2章17 事件解決
「よし、皆で地下に降りるぞ。当然お前たちも一緒だ」
リーダーは捕縛した男たちのロープをグイッと引いて口元に笑みを浮かべる。
「「……」」
捕縛された2人の男は、観念したのか無言だ。
集まった人々で地下室へ降りてみると、やはり行方不明になっていた子供たちが全員見つかった。
親子は再会を喜び合い、地上に出ると教会の前には警察官たちが待機していた。
警察には既に捜索願が出されており、知らせを受けて駆けつけて来ていたのだった。
警察官たちに男たちが連行されて行くと、町の人々が次々にお礼の言葉を述べてきた。
「どうもありがとう」
「あんたのお陰で子供を見つけられたよ」
「本当にお礼の言葉もありません」
「い、いえ。そんなお礼を言われるほどのことではありませんから」
あまり人からお礼を言われることに慣れていない私は、くすぐったくて堪らない。
すると私が困っていることにビリーは気付いたのか、スカートの裾を引っ張ってきた。
「お姉ちゃん、僕疲れちゃったよ。宿に戻って休みたいな」
すると人々が頷く。
救助された子供たちの中には、疲れて眠っている子供もいる。
「そうだな、子供達も疲れているし」
「私たちも家に帰りましょうか?」
こうして子供たちの誘拐事件は無事解決し、私たちは廃屋となった教会を後にしたのだった――
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――その夜、宿屋の食堂では……。
「お客様、我が宿自慢の料理をどうぞご堪能下さい!」
主人が自ら私たちのテーブルに次から次へと料理を運んできて、あっという間にテーブルの上は料理で埋め尽くされてしまった。然もサービスだと言うのだ。
「あ、あの。こんなに食べきれませんから」
「そんなこと言わずに、私たちの気持ちとして召し上がってください。お客様がいなければ、子供達を助けることが出来なかったのですから」
女性がペコペコ頭を下げてくる。
「だけど、私たちだけでは量が多すぎるし……」
困っていると、ビリーが話しかけてきた。
「ねぇ、だったらお姉ちゃん。他の人にも分けてあげたらどうかな?」
食堂には私たち以外にも食事に来ていたお客が5~6人訪れている。
「そうね……それがいいかも」
ビリーの言葉に頷き、宿屋の夫婦に尋ねた。
「どうでしょう? 他のお客さん達にも食事を分けてもいいでしょうか?」
すると夫婦は顔を見合わせ……主人が頷く。
「はい、私たちは構いません」
そこで私は立ち上がると、来店客たちに聞こえるように大きな声で訴えた。
「皆さん! ここにある料理、私たちだけでは食べきれないので、食べるのを手伝ってもらえますか?」
すると一斉に歓声があがり、テーブルに駆け寄ってきた。
「ありがたい!」
「これは御馳走だなぁ」
「本当にたべていいのか?」
「ええ。皆さんでいただきましょう」
私はニコリと笑顔で答え、その後は宿屋の主人からお酒も提供されて食堂は宴会場と化してしまった。
けれど、あまり大騒ぎなことに慣れていない私。
ビリーを連れてこっそり、部屋に戻ったのは……言うまでも無い――




