番外編・壱 『独白』
※ 冬音のお話。
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ずっと、ずっと。
貴方だけを見てきました。
貴方だけを追いかけ、求めてきました。
私に全てを与えてくれた人。
喜びも、悲しみも、怒りも。
……幸せも。
全ては貴方から与えられ、私と言う存在ができました。
だからずっと、ずっと。
貴方だけのものになりたかった。
貴方だけのもので居たい。
そして貴方が、私だけのものであったなら。
他には、何も要らない……
幼い頃、己の身体の脆弱さが嫌で堪らなかった。
弱い己が大嫌いだった。
でも何時しか、その思いは色を変えました。
この弱く脆い身体なら。
ずっと、ずっと。
貴方の側に居られる……
そう思った時、私は己の全てを愛する事ができたのです。
病弱な皇女を、進んで欲しがる州はない。
病弱を理由に拒む事もできる。
嬉しかった。
何処へも行かずに、済むかも知れない。
誰に認めて貰えずとも。
許されなくとも。
貴方だけが欲しい。
貴方だけの私で居たい。
ただそれだけが、己の全て。
私の全てを、貴方は叶えてくれた。
だから私は幸せのまま。
永遠に。
貴方は私の最大の我儘も。
叶えてくれるでしょうか?
どうか幸せでいて欲しい。
ずっと、ずっと。
最後の時まで……
それが私の願い、最も酷い我儘。
愛しています。
貴方を。
貴方だけが私の全て。
同じように、私だけが貴方の全てで在りたかった。
ずっと、ずっと……
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