表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常恋愛オムニバス  作者: 陽ノ下 咲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/42

case39.嫉妬のあとに

高校二年生の本間(ほんま)みくは、幼馴染の月城(つきしろ)尚也(なおや)と付き合っている。

けれど付き合い出してからというもの、尚也が他の女の子達からモテ出して……。


幼馴染カップルの、嫉妬とそのあとのお話です。

ぜひお読みください!



「月城くんなんか最近かっこよくなったよね」


 学校ですれ違った女の子達が話している声を聞いて、みくはもう何度目か分からない、重いため息をついた。


 幼馴染で恋人の月城尚也が最近、女の子達からモテだしている。

 

 そのことで本間みくは最近ずっと、もんもんと悩んでいた。

 前まで尚也に見向きもしていなかったはずの女の子達が、尚也のことを褒めている。

 みくは女の子達を横目に見ながら、心の中で拗ねていた。


 確かにみくから見ても、付き合い出してから尚也は前にも増してかっこよくなったと思う。


 でも、


(尚也がかっこいい事なんて、私だけが知っていればそれでいいのに……)


 そう思わずにいられなかった。


(なんかモヤモヤするなあ……)


ーーー



 放課後。二人で帰るいつもの帰り道。

 みくの口数が少ないことを気にした尚也が聞いた。


「みくちゃん、なんかあった?」


「……別に」


 みくは、どうしても心がもやもやして、冷たい態度をとってしまう。


「みくちゃんって嘘つくとき、語尾ちょっと上がるよね。昔から」


 食い下がってくる尚也に、もういっそ全部言ってしまおうと思った。


「……尚也のせいだよ」


「え?」


 みくは立ち止まって、尚也の腕をきゅっと掴む。


「尚也最近、女の子達から人気なの気づいてる?かっこいいとか言われちゃってさ」


 我ながら可愛くないとは思うけれど、むすっとしながら言ってしまった。


「え、そうなの?」


 尚也が少し嬉しそうにそう言ったことに、無性に腹が立った。


「もう!なんでそんな嬉しそうなの?尚也なんか知らない!」


 そう言って駆け出そうとすると、尚也に腕を掴まれた。


「待って、みくちゃん!違うよ」


 そのまま尚也の腕の中にすっぽりと収まってしまった。


「何が、違うの……」


 抱きしめられた事に驚いた事とか、言ってしまった事への羞恥心とか、嫉妬でモヤモヤしてる感情とか、いろんな気持ちがごちゃごちゃになって、少し涙目になりながらみくはそう言った。

 そんなみくをぎゅっと抱きしめて、尚也が耳元で囁いた。


「嫉妬してるみくが可愛すぎるんだよ」


 その途端、みくの耳がゾクゾクとして、全身がカッと熱くなった。

 尚也がそのままの距離で耳元に唇を寄せて、続ける。


「みくは最近の僕、どう思ってるの?」


「わ、私だってかっこいいって思ってるに決まってるでしょ。でも、」


「ん?」


「……尚也がかっこいい事、私だけが知ってたらよくない?」


 そう言ってみくが尚也を見上げる。

 その瞳はちょっと潤んでいて、普段のお姉さんっぽい雰囲気とは違った。


 尚也は一瞬驚いた顔をしたあと、凄く幸せそうに笑った。


「じゃあ、今から“みくちゃんにだけ優しい尚也”になるから、覚悟して?」


「え、なにそれ」


 尚也がみくの手を握り、恋人繋ぎで歩き出した。


「ほら、こうやって手つないで歩くのはみくちゃん限定」


「……もう」


「さっきのみくちゃん、すごい破壊力だったから、反則だよ」


「し、知らない!」


「ね、帰ったら、もっといちゃいちゃしていい?」


「……だめって言ってもするくせに」


「ふふ、バレた?でもみくちゃんが可愛すぎるのが悪いよ」


 尚也がくしゃっと笑って、みくの頬にキスを落とす。

 みくは顔を真っ赤にしながらも、離れたくなくて、ぎゅっと尚也の手を握り返した。



ーーー


 そして尚也の家。


 みくは尚也の部屋のベッドに座って、尚也が入れてくれた紅茶を両手で包むように持っていた。

 紅茶を飲むと、ふわりと落ち着く香りが広がって、なんだかすごくほっとした。

 カップをベッドの横にあるローテーブルに置いた時、


「落ち着いた?」


 尚也が隣に座りながら優しく声をかけた。


「……うん。さっきはごめんね。ヤキモチなんて……我ながら可愛くないし、子どもっぽいよね」


「……ううん。すごく嬉しかったよ」


「え?」


「みくちゃんが僕のことで嫉妬してくれるなんてレアだし」


「……もう、からかわないでよ」


「からかってないよ。ずっと僕ばっかりが嫉妬し続けてたからさ」


 そう言って、尚也はみくの手をそっと取る。

 そのまま、指を絡めるようにして握りしめた。


「だからで嬉しい」


「ばか……」


真っ赤になったみくが、尚也に聞く。


「……じゃあ、甘えてもいい?」


「むしろ甘えて。ずっと僕だけ見てて」


 尚也の声が少し低くて、熱を帯びる。

 その響きに、みくの心臓がトクンと跳ねた。


「じゃあ、ちょっとだけ……膝、借りてもいい?」


「もちろん」


 みくは照れながら尚也の膝に頭をのせ、横になった。

 尚也はみくの髪をそっと撫でながら、嬉しそうに微笑んだ。


「なんか、夢みたいだな。僕の膝でみくちゃんが寝てるの」


「……寝てないし。見上げたら、尚也の顔しか見えないよ?」


「ふふ、特等席だね」


「……もう、そんなこと言うと……」


「どうしたの?」


「……キスしたくなっちゃうじゃん」


 尚也の手がピタッと止まり、一瞬の沈黙。


「……それ、僕の台詞」


 次の瞬間、尚也がゆっくりと顔を近づけた。

 みくも、薄く目を閉じて、待つ。


 ちゅ、


 軽く、けれど確かに重なる唇。

 触れるだけのキスのはずが、みくの手を引いて体を抱き寄せた尚也が、そのまま深く優しいキスに変えていく。


 ちゅ、ちゅ、と、角度を変えて何度もキスをする。

 最初は優しかったキスが、どんどん熱を帯びていき、舌と舌が絡みあう。


 しばらくして頭がぼぅっとしてきて唇が離れたあとも、二人の距離は近いまま。


「はぁ、……幸せ過ぎる」


「ふふ、……私も」


 みくが小さく笑って、両手で尚也の頬にそっと触れる。

 そしてもう一度目を閉じて、どちらからともなくキスをする。

 そのまま尚也がみくに覆い被さるようにベッドに倒れ込み、みくは尚也をそっと抱きしめた。



見つけてくださり、お読みいただき、ありがとうございました!

本作は

case1.突然のバックハグ の幼馴染2人の話です。


尚也×みくの話のバックナンバー


case1.突然のバックハグ

case4.雨の日の相合傘

case11.どんな君も好きだけど

case17.起こしに行ったその先で

case22.熱を出した日

case28.おうちデート

case33.初恋


こちらも合わせてお読みくださると嬉しいです。

ぜひご一読ください。


陽ノ下 咲

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ