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2章15 捕縛

 教会が見えてきた。


私たちは全員口を閉ざして、なるべく音を立てないように慎重に近付いていく。すると教会の前に、見張りと思しき男の姿があった。


「あんなところに人がいるなんて……やっぱりお客様の言う通りだったかもしれませんね」


すぐ隣にいる宿屋の女性が話しかけてくる。


「ええ、そうみたいですね」


良かった……見張りがいると言うことは、子供たちはまだあの教会に捕らえられているに違いない。


「今のところ見張りは1人しかいないようね」


私が呟くとビリーが尋ねてきた。


「これからどうするのかな?」


「そうね……」


その時。

先頭グループの男性達が茂みから立ち上がると、一斉に見張りの男に猟銃や弓矢を向けた。


「そこで何をしてる!」


今回の計画のリーダーに任命された男性が声を張り上げた。


「うわっ!! お、お前たちは何者だ!」


いきなり武器を向けられた男が叫ぶ。


「それはこちらの台詞だ! 見たところ、この辺では見かけない顔だな。ここは町の者なら誰もが立ち寄らない場所だ。一体こんなところで何をしている?」


リーダーの男は猟銃を向けたまま男に質問する。


「べ、別に。何もしていない。廃屋になった教会なんて珍しいと思って、眺めていたんだよ」


「そうか? だとしたらそこにある荷車は何だ? 見たところ樽も並んでいるようだが……以前はそんな物は無かったぞ?」


弓矢を構えた男が尋ねる。


「し、知るかよ! 俺がここに来た時からあの荷台はあったさ」


そこへ、廃屋の陰から別の男が現れた。


「おい、一体何を騒いで……な! 何なんだ!? お前ら!」


男は武器を持った男たちを見て驚きの声を上げる。


「やはり仲間がいたんだな!? お前、今教会から出て来なかったか!? 一体ここで何をしていたんだ!?」


リーダーは後から出てきた男に猟銃を向けた。


「べ、別に廃屋の教会なんて珍しいと思って見に来ただけさ。な?」


「ああ、そうさ」


互いに顔を見合わせる男たち。


「ふ~ん、そうか……だがな、お前たちは怪し過ぎる。おまけにここは私有地で、勝手にお前たちは入って来たんだ。拘束させてもらうぞ」


リーダーの言葉に、男たちは反論する。


「はぁ!? ふざけるな!」

「冗談じゃない!」


「動くな!」

「これが目に入らないのか!」


しかし、猟銃や弓矢を向けられているせいなのだろう。男たちは身動き取れずにいた。


「この町に住む子供たちが10人以上突然消えてしまったんだ。そこへ他所者であるお前たちが現れた。お前たちが子供を攫ったんじゃないのか? そしてこの教会に隠したのだろう? 違うか!」


リーダーの言葉に2人の男たちは鼻で笑う。


「はぁ? 子供達なんか知らねえよ」

「ああ。お前ら、頭がおかしいんじゃないのか?」


男達は余程自信があるのだろう。堂々としらを切っている。


「よぉし、そこまで言うなら教会の中を調べさせてもらう! おい! 誰かこいつらを縛りあげろ!」


「はぁ!? よせっ!」

「ふざけるなっ!! やめろ!」


2人は暴れるも、大勢の男たちに取り押さえられてロープで縛られてしまった。


「くそっ!」


「こんなことしてタダで済むと思ってるのか!?」


縛られた男たちは集まった町の人達を睨みつける。


「教会の中を捜索するまではお前たちは縛らせてもらう」


リーダーは2人の男に言った。


「何だと? それじゃ何も出て来なかったらどうするつもりだ?」


「当然賠償してくれるんだろうな?」


男たちは余程自信があるのだろう。挑発的な言葉を吐く。


「あぁ、いいだろう。好きなだけ賠償金を支払ってやるよ」


そこへ今迄黙って会話を聞いていた宿屋の主人が会話に入って来た。


「よし! それじゃ皆で教会を捜索するぞ!」


リーダーの声が夕暮れの空に響き渡った――




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