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時が巻き戻った悪役令嬢は、追放先で今度こそ幸せに暮らしたい  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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3章5 新生活に向けて

「良かったわね、ビリー。日が沈む前に住む場所が見つかって。近所への引っ越し挨拶は明日の朝にしましょう?」


荷馬車から荷物を下ろしながら、ビリーに話しかけた。


「うん、そうだね……」


返事をするビリーが何となく暗い。どうしたのだろう? さっきまで元気だったのに。


「ビリー? どうかしたの?」


「うん……」


俯くビリー。


「ビリー、私たちはもう家族なんだから隠し事は無しよ? 何でも話してちょうだい」


ビリーの前にかがんで、頭を撫でる。


「う、うん……ねぇ、お姉ちゃん」


「なぁに?」


「もしかして結婚……するの?」


「えぇっ!?」


「さっき、村長さんと話していたよね? この村に来たのは結婚を考えているからだって。本当に……結婚するの?」


何故かビリーは今にも泣きそうな顔をしている。

ひょっとして私が結婚したら、追い出されてしまうのかと思っているのだろうか?

そんなことするはずないのに。


「全く……ビリーったら。私がこの村に来たのは、殿下から『ルーズ』の村へ追放されたからだって知っているでしょう?」


「う、うん……だけど……」


「それにね。もし、仮に誰かと結婚したとしてもビリーとは離れない。ずっと一緒よ?」


「ほ、本当に? ずっと僕といてくれるの?」


「ええ。ビリーが私をイヤになって、ここを出て行ったりしないかぎりね?」


笑顔でビリーの頭を撫でる。


「僕は絶対にお姉ちゃんをイヤにならない! だ、だって……お姉ちゃんが好きだから……ずっと一緒に暮らすよ!」


真っ赤な顔で訴えてくるビリーは本当に可愛かった。


「ありがとう、私もビリーが大好きよ。それじゃ、暗くなる前に住めるようにしないとね」


「うん」


それまでとは、打って変わってビリーは笑顔になる。その後は2人で家の掃除をはじめ、荷物を運び……日が落ちるまでに出来ることを行った――



――19時半


「はい、ビリー。お待たせ」


ビリーが座るテーブルの前に食事の乗ったトレーを置いた。

今夜のメニューは簡単に干し野菜のスープに、干し肉。そして来る途中で購入したスコーンだった。


「ありがとう、お姉ちゃん」


「ごめんね。こんな簡単な料理で。明日はもうちょっとまともな食事を出してあげるから、今夜は我慢してね」


ビリーの向かい側に座った。


「ううん! そんなことないよ。それに……嬉しいな。だって、今日初めてお姉ちゃんが作った料理を食べるから……」


嬉しそうに頬を染めるビリー。


「言われてみれば、そうだったわね。今迄ずっと旅をしていたから料理なんてしていなかったもの。でも、今日からは私が作るから。それじゃ、食べましょう」


「うん」


『ルーズ』に到着し、記念すべき食事だ。ビリーはスープを飲むと、笑顔になる。


「……美味しい。お姉ちゃん、このスープ、すごく美味しいよ」


「そう? 良かった。今夜は時間が無くてスープしか作れなかったけど、明日からはもっとまともな食事を用意してあげる。でも安心して? こう見えても料理は得意だから」


何しろチェルシーを亡くしてからは50年以上1人で生きてきたのだから料理も洗濯も。時が巻き戻っても、身体が覚えている。


「本当? 楽しみだな」


「今夜は疲れたでしょう? 早く寝ましょうね。明日からやらなければならないことが山積みだから」


「うん、僕一生懸命手伝うよ。それで……早く大きくなって、お姉ちゃんの……」


そこでビリーは言葉を切る。


「どうしたの?」


「え? う、ううん。お姉ちゃんの役に立てるように僕、頑張るよ」


「フフ。それは頼もしいわね」


その後。

食事を終えた私たちは2人で一緒に片づけをし、早めに就寝した。


明日の為に——

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