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昇格試験

 気が付くと拠点にいた。

 私はベッドに寝ていたらしく体を起こす。


「ようやくリスポーンしたか」


 三人が私の部屋に集まっていた。


「あの熊にやられたんや。間に合わなくてすまんなぁ」

「でもあの熊……。ミツネさんを倒したら帰っていきましたね」


 ああ、そうか。

 あの熊は私と戦いたかっただけというのを知らないのだろう。多分あの場所で偶然出くわしたから戦おうっていうことになったのだが。

 きちんと仲間だってことは理解しているようで。そして、仲間には手を出さない律義さもすごい。


「いい勝負だった。負けたのは久しぶりだ」

「久しぶり? 百戦無敗のお前が?」

「やり始めた時は結構負けてたからな。公式戦に出始めたのは中学二年のときくらいだからその時から負けることはなくなった」


 この感覚は久しぶりだ。悔しいなぁ。もっと強くならなくては。


「さて、魚釣りは終わったんだろう? この後は何する? 冒険者ランクでもあげるか? 今の私はものすごく機嫌がいい。なんでもつきあってやる」

「ならうちの武器新調につきあってくれへん? さすがに初期の弓じゃ火力が物足りんくなってきたんや」

「わかった。女性二人で武器屋デートとでもいこう」


 私はキャトラの手を引っ張って王都にある武器屋に向かった。




 武器屋に入ると初期装備のプレイヤーを若干見かけていた。

 私たちは弓が置いてあるところに向かう。キャトラは弓を手に取り弦を引いてみていた。


「うちもミツネんとこのツクヨミみたいなかっこいー武器がほしいなぁ」


 そうぼやいていた。

 

「性能もやっぱそこそこやなぁ。いい武器もあるけど値段が値段やし」


 確かにいい武器は値段が高い。初心者じゃ到底手が出せないようなお値段をしている。王都なんだからいい武器もそりゃあるだろうっていう話で、いい武器はそりゃあ高いだろうっていう話だろうけど。


「しゃあない。妥協してこれにするかぁ」


 といってキャトラは弓を店員のところにもっていき金を払っていた。

 私たちは武器屋を出る。


「そういや割とレベル上げとるけどいつまで見習い狩人のままなんやろなぁ」

「職業か。そういうのあったな。私もまだ見習い剣士だ

「職業にレベルがあるんかと思ったけどそんなんないし職業の変え方がわからんのよなぁ」


 職業かぁ。


「暗殺者になら変えれるところは見つけたぞ。私はなるつもりはないが」

「……なるほど。もしかして職業を変えるには必要なNPCがあるのかもしれんなぁ」


 なるほど。そういうことか。確かにあり得るかもしれないな。

 ならさっさと剣士を探して職業を格上げしたいものだ。いつまでも見習いでいるのは嫌だからな。 

 

「ちょ、待ちなさーい!」

「へっへー! やなこったー!」


 背後からそういう声が聞こえてくる。

 振り返ると男の子が初老の男性に追われているようだった。初老の男性は仕方ないといって弓を構えるとそのまま矢を放つ。

 矢は男の足に命中し、男は転ぶ。


「いってえええ! なにすんだよじじい!」

「盗人に加減などいらんだろう? 盗んだものを返せ」

「わあったよ!」


 と、初老の男性が男の子から何かを取り上げた。

 そして私たちと目が合う。


「すまんのう。騒がせてしもうた。……と、お主。弓を使うんじゃな?」

「あ? ああ。せや。うちは弓を使っとるが……」

「ほう、なかなか弓を使うレベルが高いと見た……。お主、提案があるんじゃが」


 そういうと、初老の男性は私たちん顔を近づける。


「狩人になってみんか? お主なら狩人の職業を授けてもいいわい」

「せやな。受けさせてもらうわ」

「うむ! じゃ、見習い狩人から狩人に昇格する試験を与えようかのう!」


 そういうと、初老の男性は紙を取り出してくる。


「この魔物を弓矢で10m以上離れて狙撃して倒すんじゃ。もちろん討伐にはわしも参加するぞい。どうじゃ?」

「その程度かぁ。余裕や。今からいくんか?」

「準備ができてたらええわい。さっそく向かうとしよう。ああ、わしのなをいっとらんかったな。わしは狩人のオンジ。皆からはオン爺と呼ばれとる。そう呼んでくれても構わんよ」

「じゃオン爺。狩人にさせてーや。試練、簡単にこなして見せるで」


 といって、キャトラは試練の魔物がいるところに向かう。私も暇なのでついていくことにした。





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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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