるほど。理解はできんがそういうものがあるのか。
「その騒動のせいで不死鳥の羽の知名度も一気に増えたんす。強いやつが集まるギルドって有名っすよ。男女問わず入りたいという声も見かけてるっす」
「だがうちのリーダーは……」
「いれないんすもんね。だから俺が言ってやったっす。ミツネさんに勝てなきゃ入れないぞって! そしたら一気に戦意喪失したっすよ!」
「勝てるとは思わん当たりやる気ないなぁ」
「ま、俺だってあきらめたわけじゃないっす。入れなくてもこうやって情報をあげたりはしたいっすよ。俺だって支えになるっす」
「助かる」
「いえ! 俺が好きにやってるだけなんでっ!」
シラトリは深く頭を下げた。




