544. コネクテッド
……頭が痛い。
あの一撃をもらったのはよくなかった。
放たれた衝撃が、空間を伝播していく。撒き散らされた波が、全てを砕いていく。
「…………」
その直前に迸る、白い線をなぞるように。
……そうか。
これが、誰かが言ってたやつか。誰だっけ。
『おう。見えたじゃろ?』
振り返れば、見知った小さな姿が屈み込んでそれを指差していた。中空に漂う白い粒子を。
うん。見えた。
白い、まるで滞留する粉雪か蒸気みたいに。
これか。これが。
「――これが、あんたの見てた世界なのか」
描けるはずのない虚空に落書きされたようなその白線を、指先でそっとなぞる。
パッと指を離した瞬間、その軌跡を寸分違わずなぞった衝撃波が通過していく。
「おっほ。つかさ、こんなん反則だろ。『これ』マスターしたら、負ける訳ねーじゃん」
しかし、老人は唇を蠢かす。珍しくも厳めしい表情で。何か言葉を発する。それは警告だ。
「……ああ。まあ、それは分かる」
そうだ。これは、都合のいい後付けの特殊能力などではない。
『そーがっつくなって、ザコ野郎』
『スイッチ』が入ったのは、きっとあの時だ。
強い衝撃を受けた画面に、乱雑なノイズが走るみたいに。
少なくとも現時点の流護では見えないはずのものが見えている。長きに渡る訓練の果てに至った、などではない。受けてはならないほど強い攻撃を受けてしまったから。切っ掛けが違う。これは代償であり、治らない傷。じわじわと浸透している。
「……分かってるよ」
だが、原因など何でも構わない。
むしろ僥倖ですらあった。
存分に利用させてもらう。
結果として、それで最強になれるのなら――。
風花の月、九日。
時刻は朝の十時を少し回ったところ。
(よしっ……こんなところ、かな)
鏡の前で自分の姿を確認した彩花は、ふうと深呼吸ひとつ。
寝癖なし。顔色よし。身だしなみも問題なし。
いよいよ今日の昼から、学生食堂の厨房で働くことになる。
(ちゃんとできるかな……)
何せ勤労経験がない。それも、ここは自分のよく知る日本ではないのだ。
ほどよい緊張と不安と少しの期待に胸を膨らませていると、部屋のドアが控えめに叩かれた。
「彩花ー、準備できてるかー?」
迎えにきた流護の声が薄板越しに聞こえてくる。
「できてるよー、ばっちこい」
気合充分に答えると、ガチャリと入ってきた幼なじみが目を丸くした。
「ん? いや彩花、何だお前そのカッコ……」
「なにって? 制服ですけど?」
言葉通り。彩花は、この世界へやってきたときに来ていた服――つまり、高校の制服に着替えていた。
先日、長い間寝かされていた研究棟の一階から、私物の類は回収してきている。……といっても、この制服とブレザーのポケットに入れていたスマホぐらいしかない。ちなみに生徒手帳も携帯していたはずなのだが、気付いたらなくなっていた。どこかで落としてしまったのだろうか。流護の話によれば、少なくともこの世界へやってきた時点で持っていなかったとのこと。
「なしてその制服?」
「いや、働くならちゃんとした格好しなきゃと思って。でも私の正装みたいのって、これしかないし……」
「んなもん気にせんでも……つか、あんま目立つカッコすんなや」
「そんな目立つ? ウチの制服って地味だと思うけど」
改めて見下ろしてみる。飾り気のない紺色のブレザーと、同色のボックスプリーツスカート。正直、このミディール学院の制服と比べたなら、真逆のデザインだ。煌びやかさというか、フリフリした感じとは無縁である。
「いや、他に同じカッコしてる奴がいないからな。目立つだろ」
「やけに絡むじゃん。そういう流護は? こっちに来たときって、何着てたの?」
「俺も制服だよ」
「ふーん。私はまだ、日本人っていうか……あっちの生徒のつもりだもん。できるんなら戻りたいつもりでもいるし。こっちに永住を決めた流護くんは、もう制服着るつもりがないかもしれないですけどー」
「は? なんやねん。つか、俺はもうあの制服着たくても着れねんだよ。肩回りがでっかくなったから、とてもじゃねぇが入らん。……まあいいや、準備おけなら行くぞ」
憎まれ口を叩き合いながら部屋を出て、連れ立って廊下を歩く。
「静かだよね」
「授業中だからな」
今の時間帯、体調を崩して寝込んだりしていない限り、この学生棟に生徒はいないはずだ。
……と思っていたからこそ、彩花は死ぬほど驚いた。
曲がり角から、ひょっこりと人が出てきたのだ。
「ん?」
「お」
一方、流護とその人物――男子生徒は、さして驚いた風もなく顔を突き合わせる。
「うっすエドヴィン。またサボリか?」
流護にそう話しかけられたその青年は、
「サボリ? バカ言え、いつも通りに過ごしてるだけだろーよ」
いかにも悪そうにニッと笑った。
明るい茶髪のパンチパーマに、鋭すぎるほどの目つき。ポケットに両手を突っ込み、肩で風を切って歩くその風貌。
一言で言うなら、『昔の不良』。ちょっと怖そうな感じ。彩花としては、そんな印象の人物。
一応、初めてではない。先日、少し顔合わせは済ませていた。流護がこの学院に帰還したあの日、一緒の馬車に乗っていたという。
「こ、こんにちは……」
彩花がぎこちなくペコリと頭を下げると、彼――エドヴィンは「オウ」と片手を挙げて雑に応じた。と同時、訝しげな視線を向けてくる。
「何だお前? 変わった服着てんな」
「え? えっと、これは私の学校の制服で……」
と、そこに流護が横から補足を入れる。
「ほれ、俺がこっち来たばっかの頃……エドヴィンと決闘した時とかに着てた服あったろ。あれの女子版。こいつも、俺と同じ学校に通ってたから」
「あー、そーゆーことかよ」
け、決闘!?
異常なまでに物騒な単語が気になる彩花だったが、二人は何でもないことのように会話を続けている。
「にしてもよー、何だアリウミ。昼間っから逢い引きかよ?」
こちらをしげしげと眺めた彼がいやらしく笑うと、
「遺言はそれでいいか?」
流護がゴキゴキとこれ見よがしに拳を鳴らした。
「ま、待て。早まんじゃねー」
強面の不良少年だが、自分より小さな流護に気圧されている。
「つかエドヴィン、いいのかよ。こんなとこブラブラしてて。もうすぐ進級だろ?」
「……まーな」
言われて、剣呑な青年は少し面倒そうな顔となる。
「一応、放課後に勉強はやってんだよ。つーか、ベルに捕まる。逃がしてくれねー」
「そらそうだろ……」
顔合わせした際にはほとんど会話もなく人柄も分からなかったが、察するに、やはり見た目どおりの不良生徒らしい。
「つー訳で、昼間ぐれーは好きにやらせてもらうぜ。あばよ」
言うなり、彼はやってきたときと同じく大股で去っていく。
「や、やっぱりああいう人っているんだ。この学院にも」
「まあ、あのエドヴィンぐらいだけどな、あそこまでヤンチャなのは。っても、ちゃんと学院にいるだけ成長した方なんじゃね?」
「はぁ……」
彼の堂々たる後ろ姿を見送りながら、気の抜けた返事が漏れる。
「つか、俺の言った通りだったろ。制服目立つじゃん」
「そ、そんなこと……」
確かに、いきなりツッコまれた。少し自信がなくなってきた。
「いやだって、俺が結構見られたんだよ。当時」
「そ、それ早く言ってよ……」
「ん? 彩花さんは? 向こうの生徒のつもりで? こっちに永住を決めた俺とは違うから? それが正装、とか何とか言ってませんでしたっけ?」
「うっさい! もー!」
歩きながら、そこから話が広がる。
さっき聞いた通り、流護はこの学院へやってくるなりエドヴィンと決闘を繰り広げただとか。彼はよくトレーニング器具を借りにくるだとか。何だかんだ、男子の中では一番仲がいいのかもしれない。
そうこう会話するうち、あっという間に二階の学生食堂前へ。
「おし、じゃあ行ってこい」
「い、行ってきます……!」
緊張しきりに、彩花はその両開きの扉を潜るのだった。生まれて初めての勤労に身を投じるべく。
「――シッ」
虚空へ向けて突き出す左の三連打。
否。
そこには、頭の中だけで思い描く敵がいる。
ジャブを当てつつ、足捌きで相手の後方へと回り、右のカーフ。その反動を利用し飛び上がっての左ハイ。二段蹴り。
「ん」
風巻いて着地すると同時、耳にブンと異音が届いた。
空想ではない。実際に乱入者が現れたのだ。
黒光りする丸みを帯びたボディ、四枚の羽は薄茶色の半透明。体長は三センタルほど、春を迎えて外へ繰り出し始めた蜂である。
獰猛なその虫は、シャドーに勤しむ流護の何が気に食わなかったのか、勢いよくこちらへと向かってきた。
「おっ、何だこいつやるんか。……――――」
直線の軌道で飛んできたそれをスッと半身で躱す。
旋回して戻ってきた相手は、今度はやや不規則に飛び回って間を保つ。
「はは。フェイントのつもりか?」
それこそボクサーのステップワークのように、蜂は小刻みに前後の素早い飛翔を繰り返す。かと思いきや、一挙接近しての突撃。
「――ほい」
流護はその一撃をダッキングで潜る。躱しざま振り返ると、相手の小ささゆえかその姿を見失った。しかし、右手から聞こえる羽音。そして何より、
「…………――」
爽やかな青空の下、眩いほどに煌めく――。
横合いから顔に向かってきた蜂。首を傾けるのみでこれを回避した流護は、下手から中指でデコピンを見舞った。
ぺち、と快音。勢いを失った蜂は地面に落下していく。
「峰打ちじゃ、安心せい」
気絶して転がった乱入者を摘み上げ、その辺の草葉の上に横たえてやる。
(…………やっぱ、これ……俺は……)
立ち上がりつつ眉間を揉んでいると、ゴーンと昼休みの開始を告げる荘厳な鐘の音が鳴り渡った。
(……っと、もうこんな時間か)
息をついた流護は、木の枝にかけていた懐中時計を確認しつつ学生棟へと目を向ける。
言わずもがな、昼飯の時間である。
流護は普段、昼食については購買のパンで済ませることが多い。
晩飯であれば夕方以降、各自好きな時間にとればいいが、昼は限られた休み時間内で済ませなければならない。食堂の混雑ぶりには雲泥の差が生まれるのだ。
しかし、今日という日に限っては――
(……一応、様子見に行ってやっか……)
頭を掻きつつ、少年は今まさに多くの生徒が入っていく学生棟へと足を向けるのだった。
「あ、無理」
食堂に着くなり、流護は即座の判断を下した。
それなりに広いはずの食堂内を埋め尽くしてごった返す人、人、人。
現場は芋洗いの様相を呈しており、とても今から並んでみようとは思えないほどの大混雑。
(つか、いつも以上に混んでねーかこれ……)
人並みに揉まれながら隅っこへ寄ると、近くの生徒たちの会話が聞こえてきた。
「どれどれ? あっ、あの子がそうなの?」
「へー、まあまあ可愛いけど……素朴な庶民って感じね」
囁き合う女子生徒らの視線を追うと、そこには――
「お、お待たせしました……!」
「はーい、トマトパスタ一皿上がり! こっちも頼むよ、アヤカちゃん!」
「は、はい!」
あくせくと注文の品を各テーブルに届ける、幼なじみの姿。
食事関係の仕事に携わるゆえだろう、長い黒髪はまとめて結い上げられ、制服の上に簡素なエプロンを身に着けている。
愛想よく接客対応するその様子は、周囲の生徒たちから注目されているようだ。
彩花も見られている自覚はあるのだろう。頬は紅潮しており、受け答えの声も若干上ずって震えている。何より、
(緊張してる時の顔っすね、あれは)
小学校や中学校時代、彼女が大勢の前に立つ機会があるたびに見せてきた表情だ。
「へー、あの子が」
「こうして見ると私らとそう変わらないね。髪も瞳も黒っていうのは珍しいけど」
「確かに。何属性を授かってるんだろう?」
「学院にはいない感じで可愛いじゃないか」
耳を澄ませば、そこかしこからそういった寸評が聞こえてくる。
どうやら、かの『眠り姫』が働き始めたということで注目を集め、いつも以上の盛況となっているらしい。彩花にしてみれば皮肉なことに、自分の存在こそが多忙の原因になっているのだ。
しかして厳しい異世界、こうやって世間の荒波に揉まれていかなければならないのである。
(……やっぱパンにしとくか)
初日から大変そうだというのに、わざわざ仕事を増やしてやることもない。
娘を見守るような気持ちで頷いた流護は、何も注文せず食堂を出ることにしたのだった。
彩花が学生食堂で働き始めて数日。
「そろっと仕事には慣れたか?」
「ん、まあ。初日とかはめっちゃ大変で、いきなり心折れるかと思ったけど……」
ソファに横たわった彩花は、ぐでっと潰れまんじゅうみたいになっている。
「今日明日はお休みだから、思いっきりだらけるのだ……」
ひとまずは週三日勤務、時間帯は昼のみ。
今後余裕ができてくれば、朝や夜にも働く方向で決定したらしい。
「なんかでも、自分でお給料もらうって不思議な感じー……」
「あー、俺も最初そうだったわ。懐かしいな」
一日の仕事を終えて、その場で給金を手渡されたときのあの気持ち。
遊撃兵となった今は月末に預かり所へ振り込まれる方式となっているため、長らくあの感覚は味わっていない。
「寝そう……」
「つか寝るなら自分の部屋で寝ろや。毎日俺の部屋来やがって」
私室を宛てがわれたはずの彩花だが、結局こうして流護の部屋に入り浸っている。しかも今日は今日とて朝っぱらから。
「いいじゃんべつにー。だって、家具が揃ってて快適なんだもん。私の部屋、まだなにもないし……ってかさ、あんたって仕事は? なんか私が見る限りそれらしいことしてないし、ニートにしか見えないんですけど……」
「な……!? な、何つーことを言いやがりますか」
流護はラビットパンチを食らったボクサーさながら、わなわなとした瞳で幼なじみを見やる。
確かにバダルノイスから帰還して以降、一度も学院を出ていない。兵士としての任務の要請もなかった。仕事という意味では、何もしていないといえば確かに何もしていない。
「お前な……俺が暇そうにしてるってことは、つまりそれだけ世の中が平和ってことであってぇ……」
「ふぅーん……」
これはいけない。完全に疑っている。
どうにか弁解しないとと思った矢先、部屋の戸がコンココココンと慌ただしく叩かれた。
「ミアだよー。リューゴくん、いるー?」
「お? おうミアか、入れ入れ」
許可すると同時、朝っぱらから元気な小動物がせかせかと入り込んできた。
「おはよー! あっ、アヤカちゃんも来てたんだ。おはよう!」
「う、うん。おはよ、ミアちゃん」
だらしなくソファに寝転がっていた彩花は、慌てて起き上がって居住まいを正す。
「ミアよ、ちょうどいいとこに来た。彩花がさ、俺を無職呼ばわりするんだよ。ここんとこ学院にいるからって、ひどいと思わん? お前からも何か言ってやってくれ」
そうなんだ、とミアは分かったような分からないような反応。うーんと唸って、
「リューゴくんは遊撃兵だよ!」
ふすん、と鼻息ひとつ奮起するハムスター。
「う、うん。……えーと……遊撃兵っていうのは、普通の兵士となにが違うの?」
そんな彩花の質問を受けて、得意げに吊り上がっていたミアの眉がハの字になる。
「うーん、よく分かんない……」
救世主として期待するにはあまりに力不足であった……。
仕方無しに流護は自分で説明すべく口を開く。
「あーと……遊撃兵ってのは、レインディール以外の人間でもなれる特殊な兵士でな」
「うんうん。どうしてレインディール以外の人でもなれるの? どのへんが特殊なの?」
「……。さあ……」
よくよく考えてみると、自分でもいまいち分かっていない現役遊撃兵の少年であった……。
「で、で? どうかしたのかミア」
ニート疑惑が深まったらしい彩花のジト目をよそに、流護は来客対応へ移る。すると小さな少女は、ぱあっと表情を輝かせた。
「うん。お休みだから、これから王都に遊びに行こうと思って!」
「ああ、そっか。もう週末なのか」
「そうだよ!」
嬉しそうなミアの傍ら、彩花の流護を眺めるジト目がより平坦になる。
「ニートって毎日がエブリデイだから、平日と休日の区別がつかないっていうよね」
「うるせぇ! 違うって言ってんだろ!」
悲痛な叫びを残しながらも気を取り直しつつ、ミアの相手を再開する。
「にしても王都か。泊まりか?」
「ううん、夜には帰ってくる予定だよ。進級後の順位公表も近いから、今日は思いっきり遊んで、明日は勉強の予定なんだよ」
「ほうかほうか。気を付けて行ってくるんじゃぞ~」
「はーい!」
まさしく娘を見守る父親の心境である。と、そこで流護はふと閃いた。
「そうだミア。今回は誰と行くんだ?」
「えっと、マデリーナとエメリンが一緒だよ」
「おう。もしよければ、彩花も連れてってやれんかな?」
「え? ちょ、ちょっと流護?」
当人の困惑をよそに、少年は提案を続ける。
「こいつもここでの生活にちょっとずつ慣れてきたし、そろそろ街を見ておくのもいいかと思ってさ」
すると、ミアは満面の笑顔で目を輝かせた。
「うん! いいと思うよ! 今回はベルちゃんが課題の準備で無理だっていうから、三人で行くのも実はちょっと寂しかったんだよね~」
「お、じゃあちょうどいいな」
「え!? いやでも、そんな……」
「街行ってみたくないか? お前」
「それは……」
彩花は割と好奇心旺盛である。気にならないはずがない。幼少時代からの腐れ縁である流護にとって、その程度はお見通しである。
「でもミアちゃん、友達と行くんでしょ? お邪魔しちゃ悪いっていうか……」
及び腰となる彩花だったが、
「アヤカちゃんだって、もう友達だよ!」
真正面から、このあまりに眩しい宣言である。
これなのだ。人見知りの流護も、こうしてミアの明るさに引っ張られることで、周囲の皆との距離を縮めることができたのだ。
「ミ、ミアちゃん……」
彩花はというと、いたく感激したのか何やらジーンとしている。
(……。王都、か)
そこで思い立った流護は、ついでのように口にした。
「ってか、あれだ。俺もちょっと行くわ。一緒に馬車乗っけてってくれ」
「うん! リューゴくんも一緒に遊ぶ?」
「いや、ちょうど用事があったの思い出してさ。向こう着いたら別行動する」
「そっかー」
「馬車はもう呼んであるのか?」
「うん。あと三十分ぐらいで来ると思うよ」
「おけ。じゃ準備するわ」
そんなこんなで、皆で急遽王都へ向かうことになったのだった。
彩花の初外出を兼ねて。




