女の戦い
今日もまたログインした。
拠点から出ると女性プレイヤーが拠点の前に集まっている。私は扉を閉め、何事だと考えてみるが考えつくのはミロクだ。
ミロクは顔がかっこいいのですぐに噂されるのだろう。さしずめ超美形の男がこのギルドにいると誰かが吹聴したのかもしれない。
人の口に戸は立てられないからな。
「おはよー。どうしたの?」
「どうした? なんか問題があるのか?」
男たち二人がログインしてきた。
私は玄関の前をどけ開けてみろと告げる。ミロクは玄関を開けたと同時にすぐに閉めた。ミロクの顔は絶賛不機嫌そうな顔になっている。
「なんで……」
「わからん。だがしかし、顔がかっこいいからじゃないか? 美形はすぐに噂になるぞ」
そういうと舌打ちしながらも扉を開けて出ていく。
私とリュウもついていくことにした。ミロクの後ろにつき、ミロクの後ろを歩く。ミロクは低い声で「どけ」というと人の海が割れる。
ミロクは不機嫌極まっていた。
「……冒険者ギルドいくぞ、ミツネ、リュウ」
「冒険者ランク上げるの?」
「適当なモンスターに八つ当たりする」
そういって冒険者ギルドに向かう。
私は女たちが来ないか見張ると言って外に立っていると女性プレイヤーが私を取り囲んだ。私はいつでも刀を抜けるように構える。
「なんだ?」
「あんたミロク様と何で一緒にいるのよ」
「仲間だからに決まっている」
私がそういうと女は私を睨みつける。
「なら仲間をやめなさいよ。あんたみたいなブスが仲間だなんてかわいそうよ」
「可哀想、か」
「ミロク様とあんたは不釣り合いなの!」
不釣り合いね。私でもそれは若干思ってはいるさ。だがしかし、お前らのようなミロク狙いの女どもよりは釣り合っている自信がある。
それに、ひとりに対して複数というのはいかんせんずるくないか?
私はだんまりを決め込んだ。
「ほら、今からミロク様にやめると……」
「いうわけないだろう。馬鹿か?」
「……はぁ!? 口答えするの?」
「私はミロクに誘われてゲームをやっている。このゲームに引き込んでくれたのはミロクのおかげだ。やめるわけないだろう」
そういうと女は怒りが頂点に達したのか剣を引き抜いた。
周りの女も武器を構えている。私は刀を引き抜いた。
「心おるまで殺しなさい!」
「やはりそうくるか。武力行使とは心が弱い証拠だな」
私は襲い掛かってくる女を切りつける。
大剣の攻撃を躱し腕を斬る。槍を持って突っ込んでくる女には刀を首に突き刺し絶命させた。私は刀で抵抗していると冒険者ギルドの扉が開かれ、リュウとミロクの姿が見える。
先ほど私に詰め寄ってにらみつけていた女がミロクに近づいた。
「ひどいんですぅ。あの女の人がいきなり……」
「襲い掛かった、か?」
「はい……。なにもしてないのに……」
そういうと女の首に矢が突き刺さる。
矢が飛んできたほうを見るとキャトラがたっていた。
「なっ……なにこれ」
「嘘はいけませんなぁ。うちはちゃーんと全部見てたで。ミツネ、戦うんならうちも誘いや。こんな色欲にまみれた女を蹴散らすの、楽しそうやん」
「ログインしていたのか」
「あんたらよりちょっとはやくな。冒険者のランク上げよー思ったらこれや。不運やなぁ」
キャトラは矢を放つ。
「えっと、僕も参戦したほうが……」
「これは女の戦いだ。男の出る幕ではない」
「せやで。水差すなやー。ミロクのためにちょっとは牽制しといたるわ」
私は刀で女プレイヤーを斬る。
キャトラは急所に矢を次々と当てていく。
「に、逃げるが勝ちよ! 敵わないわ!」
と、敵わないと悟ったやつらから逃げて行くのが見える。逃げるのは追わなくていいだろう。私たちの強さで少しは牽制できてるといいのだが。
そして、すべてのプレイヤーが片付いた。
「うへぇ、片したんはいいけど相当カルマ値がたまったなぁ。うちとミツネ教会行って悔い改めたほうがええな。このままだと掃除屋がくるで」
「そうだな。ミツネ、キャトラ。依頼は俺らだけでやるから行ってこい」
「……かるまち?」
カルマ値とはなんだろう。
顔がよすぎて女を引き付けるミロクさん。




